前立腺がん治療、切らなければEDや排尿障害の回避も

NEWSポストセブン / 2019年3月8日 16時0分

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前立腺がんは経過観察も視野に

 日本人の死因第1位であるがん。これまで長く、「見つけたら切る」が治療の常識だった。外科手術でがんをすべて切除すれば再発の可能性が減るという前提に立ち、「早期発見、早期切除」が大目標とされてきた。

 だが近年、その常識が変わってきている。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が解説する。

「体にメスを入れる手術は当然ながら、患者への負担が大きい。大腸がんなら人工肛門になる、胃がんなら食事が難しくなるなど、術後の生活に大きな支障をきたすデメリットもある。かつては他に選択肢がありませんでしたが、医療の進歩により、がんの部位やステージによっては手術以外を選んだほうがいいと判断する専門家も増えてきています」

 とりわけ歳を重ねるほどに「手術を受けない」という選択は有力になってくる。

 例えば、60歳以上の患者が9割以上とされる前立腺がんは高齢化に伴って患者数が増加し、罹患者数は男性で4番目に多いがんだ。

「前立腺がんの場合、検査の結果『悪性度が低い』と判断されれば、手術や抗がん剤などの治療を行なわず『経過観察』をとるのが効果的です」

 そう説明するのは獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科の小堀善友医師(44)だ。

 2012年に米ワシントン大が発表した研究では、別の病気で亡くなった60~79歳の1000人のうち、7割から前立腺がんが見つかった。つまり前立腺がんを患っても、死に至らないケースが多い。

「手術に踏み切ると、排尿障害やED(勃起不全)などの副作用が生じて手術のメリットを上回るリスクがあります。もし私が前立腺がんに罹ったとしても、放射線治療なら受けるかもしれませんが、手術は受けないでしょう」(小堀医師)

 2012年、日本泌尿器科学会は「前立腺癌診療ガイドライン」に「監視療法」を選択肢として盛り込んだ。

「『監視療法』では、2~3か月ごとに検査で数値をチェックする。進行が明らかになってから治療を始めればよく、それまでは何もしないという考え方です」(小堀医師)

※週刊ポスト2019年3月15日号

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