スポーツ界の「ドン」や「女帝」の存在、プラスに働くことも

NEWSポストセブン / 2018年9月17日 7時0分

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体操協会の混乱はいつ収まるのか(共同通信社)

 日本体操協会強化本部長の塚原千恵子氏と夫で同協会副会長の塚原光男氏、日本ボクシング連盟前会長の山根明氏、さらには日本レスリング協会の栄和人前強化本部長による伊調馨選手へのパワハラ騒動など、今年のアマチュアスポーツ界は“横暴な権力者”の問題で揺れ続けている。五輪競技には、体操やボクシングほど“キャラ”は濃くないにせよ、それぞれ「権力者」と呼べる人物がいる。

 ただし「ドン」や「女帝」の絶対君主ぶりが、常にマイナスに働くわけでもない点も興味深い。元日本バレーボール協会会長(2013~2015年)で羽牟クリニック院長の羽牟裕一郎(はむ・ゆういちろう)氏が語る。
 
「バレーボール界には1972年のミュンヘン五輪で、男子初の金メダルをもたらした松平康隆監督というカリスマがいました。松平さんはその後、協会の専務理事や会長を歴任し、30年間にわたってバレーボール界に君臨し続けた。日本国内でワールドカップやグラチャンバレーといった主要大会が開催されるようになったのも、松平さんの功績です。

 2011年に松平さんが亡くなった後は、会長不在が続くなどバレーボール協会は混乱した。実際に私が会長をしている間、体育会系の組織をまとめるうえで、“松平さんのような豪腕があればなぁ……”と思うことはままありました」

 柔道の上村春樹氏(講道館館長、柔道連盟元会長)やフィギュアの城田憲子氏(日本スケート連盟元理事)、クレー射撃の高橋義博氏(日本クレー射撃協会会長)など、一度は失脚してもなお影響力を維持できるのは、「替えがきかない」ほどの力を持っているからだろう。

 3月に起きたレスリングのパワハラ騒動でも同じことが起きている。栄強化本部長が退任したにもかかわらず、当初、栄氏とともに批判の矛先が向いたレスリング協会会長の福田富昭氏は一切の引責をしていない。

「福田氏はJOCの名誉委員で、2020年の東京五輪組織委員会の評議員も務めるアマチュアスポーツ界の重鎮。その人脈や渉外力でレスリングを発展させてきた功労者でもあり、彼に代わる人がいないんです」(レスリング協会関係者)

 アマチュアスポーツに詳しいジャーナリストの折山淑美氏が語る。

「運営資金不足に陥った時、各所の人脈を生かして協賛企業を募ったり、五輪競技から外されそうな時に政治力で回避できることもある。『一人のカリスマ』の存在によって解決することは確かにあるんです。

 もちろん、行きすぎた独裁は組織も人も疲弊させるだけ。トップにはその“ギリギリのバランス”を見極める力が求められている」

 ドンは必要悪──それもまた真実かもしれないが、現在はその「悪しき面」ばかりがエスカレートしている状況にある。

※週刊ポスト2018年9月21・28日号

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