1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

使えない「下位10%社員」をリストラするか、人材教育するか

プレジデントオンライン / 2015年4月13日 12時15分

連結子会社数117社の「群戦略」

孫正義氏がこれまでに経験したタフな場面をケーススタディの形で完全再現。
あなたは正しい判断を下せるだろうか。

----------

Q. 使えない「下位10%社員」をどうするか

30年前、わずか2人のアルバイトから事業を興し、現在の社員はグループ全体で2万人超。組織が巨大化すれば、優秀な人間だけで組織をつくることはできない。どんな組織でも10%ほどは、勤務状況に問題をもつ構成員がいるといわれる。A案は、成果を重視。B案は、社内融和を重視。
【A】リストラする【B】人事異動・人材教育する
(正答率70%)

----------

赤字や減益となったとき、リストラをすべきかどうか。

僕は、まさに崖っぷち、本当にヤバいときはリストラをすべきだと思います。最終的には会社を残すということが、先決事項です。どんな組織にも、「ぶら下がり社員」は存在するでしょう。緊急時には、そうした貢献度合いの低いと思われる社員――たとえば下位5~10%程度――をリストラすべきだと思います。

ただ、少なくともソフトバンクの30年間の歴史の中では、リストラは1回もしていません。それは、買収先の社員に対しても同じでした。ボーダフォン・ジャパンの場合、利益が真っ逆さまに落ち、再建できるかどうかの瀬戸際にいたときもリストラという手段はとっていません。

なぜリストラをしないですむのか。それは、ソフトバンクグループが「群戦略」を敷いているからです。ある事業が赤字転落しても、他のグループカンパニーが伸び続けることで、フォローできる体制があるからです。

群戦略とは、志を共有する社員や経営陣が、それぞれ群れをなしてデジタル情報革命の一翼を担うというものです。複数のブランドと複数のビジネスモデルをもつことで、常に若々しい新しい枝葉が生えてきて、幹はすくすくと上に伸びていく。だから決して奢らず、大企業病に陥ることもない。僕はそう信じています。

■好調事業への異動で人員整理を回避する

リストラの代わりに実施しているのは人事異動です。グループ内で業績の苦しい事業があれば、伸びている事業に積極的に社員を移します。

リストラがなければ緩い雰囲気の会社と思われそうですが、違います。

「誠の愛のため時として鬼になれ! 鬼になりきれない者はリーダーにはなれない。愛する部下に対しても鬼になれなきゃならない。いい人では組織はもたん」

これが僕の人材教育のポリシー。安易にリストラするのではなく、育てるのです。会議の場で、「結論から言え!」と語気を強めて責めたてることもあります。それが僕流の社員教育です。

リストラは最後の判断。その最後の判断をしないで済むように、可能な限りの努力をするべきです。ただし熾烈な競争を勝ち抜くためには、社員一人一人に結果が求められます。だから現実的には、仕事の中で振り落とされる可能性はあるかもしれません。

■東京大学経済学部教授 高橋伸夫氏が解説

高橋伸夫氏

解雇による従業員の削減は、企業経営における最後の手段である。どんな企業でも下位10%は勤務状態の悪い人間だといわれる。しかし安易な「クビ切り」は、経営のモラルの低下を招く。経営者は従業員の生活を預かる立場にある。成功する経営者は、そうした重責に身震いするぐらい責任感の強い人間であることが多い。「リストラはしない」という手枷を自らにはめることで、土壇場でも踏ん張れるようになるはずだ。

●正解【B】――「鬼」となって部下を育てられなければ組織はもたない

※本記事は2010年9月29日に開催された「ソフトバンクアカデミア」での孫正義氏の特別講演をもとに構成されております。設問文等で一部補筆・改変したものがあります。

(大塚常好、小澤啓司、原 英次郎、宮内 健、村上 敬=構成)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください