日本は地元の意思尊重し過ぎる過剰コンセンサス社会との指摘

NEWSポストセブン / 2012年1月6日 16時0分

米軍の普天間基地移設問題が迷走を続けている。「沖縄はゆすりの名人」などと発言したと一部で報じられ、米国務省日本部長を解任されたケビン・メア氏は「あれは事実ではない」と報道を否定した上で、「普天間基地問題で日米関係が揺らげば、中国につけ入る隙を与える。野田総理はリーダーシップを発揮して早期に問題を解決すべきだ」と説く。メア氏が問題の核心を衝く。

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沖縄に駐屯している第三海兵遠征軍は、米本国以外で展開している唯一の海兵隊である。海兵隊は航空部隊(ヘリ部隊)と陸上部隊、支援部隊が一緒に展開する統合部隊で、有事の際にはもっとも迅速に動く。その機動力は東日本大震災の救援活動「トモダチ作戦」でも十二分に発揮された。

扇の要である沖縄にこの海兵隊が駐屯していることが、日本防衛とアジア・太平洋地域の安定化をはかる重要な重しになっているのである。

それゆえ現実に選択肢として存在するのは「辺野古への移設」か「普天間の固定化」の2つしかない。同じ沖縄本島の米空軍嘉手納基地に移すという「嘉手納統合案」は、日米政府間協議で廃案になっている。仮に「普天間の固定化」でも、アメリカとしては“現状維持”なので軍事戦略上の齟齬は生じないが、私自身は騒音問題などを鑑みて、やはり辺野古への移設が最善策だと考えている。

しかし、現実にはアメリカ側がしびれを切らし始めている。12月、米議会の上下両院は、海兵隊の一部(8000人)をグアムに移転する計画について、12年度の予算1億5000万ドルを認めないことで合意した。海兵隊の一部移転は辺野古への基地移設が前提であり、先行きが不透明である以上、予算は認められないとの立場を示した。

このまま具体的な進展がなければ、田中前局長が言った通り、いよいよアメリカは「普天間の固定化」を決断すると私は予測している。それも“遅くとも2012年夏まで”である。時間的な猶予はほとんど残されていない。

今の日本は、原発の再稼働問題も同根だが、「地元の意思」を尊重するあまり「過剰なまでのコンセンサス社会」になりつつある。しかし、国家のエネルギー政策や安全保障政策について、地方自治体の首長に決定を委ねるのはどう考えてもおかしい。民意をはかるといいながら、その実、政治家は責任を取りたくないだけなのだ。

どんな結果になろうとも、重要なのは、中国に対して「日米同盟がグラついている」という誤ったメッセージを伝えないことである。

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