【本音レビュー】蜷川実花の『人間失格 太宰治と3人の女たち』は女目線で描いた“ヴィジュアル系太宰治”の愛の遍歴! 女たちの生き様に引き込まれます

Pouch[ポーチ] / 2019年9月13日 17時45分

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【本音レビュー】蜷川実花の『人間失格 太宰治と3人の女たち』は女目線で描いた“ヴィジュアル系太宰治”の愛の遍歴! 女たちの生き様に引き込まれます

【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、蜷川実花監督の最新作『人間失格 太宰治と3人の女たち』(2019年9月13日公開)です。今年の7月に『Diner ダイナー』が公開され、まだ2ケ月しかたってないのに、もう最新作の公開とは! 蜷川監督、映画への情熱がハンパありませんね!

本作は太宰治の女性関係にスポットを当てながら、太宰という人物を掘り下げていく作品になっています。では物語からいってみましょう。

【物語】

1946年、人気作家として活躍していた太宰治(小栗旬)はスキャンダルが多い人でした。小説のために愛人と心中未遂するなど、妻・美知子(宮沢りえ)と子供がいながらも奔放な私生活を送っていたのです。ある日、太宰のファンだった上流階級の娘・静子(沢尻エリカ)と出会った太宰はその美しさのトリコに。やがて体の関係になり、静子は彼の子を身ごもります。一方、太宰は美容師の富栄との関係も深めていきますが、富栄の狂気の愛が、どんどん太宰の人生を束縛していくのです。

【蜷川監督が小栗旬を太宰治に抜擢】
小栗旬が太宰治を演じることが決まったときは驚きました。彼を抜擢したのは蜷川実花監督。「太宰を演じられるのは小栗旬しかいない」と思ったそうですが、個人的には「なんで小栗旬?」と。太宰は華奢な体の繊細な文学青年風のイメージだったので、異色のキャスティングという印象だったのです。ところが、映画を観たら、小栗旬=太宰治、大アリでした!


太宰を愛している女性たちの目線で彼を描いているので、太宰はかっこよくないと説得力がないわけです。蜷川実花監督ですから、ヴィジュアルにはこだわるでしょう。監督の求める太宰像にピタリとはまったのが小栗旬さんなのです。

【エンタメの世界で生きる太宰】
で、小栗旬さんの太宰治、良かったです。私は太宰にネガティブな男というイメージを抱いていたのですが、小栗さんが演じる太宰を観て「意外とこういう明るさと豪快さがあった人なのでは……」と思いました。彼の陽の一面が描かれており、そういう意味でも本作は軽やかで見やすい太宰治映画ではないでしょうか。難点は、太宰治の作家性が見えないこと。劇中、執筆はしていましたが、彼の創作過程における生みの苦しみまでは深く見られなかったことが少し残念でした。太宰と3人の女たちの愛に焦点を絞ったからなのでしょうが、本作では純文学ではなく、エンタメ界に生きる太宰治でした。

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