放射能デマ拡散の背景「認知的不協和理論」の心理あると識者

NEWSポストセブン / 2012年2月27日 16時0分

 原発事故から1年近く経つが、この間、メディアでは反原発派の無責任な発言に依拠した報道が目立った。

 とはいっても、問題の所在は既存メディアだけではない。ネット上では相変わらずツイッターなどで放射能デマが凄まじいスピードで拡散している。 新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科の碓井真史教授はその背景をこう分析する。

「人間は、自分が不安を感じているにもかかわらず現実には何も危険が起きていないという矛盾した状況を嫌う傾向があり、不安を裏付ける情報を集めようとする。これを社会心理学では『認知的不協和理論』といいます。“安全だ”と主張するよりも、“危険だ”と煽る情報が拡散しやすいのはこのためです。

 気をつけなければならないのは、集団で討論していくうちに、当初の意見がどんどん過激になり、極端に走る『集団極性化』の状態に陥ってしまうこと。そして、最も過激な“危険だ”という声だけを信じるようになり、反対意見をいう者がいれば、“安全デマ”“御用学者”と激しく非難して攻撃対象にし、セクト化してしまう。カルト宗教にも似た心理状態で、大変危険だ。こういう事態を助長したのは、メディアの責任ともいえる」

 むろん、報道や言論は自由であるべきだが、仮にもジャーナリズムを標榜するなら、最低限の事実確認と専門分野への理解がなければ「煽動」と罵られてもしかたない。各媒体の主義主張で事実がねじ曲げられるなら報道ではないし、ただ「売らんがため」に煽れば “活動家”の宣伝媒体に成り下がる。

 安井至・東大名誉教授(工学博士)は、メディアの現状をこう嘆く。

「トンデモ学者が重用されていることには理由がある。放射線のリスクを理解できない日本人ばかりになった現状では、新聞としては中立を装わないと自らの存立に関わると考えているからだ。そのため、放射線防護学の世界的権威の発言すら紙面に載せられない状況になっている。真実を伝えるのがメディアだとしたら、メディアは死んだ」

※週刊ポスト2012年3月9日号



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