明日から使える“仕事の基礎スキルを学ぶ5冊”
プレジデントオンライン / 2015年3月14日 16時15分
今いるポジションによって、読むべき本は変わってくる。次なるステージに向かう階段を順調に上るためにも、現在の足場をしっかり固めるための指南書を手に取りたいものだ。
「型」を覚える――。1、2年めの社員がするべきことはこれだと思います。
入社後、いきなり高いレベルのスキルを身につけようと難解な専門書を読む人は少なくありません。気持ちはわかりますが、焦りは禁物。まずは、しっかりした仕事の土台・骨組みを構築するのが先決。「一気にジャンプ」はゲームでもない限り、難しいものです。
ライフネット社長の岩瀬大輔さんによる『入社1年目の教科書』には仕事の様々な作法や指針が示されています。とりわけ「仕事における3つの原則」、例えば、頼まれたことは必ずやりきる、50点で構わないから早く出せ、などの部分は、新入社員だけでなく、多くの読者も心当たりがあるでしょう。
手前味噌ですが、私の著書『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ』と併せて読むと、若いうちにやっておくべき土台づくりのエッセンスがより深く理解できるはずです。
この私の本は、外資系企業などの現場の仕事で実際に見聞きしたり、若い社員にコーチングしたりしたことをベースに書いたもの。報・連・相、会議への準備・臨み方、簡潔で相手に伝わる文書作成法、コミュニケーション法、といったビジネスパーソンの必須スキルをお伝えしています。
私自身の失敗談も盛り込んでいます。かつて、上司から指示されると、「とりあえず……します」と返答する癖が私にはありました。リズミカルに、素早い対応を、というつもりでしたが、あるとき上司から「おまえはやっつけ仕事なのか?」と。えっ、とりあえずがダメなら、どう言えばいいのか? 熟慮した結果、「まず……します」なのではないかと。ちょっとした言い回しの違いですが、「とりあえず」「取り急ぎ」と最初に言う仕事はやはりどこか雑な印象を与えてしまい、実際仕上がりもそうなることが多いと思うのです。そうした自己流の落とし穴を修正していくことも新入社員の時代にしておくと、その後伸びやすいと思います。『MBAクリティカル・シンキング(改訂3版)』は論理的な思考のフレームワークの基礎を学ぶのに最適な書です。
書名に「MBA」と銘打っていますが、これは仕事・商売をしている人全員が読むべき。私のかつての日本人上司の英会話力は、イエス、ノー、パードン? を話せる程度のブロークンなものでしたが、論理的思考だったがゆえに、外国人との議論でも対等に渡り合えた。「論理」構築のスキルは英語力養成と同様に大切なことなのです。『宇宙兄弟』『坂の上の雲』は新入社員が高い志を抱くきっかけになる良質のストーリーです。苦難・逆境のなかでも、ネガティブマインドに陥ることなく同じ目標に向かってチーム内で切磋琢磨する。つまり、ビジョンをシェアする。そんな理想の姿を追求する素晴らしさを再確認させてくれます。
■脱自己流! 報・連・相、会議、文書作成の「型」を覚えよ
■その後の人生を変える小さな差
『入社1年目の教科書』
岩瀬大輔/ダイヤモンド社
今年、ライフネット生命保険、副社長から社長に昇進した新世代のビジネスリーダー岩瀬大輔氏が教える仕事の「原理原則」とその具体的な実践方法。例えば、上司はそもそも新人に100点満点は期待していないので、「50点の仕上がりでいいから早く上司に提出する(そして、アドバイスを受けて修正・改善する)」など、ちょっとした行動の差が、その後の大きな評価の差にもつながる。また遅刻をしないように定刻の15分前には出社して仕事の準備をする、といった超基本の大切さを、経験に基づいたエピソードを交えて紹介する。
■論理的思考習得の決定版
『MBAクリティカル・シンキング(改訂3版)』
グロービス経営大学院/ダイヤモンド社
ビジネスに必須の論理的思考力を、豊富な演習と事例で教える本。クリティカル・シンキング(批判的思考)とは? 演繹的&帰納的思考とは? いかに状況把握する? 因果関係のひも解き方は? など。コミュニケーション、意思決定、説得・交渉・コーチングなどあらゆるシーンで役立つメソッド集。
■特異な体制を冷静に分析
『99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ』
河野英太郎/ディスカヴァー・トゥエンティワン
仕事の出来はマジメに取り組んでさえいれば上がるわけではない。大事なのは、コツを押さえること。そんなコンセプトのもと、会議、メール、文書作成といった各ビジネスシーンでの「正しいやり方」を伝授。続編『99%の人がしていない たった1%のリーダーのコツ』は上司心理を読むのにも重宝。
■壮大な夢を実現する青春群像
『坂の上の雲 全8巻セット』
司馬遼太郎/文春文庫
歌人・正岡子規と軍人の秋山好古・真之兄弟の3人を軸に、明治維新から日露戦争の勝利にいたる明治の日本を描く(全8巻)。「現在のビジネスでいうキャリアゴールやビジョンは、すなわち“坂の上の雲”なんです。仲間と手をたずさえ、前に進もうという気持ちにさせてくれます」(河野氏)。
■無気力な自分から脱出できる
『宇宙兄弟』
小山宙哉/モーニングKC講談社
幼いころに宇宙飛行士になる約束を交わした兄弟が、異なった人生を進みながら互いに宇宙を目指して奮闘する姿を描く。河野氏曰く「無気力な自分から脱出できる漫画」。リーダーとは何か、約束とは何か、夢とは何か。漫画だからと侮ることのできない本質的なテーマ。まさに新入社員向け。
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1973年生まれ。東京大学卒業後、大手広告代理店、外資系コンサルティング会社、IT企業部長職などを歴任。大企業グループほか複数社の人事制度改革リーダーや巨大プロジェクトのプロジェクトオフィスリーダーを担当。上記の自著『99%の人が──』は2013年ビジネス書大賞書店賞を受賞。続編を含めた累計販売部数は59万部。
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(日本IBM部長、 Eight Arrows代表取締役 河野 英太郎 大塚常好=構成 堀 隆弘、キッチンミノル、早川智哉(本)=撮影)
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