2011年「原発事故の本質」 タブーを排除して書かれた書3冊

NEWSポストセブン / 2012年1月1日 16時0分

2011年発行本の中から厳選し、2012年を読む【テーマ別書評】。ドイツ文学者でエッセイストの池内紀氏は、「『原発事故』の本質」をテーマに、この3冊を選ぶ。

(1)『福島の原発事故をめぐって』(山本義隆/みすず書房)
(2)『脱原子力社会へ』(長谷川公一/岩波新書)
(3)『春を恨んだりはしない』(池澤夏樹/中央公論新社)

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衝撃的な3.11のあと、原発関連の本があいついで出た。そのなかで(1)は、事故をめぐり、もっとも本質的なことが、すべてのタブーを排除した視点から、わかりやすく述べてある。巨大な利権をともなう原発開発が、どのような「深層底流」の中で進められたか、また「科学技術幻想とその破綻」について、この人だからこそ書けた。

(2)の著者は早くから、原子力を軸に据えた社会動向に警鐘を鳴らしていた。その恐れが的中した。「クリーンなエネルギー」のまやかしを批判した上で、「グリーン化」の提言が新鮮だ。再生可能エネルギーへ切り換えるためには、今がほとんど唯一のチャンスなのだ。

(3)は行動する文学者が現地体験から「震災をめぐって考えたこと」。情報化社会の中の原発の欺瞞を確認した上で、再生エネルギーへの転換を理想論として嗤う体制に、言葉でもって向かっている。「理想論は言葉を信頼し、現実論は権力や金に依る」

※週刊ポスト2012年1月1・6日号



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