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老親を"悪質セールス"から守る一番の方法

プレジデントオンライン / 2018年1月14日 11時15分

■未公開株の販売も規制の対象に

2017年12月1日から、改正特定商取引法(特商法)が施行される。注目は、権利の販売に対する規制の強化だ。

特商法は、訪問販売や通信販売、電話勧誘販売における商品の販売や役務の提供のほか、権利の販売についても規制対象としている。ただ、規制される権利の販売は、リゾート会員権や映画チケット、英会話サロン利用権など、「指定権利」によって一部に限定されていた。

しかし、指定から漏れた権利の販売についてもトラブルが続出していることから、従来の指定権利制を見直して、新たに「特定権利」を新設。いままで規制対象外だった権利にも広く法の網をかけた。改正法では、未公開株や社債、CO2排出権や金鉱山の採掘権といった権利の販売も規制対象になると解釈される。

また、これまで訪問販売のみだった過量販売(日常生活で通常必要とされている量を著しく超えた販売)規制が、電話勧誘販売にも拡充された。たとえば1人暮らしなのに寝具6セットを電話で勧誘されて買った場合、契約締結から1年以内なら契約の解除ができるようになった。

■要介護認定を受け、見守りの輪の中に

こうした規制強化の背景にあるのは、相次ぐ高齢者の被害だ。特商法に詳しい藤田裕弁護士は次のように解説する。

「悪質なセールスの被害を受けやすいのは、単身の高齢者。1人で孤独に暮らしていると、仲良くしてくれた人の要望にできるだけ応えようという心理が働き、不要なものだと知りつつ断れずに買ってしまう」

商品を売りつけるのは、まだマシだ。なかには高齢者の孤独につけこみ、お金を直接奪うケースもあるという。

「年金生活をしているある男性の家に、パチンコ店で知り合った女性が入りびたるようになりました。女性は『通帳を管理してあげる』といって勝手に年金を引き出し始めた。離れて暮らすお子さんが異変に気づいたのは、女性が出入りするようになって2年経ってから。警察沙汰になりましたが、被害の立証ができず、いまだにお金は取り返せていません」

いくら法律で規制を強化しても、1人暮らしの高齢者が寂しさや不安を抱えているかぎり、弱みにつけこもうとする詐欺師を完全に排除するのは難しい。離れて暮らす認知症気味の親がいたら、いったいどうすればいいのだろうか。

藤田弁護士が期待をかけるのは、自治体の地域包括ケアシステムによる見守り活動だ。

「まず介護保険の要介護認定を得てください。要介護に認定されれば必ずケアマネジャーがつきます。年寄り扱いされたくなくて訪問介護を嫌がる高齢者は多いですが、『買い物や部屋の掃除を手伝ってもらうくらいだから我慢して』と説得しましょう。ほかにも人が出入りしていることを示すことが悪質な業者に対する牽制になり、被害があった場合も早期の発見につながるはずです」

(ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=弁護士 藤田 裕 図版作成=大橋昭一)

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