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「大卒→中小企業」より「高卒→大企業」の方が生涯賃金は2割高い

プレジデントオンライン / 2015年10月14日 8時45分

男性社員の生涯賃金

■基本的には高卒より大卒の方が高い

厚生労働省は9月18日、2016年3月卒業予定の高校生について、7月末現在の求人倍率が1.54倍となり、過去20年で最高になったと発表しました。高校生にとっては、就職か進学か、迷うところです。大学に進学したとして、4年後の就職環境が分からないからです。

さて、学歴によって、生涯年収にどのくらいの差があるのでしょうか。

高卒で就職するか、大学か大学院まで卒業して就職するか。この両者においては、はっきりと大学に進学した方が高いという結果が出ています。(独)労働政策研究・研修機構が試算した、男性社員の生涯賃金(退職金除く)。高卒の1億9240万円に対して、大学・大学院卒は 2億5440万円。実に、6000万円近くもの違いが出ています。しかも、高卒者は少なくとも4年間余分に働いて、この数字です。

これに対して、大学に進学した場合の学費は、国公立か私立かによっても大きく異なりますが、250~500万円程度。4年間下宿したとしても、生活費で月15万円×12カ月×4年間=720万円。合わせても1千数百万円の金銭的コストとなり、大学進学は十分に元が取れる選択と言えそうです。「今時、せめて大学くらいは出ておけよ」という親の意見には、それなりの根拠があることになります。

ところが、この表をよく見ると、就職する企業規模によって、事情が大きく異なっていることが分かります。大学・大学院卒で社員数10-99人の中小企業に就職した人が1億9430万円であるのに対して、高卒でも1000人以上の大企業に入った人は、2億3300万円。何と、2割ほども高卒者の方が高い、という逆転現象が起こっているのです。

■今年は大企業に入社するチャンス!?

問題は、高卒でも大企業に就職できるのか、ということです。近年、製造業では工場部門の海外移転が進むなど、高卒者を大量に吸収してきた職場は、減少する傾向にありました。

表を拡大
高校新卒者の規模別求人状況

ところが、冒頭に述べた、求人倍率の改善。表は、高校新卒者の企業規模別求人数ですが、1000人以上の大企業でも、前年比20%以上の上昇を示しています。求職者総数が18万6000人ですので、単純に見れば、6人に1人は大企業に入社できることになります。成績が比較的優秀で、学力的には大学進学が可能な学生に絞れば、より確率はアップするでしょう。

4年後といえば、翌年に2020年の東京オリンピックを控え、日本経済に対しては強気の見通しが多数派です。しかし、今から4年前の2011年を思い出してみましょう。リーマンショックからの回復もままならず、就職氷河期の真っ最中でした。4年間というのは、短いようで長いのです。来年2016年にリオデジャネイロ五輪を控えたブラジル経済が絶不調であることも、オリンピック景気の不確かさを物語っています。

そう考えると、高卒でも専門学校卒でも、あるいは大学院進学を迷っている大学生も、今年は就職チャンスの年、といえるでしょう。もちろん就職の有利不利だけで進路を決める必要はありませんが、「社会に出るタイミングを選択する」という発想も、持ち合わせておいてはいかがでしょうか。

(新経営サービス 常務取締役 人事戦略研究所所長 山口 俊一)

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