格下のはずの同僚に「仕事で勝てない」のはなぜか?

プレジデントオンライン / 2017年3月15日 9時15分

写真=PIXTA

子供の頃から成績優秀で、志望校に現役入学。就職活動も引く手あまただった。そんな賢い高学歴者が社会に出た途端、仕事で評価されずにあえいでいる。何が問題なのか。どうすれば解決するのか。ここに処方箋を公開する。

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●ケース1:Kさん36歳
面接で通りやすいという理由で営業職を志望し、入社。同期のほとんどは、自分より学歴が低い体育会系出身者やコネ入社だった。酒席の話題、カラオケの選曲など、とにかく波長が合わない。しかし仕事面で結果を出すのは、自分よりも泥臭い営業ができる同期だ。結果、一人だけ昇進が遅れてしまった。

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■低学歴の同僚と話が合わない

Kさん(36歳)は、附属校からエスカレーター式で有名私大へ。映画研究会で自主映画を撮影するが、本職にできる才能はないと思い、就職活動は一般企業を回った。インテリア系大手メーカーの面接では、志望が企画制作とは伝えず、通りやすさを重視して「現場のニーズを知りたいから、営業にいきたい」とアピール。晴れて採用の後、営業に配属された。

入社して思ったのは、「同期とウマが合わない」ということ。営業を統括する常務が自分と同じ体育会系出身者を積極的に採用し、取引先の親類というコネ入社も多く、非一流大卒が目立った。頻繁に開かれる飲み会で、酒をあおるコールは下品に思えたし、カラオケの曲も好みではない流行歌ばかり。「共有できることがほとんどない」と感じた。

波長が合わないのは同期だけではない。移動中、先輩が少年漫画誌を読みふけること、地方の女性契約社員の話題が、彼氏とパチンコばかりであることにも落胆。コミュニケーションが大事と知りながら、つきあいを極力避けるようになる。一方、自分と同じ大学出身者は、年齢を問わず、趣味の話や面白いと思うツボなど、波長が合った。

しかしこと仕事になると、同期のほうがガッツや社交性があるせいか、成績がいい。Kさんは心のどこかで「売り上げが伸びないのは景気のせい」とあきらめる傾向があった。

入社から数年。ほとんどの同期がチーフ職に就く中、Kさんだけ昇進が1年遅れた。「かなりショックでした。それ以降、周囲が『あいつはダメだ』と自分の悪口を言ってるような気がして……。今、仕事に対してやる気が起きず、困っています」(Kさん)。

▼解説

高い学歴は、頭がいい証拠だ。にもかかわらず社会に出た途端、学生時代の評価とは裏腹に、仕事で悪戦苦闘したり悩んで行き詰まる人は少なくない。

これまで世界中で数多くのエリートと仕事をしてきた投資家、ムーギー・キムさんは、「学歴や勉強のIQの高さは、仕事能力を予測しません」と言い切る。

「学歴が高いことは、いくつかの基本的能力の代替的指標にはなります。しかしリーダーシップ、コミュニケーション能力など、仕事能力における重要な資質はまったくわかりません。仕事で求められるのは、学歴や偏差値とはまったく関係ない“仕事のIQ”とでも呼ぶべき、行動特性であり、マインドセットなんです」

“仕事のIQ”が高い人と低い人を分けるものは何か。キムさんによれば、特に優先順位が高いのは、「好きなことを仕事にしているか」だという。

「仕事が趣味であり喜びの源泉という人は、四六時中、仕事について考えているから、自然と人と差がつきます。特に『好きなこと』×『自分が得意なこと』×『社会的需要のあること』の3つの基準で仕事を選んでいる人は強いですね」

くわえて主体的に仕事を選ぶことから生じる責任感と信頼感も“仕事のIQ”を高める要素だ。適合性の低い会社に、自分を偽って入社したKさんは、営業成績が伸びないのは外因だと考えたり、仕事仲間と距離を置いたりするなど、責任感、協調性に欠けているきらいもある。改めて自分には何の要素が欠けているのか、そして自分が本当にやりたい仕事は何かを見直す必要があるだろう。

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▼キムさんのアドバイス

最大の問題は、向いてない仕事を選んでいること。やりたいことを早々とあきらめ、特別入りたかったわけではない会社に自分を偽った面接で内定を得た。「内定=成功」ではなく、「向いていない内定=キャリア人生最大級のリスク」ととらえなければなりません。

職場の人に違和感があると嘆くのも、お寒い限りです。Kさんが本当にやりたいことと違うことを仕事に選んだのだから、周囲が異なる人種であるのは当然です。

同じ学歴の人の話でないと楽しめないのは、心得違いです。漫画の話題、恋人と行くパチンコからも、マインドセット次第では様々な市場調査ができます。異なる視点、異なる嗜好から新しい世界を学ぼうという謙虚さが必要です。

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ムーギー・キム
1977年生まれ。プライベートエクイティファンドで働く傍ら、作家としても活躍。近著『最強の働き方』(東洋経済新報社)、『一流の育て方』(ダイヤモンド社)がともに大ベストセラーに。

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(鈴木 工=文 PIXTA=写真 アドバイスしてくれる人:投資家 ムーギー・キム)

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