姉のURマンションに事務所置いた玄葉外相 これは規約違反

NEWSポストセブン / 2012年3月15日 7時0分

 戦後最年少となる47歳で外務大臣に就任した玄葉光一郎氏。人材不足が著しい民主党の中では、人気の高い次世代のリーダー候補とされている。しかし、政治資金を改めてチェックすると、不透明な痕跡が浮かび上がる。昨年5月に本誌SAPIOで、菅直人首相(当時)から北朝鮮とつながりのある政治団体への巨額献金をスクープした田村建雄氏がレポートする。

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 国会議事堂のある東京・永田町から地下鉄で15分。江東区の清澄白河駅に着く。駅から徒歩7分ほどのところに地上33階建て、高さ100mを超すタワーマンションがある。広々としたエントランスとロビーラウンジ。展望室も完備されている。2006年7月に入居開始され、総戸数は約240戸。うち7~20階は独立行政法人都市再生機構(UR都市機構、以下UR)運営の賃貸マンションだ。

 実はこの7階の一室に、玄葉光一郎外相の2つの関連政治団体が入居していた。この部屋を主たる事務所として届け出ていたのは、玄葉氏が衆院選で初当選した1993年設立の「玄光会」(2007年12月に解散)と2000年設立の「異業種交流会」(2008年9月解散)である。

 住人たちに聞いても、「このマンションに政治団体? そんなの聞いたことがない……」と戸惑うばかり。実際、平日の昼間は母子連れが出入りするくらいで、とても政治活動に使うようなマンションに見えない。

 取材を進めると、2政治団体が置かれたこの部屋の借り主は玄葉外相の姉で現・外相秘書官の玄葉みゆき氏だと判明した。別の玄葉氏の関連政治団体の政治資金収支報告書(2006年分)を見ると、寄附者に「玄葉みゆき」の名前があり、そこに記されたみゆき氏の住所がまさに、冒頭のマンションの部屋なのだ。

 要は、姉の住んでいる部屋に、政治団体を置いていた、という話だ。姉・みゆき氏とはどんな人物なのか。

「みゆきさんは3人姉弟の一番上で光一郎さんの2歳年上。地元・福島の名門高校を卒業後、東京の大学に行ったと聞きます。地元にはあまり帰ってきませんが、光一郎さんが国政に出て以来、ずっと秘書として陰で支え続けています」(地元関係者)

 一方、民主党関係者は、「勝ち気で聡明な、玄葉事務所の金庫番」と説明する。確かに、みゆき氏は資金管理団体「21世紀政文会」や前述の関連政治団体の会計責任者を務めており、「玄葉さんの政策秘書や公設第二秘書もやってきた。一時期、党内規で親族公設秘書が禁止された時には外れたが、2009年に再び認められると、今度は大臣秘書官に登用された」(同前)のだという。

 実姉が事務所運営の要となるのは自民党の小泉純一郎元首相を彷彿とさせるが、そもそも姉・みゆき氏が住むUR賃貸住宅は、国の住宅政策の一環として整備されているもの。そこに政治団体を置いていいのだろうか? UR当局ははっきりとこう回答した。

「URの賃貸住宅は、あくまで居住用で、商売や事業には使用できません。例外として鍼灸や按摩は事前に届け出れば許可されますが、それ以外はできない。当然、政治団体もダメ。発覚したら即、明け渡しを求めます」(カスタマーコミュニケーション室広報チーム)

 これはURの規約によるもので、1981年設立の住宅・都市整備公団時代から同じだという。前述2団体は発足から解散までの間、主たる事務所を3回移転しているが、4か所はいずれもURの賃貸住宅。つまり、玄葉氏は規約を無視し、政治団体を置いてはならない場所に初当選から16年間も、事務所を置いてきたのだ。

 全4か所を訪ねた結果、政治団体が活動拠点を置いていたことを知る住人はいなかった。しかし、「カネの出入り」は追跡できた。例えば1993年の「玄光会」の収入総額は730万円。1994年は約1386万円。1990年代に玄葉氏の資金管理団体の収入が3000万円前後だったことを考えれば、決して小さい額とは言えない。

 さらに注目すべきは支出だ。

 設立から解散までの間、相当額の「事務所費」や光熱水費が計上されていたのである。事務所費とは、家賃をはじめとする事務所の諸経費を指す。

 例えば2005年には、「玄光会」が事務所費を約268万円、支出している。さらに「異業種交流会」は同年の事務所費として約192万円を計上。実姉のマンションに主たる事務所を置く団体が、年間計約460万円の事務所費を計上しているのだ。16年間の合計で、2団体の事務所費は約2400万円にのぼる。これとは別に2団体の光熱水費は16年間で189万円支出されている。

 民主党は野党時代、自民党議員の「事務所費」問題を厳しく追及してきた。2007年の通常国会では、松岡利勝・農水相 (当時)が、家賃のかからない議員会館に資金管理団体の事務所を置きながら、毎年2000万円超の事務所費を計上していたことが問題となる。松岡氏の自殺後、後任の赤城徳彦農水相も、事務所としての実態がない実家に政治団体を置き、1996年~2005年の10年間で計9000万円もの事務所費を計上していたことが発覚。辞任に追い込まれた。

 玄葉氏が「政治団体を設置できないはずの姉の家」で多額の事務所費を計上していた構図は、これらと似ている。

※SAPIO2012年4月4日号



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