三菱自動車 パジェロSの復活こそ「らしさ」を取り戻す好機

NEWSポストセブン / 2019年2月11日 7時0分

 その厳しさは日本ではちょっと想像できないレベル。道路に設置された行き先案内板に「マガダン(カムチャツカ半島対岸の町)3000km」みたいな表示がさも当たり前のように立っていて、その過半が未舗装路だったりするのだ。遊びではなく、通行のために川を渡渉するような場所もある。パジェロスポーツはそういう道を走るためのクルマなのである。

 ほとんどの道路が舗装され、クロスカントリー性能はほとんど要求されない日本でそんな本格4×4をなぜ売るのか。そこに年産120万台という小規模メーカーである三菱のブランド戦略が垣間見える。

 フラッグシップであるパジェロが生産中止になるという報道がこれまで何度かメディアを賑わせたことがある。三菱マンのひとりは、「そのたびにお客様から多くのお叱りの言葉をいただいた」と振り返る。

 三菱のブランドイメージはオフロードのパジェロと、ラリーカーのベースになる高性能セダンの「ランサーエボリューション」がけん引役であったのだが、すでにランサーエボリューションはモデル廃止となり、存在しない。もうひとつのモニュメントであったパジェロまでなくすとなれば、三菱ファンが心中穏やかでいられないのも無理はない。

 一方、以前に益子修社長(現会長兼CEO)が発した「もはやパジェロを作り続けられる状況ではない」というのも無理からぬところ。グローバルでも月産数百台という規模のパジェロをモデルチェンジする余力は今の三菱にはない。

 現行パジェロも、旧型のシステムをほぼ丸ごと引き継ぐことで辛うじて出せたようなものだ。筆者は2年ほど前、現行パジェロのターボディーゼルを500kmほど走らせてみた。基本性能はデビュー10年以上を経てもなお素晴らしいものがあった一方、安全装備の欠如、エンジンノイズの大きさ、高額モデルに要求される質感などは現代の第一線級からは遠くかけはなれてしまっていた。これ以上の延命は難しいというのは確かだ。

 パジェロを作り続けるかわりに、オフロード性能は十分に持ち合わせているパジェロスポーツを先進国市場に投入するというのは、三菱にとってはなかなかの妙手である。

 前述のように今は世界的なSUVブームだが、その多くは乗用車ベースのモデル。コストが安いことと、オンロード性能を確保するにはそのほうが有利というのが主な理由である。

 パジェロスポーツのようなフレーム構造を基本とするクロスカントリータイプはオンロード性能ではそれらのモデルに劣る傾向があるため、少数派になっている。日本メーカーでは日産自動車が日本市場でのフレームモデルの販売をやめ、今では三菱および「ランドクルーザー」「ランドクルーザープラド」を擁するトヨタの2社のみである。

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