精神障害者の幻聴がカルタに 「うたがわれ続けて20年」他

NEWSポストセブン / 2012年2月16日 7時0分

 精神障害者のリアルな心の体験を短い言葉で表現し、「かるた」にした『幻聴妄想かるた』(医学書院刊)が話題となっている。作者は、東京・世田谷にある精神障害者就労支援施設『ハーモニー』にやってくる精神障害者たち。

 健常者には「ありえない」ことでも彼らにとっては現実。若松組という組織に監視されているという男性は、「今日も朝からついてきて、俺の足元だけ揺らすんだ」と不思議そうな顔。もちろん周りに若松組らしき人物は見当たらない。

 新澤克憲施設長はいう。

「彼らの精神の世界を障害とは縁のない人たちに伝えたい。そんな思いでかるた制作を始めました」

 若松組以外にも、肛門や内臓がなくなるという人。頭の中の情報を盗まれていると主張する人。様々な幻聴、妄想に襲われながら社会生活を送る人たちがいる。

「思わず笑ってしまうかもしれません。それでもいいと思っています。しかし一方で、妄想に振り回されて、何十年も苦しんでいる人がいることも知ってほしい。彼らがかるたを作るプロセスで体験を語り、仲間と悩みを共有することで癒されることもあるのです」(新澤氏)

 そんな「幻聴妄想かるた」の言葉をいくつか紹介しよう。

■「おとうとを犬にしてしまった」
【解説】40代女性。弟が犬になってしまったので、散歩に連れて行き、路側帯の白線に沿って歩かせた。弟は文句もいわず気の済むまで付き合ったのだとか。

■「うたがわれ続けて20年」
【解説】50代男性。自分は稀代のモテ男だと自認する。彼は統合失調症だと診断されていたが、20年目にしてついに「自分は天才だ」と気づいたという。

■「びルボードトップフォーティー トップの曲僕が作りました 普通妄想だと思うでしょ 本当だよ」
【解説】50代男性。大の音楽好きで、自分の頭の中の情報が外に飛び出すことが多々あるらしく、数々のヒット曲を作ったと豪語する。

■「若松組が床をゆらす」
【解説】かつて大企業の女子社員に横恋慕し、失恋した50代男性。フラれた頃から若松組という暴力団に付け狙われるようになり、嫌がらせをされているという。

※週刊ポスト2012年2月24日



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