安倍晋三氏 金正恩は“父は誤り”と拉致問題進展可能性指摘

NEWSポストセブン / 2012年1月1日 7時0分

民主党政権発足以降、膠着状態にある日本人拉致問題。だが、金正恩新体制への移行でチャンスが訪れていると、安倍晋三元首相は言う。小泉政権時代、訪朝団として金正日総書記に対峙、5人の拉致被害者を連れ戻して以降も、拉致問題解決に取り組み続けてきた安倍氏に話を聞いた。

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――金総書記の死去は日本人拉致問題にどう影響するか。

安倍:日本にとって大きなチャンスと捉えるべきだ。金総書記は拉致作戦の首謀者でありながら、2002年の小泉純一郎総理訪朝時に「5人生存、8人死亡以外の拉致被害者はいない」と断言した人物。最高指導者ゆえ彼の存命中にこの言葉を覆すのは難しく、拉致問題は暗礁に乗り上げていたが、後継者の金正恩ならばこの判断を「間違っていた」と変更することができる。

息子が“偉大なる”父親の政策を否定するのは高いハードルであり、父親の取り巻きとの激しい権力闘争を伴うだろうが、日本は知恵を絞って金正恩にこのハードルを乗り越えさせる努力をすべきだ。

――北朝鮮との交渉に関わった者として、このチャンスをどう活用すべきと考えるか。

安倍:これまでの経験と事実に基づいた拉致問題解決の方法はただ一つだ。彼らに「日本や国際社会の要求を受け入れなければ、国を存続させることは不可能だ」と判断させるしかない。

北朝鮮が善意に善意で応える国ではないことは歴史が証明している。過去、日本は数度にわたり食糧支援をしたが、結果として何一つ得ることができなかった。国際的にも1994年のKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)合意を反古にしてウランの濃縮計画を進め、2006年には100万tの重油提供を6か国協議で決定するも、ブッシュ政権がテロ支援国家の指定を解除した途端に核実験を強行した。彼らにとって約束は破るためにあるようなものだ。

私が経験した交渉でも金総書記は実に狡猾だった。2002年の小泉訪朝後、「5人の拉致被害者は北朝鮮にとどまることを望んでいる」と伝えられ、日本のマスコミは当初それを鵜呑みにして、まんまと騙された。しかし、後に北朝鮮側に強制的に言わされたことが明らかになっている。

したたかな北朝鮮に対し、日本単独でできることはすでにほとんどやっている。必要なのは国際的な圧力の輪を構築することであるが、その輪が完成する前に金総書記が死去してしまった。

※SAPIO2012年1月11・18日号



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