中豪対立が激化、相互にスパイ容疑で拘束や追放措置

NEWSポストセブン / 2019年3月13日 7時0分

オーストラリアとの対立が鮮明に

 中国とオーストラリアの関係が昨年から悪化している。オーストラリア外務貿易省は1月下旬、かつて中国政府に批判的な論評を書き、国家安全に危害を与えたとされる中国系オーストラリア人の作家、ヤン・ヘンジュン(中国名・楊恒均)氏を中国当局が拘束したことを確認した。ヤン氏は中国の元外交官。

 これを受け、豪政府は2月、中国を念頭に昨年成立した「反スパイ法」を初めて運用して、同国政治家や政治団体に多額な献金を行った中国人富豪・黄向墨氏の永住権を取り消したのだ。黄氏は中国共産党がバックアップする在豪中国人団体のトップを務め、近年豪州に対する中国の浸透工作において中心的な人物とされている。さらに、スパイ活動を行っていたともされる。

 中豪両国が相次いでスパイ容疑で身柄を拘束したことで、対立が今後、一層激化するのは必至だ。

 中国外務省の華春瑩報道官によると、ヤン氏は国家安全に危害を与えた疑いで、北京市国家安全局によって身柄を拘束されたという。華氏はヤン氏の容疑の具体的な内容については明らかにしていない。

 豪紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」(電子版)によると、ヤン氏は1月19日、妻子とともに米ニューヨークから広東省広州の空港に到着後、中国当局者に拘束された。上海に向かう予定だったという。

 ヤン氏は中国湖北省出身で、中国外務省や海南省政府で勤務後、2000年に豪州国籍を取得。その後、ブログなどで中国政治に関する評論活動も行っていた。

 一方、豪州で初の反スパイ法を適用された黄氏は2001年、中国で不動産企業を起業し、その後、豪州に移住。豪州でも不動産業を成功させ、豪州の2大政党に多額の政治献金をしたとされる。また、2013年にはシドニー工科大学に180万豪ドルを寄付し、豪中関係研究所を設立したが、その後、同大職員が、研究所の出版物が「共産党の宣伝品のようだ」と研究所のあり方に懸念を示した。それにより、同大は研究所を解散、黄氏は諜報活動に関わっているとの疑惑が浮上していた。

 2017年には、黄氏から多額の献金を受けていた野党・労働党のサム・ダスティヤリ元上院議員が、中国との関係をめぐって政界引退に追い込まれており、豪州政府は黄氏の永住権を抹消した。

 黄氏は現在、香港に滞在しているが、豪州政府は黄氏の再入国を禁止している。

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