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遠藤保仁が伝授"何でも楽しむ"という技術

プレジデントオンライン / 2017年12月29日 11時15分

遠藤保仁『「一瞬で決断できる」シンプル思考』(KADOKAWA)

あなたは仕事を楽しめているでしょうか。サッカー日本代表として活躍してきた遠藤保仁さんは「サッカーを楽しくないと感じたら、サッカー選手としてはやっていけない」と断言します。なぜ遠藤さんは「楽しさ」にこだわるのか。そこには「成長」に対する独自の人生観がありました――。

※本稿は、遠藤保仁『「一瞬で決断できる」シンプル思考』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■「楽しむ」ために結果を出すという考え方

仕事において、上司と考え方が大きく違うが、上司の指示には従わなくてはいけないから大変だ、というような話をよく耳にすることがあります。そうした仕事というのは、たいていが「めんどうくさいな」と感じるのものではないでしょうか。

サッカーにおいても、監督がやりたいスタイルと自分がやりたいスタイルの方向性が違うことがあります。僕が理想とするサッカーは、たくさんパスをつないで、たくさん点をとる攻撃的なスタイルですが、監督の志向するサッカーが、守備をがっちり固めるスタイルだということもあるのです。

もちろん、監督がめざすサッカーに合わせなれば使ってもらえないので、その意図をくみとってプレーをしますが、監督の「ああしろ、こうしろ」の指示に、自分の思考を入れずに忠実に従っていても、やはりおもしろくはないものです。

そういうときは、監督のめざすサッカーを踏まえながら、自分の武器をしっかりと試合のなかで出せるよう考えながらプレーしています。そして、「遠藤は、こんなサッカーもできるのか」と思わせるような、監督のイメージを超える結果を出すことに注力します。

結果が出れば、監督は文句を言わないし、使わざるをえなくなるでしょう。僕もプレーの自由度が増して、楽しくプレーができます。監督が僕の理想とするプレーに信頼を寄せてくれるようになれば理想的です。

上司から自分と考え方の違う指示があった場合には、単純に「めんどうくさいな」と思わずに、まずは自分の頭で考えて、上司が「あっ」と思うような結果を出すことを意識してみてはいかがでしょうか。そうすれば、上司もあなたのやり方に一目置いてくれることになり、仕事の自由度も上がり、指示せず任せてくれる部分が増え、仕事が楽しくなるように思います。

■「楽しむ」ことが継続を生む

僕の信念は、いつでも、どんな状況でも楽しむことです。好きで始めたサッカーだから、試合中はもちろん、練習中でも楽しんでやりたいと日頃から思っています。プライベートでもその信念は揺るぎません。

「楽しい」という気持ちがなければ、サッカーはいいプレーができないし、成長もしません。人は「楽しい」ことをしているときに集中力が高まるといわれます。もし、サッカーを楽しくないと感じたら、サッカー選手としてはやっていけないでしょう。

撮影=佐藤亮

それはどんな物事でも同じことだと思います。同じ内容でも、イヤイヤやっている人と、楽しんでやっている人とでは、その成果に大きな差が生まれるはずです。

ウェイトトレーニングだって、楽しんだほうが効果は高くなります。基本的には地味でつらい作業なので、「しかたがない」という気持ちでこなしたら、ウェイトトレーニングの時間がどんどん嫌いになるし、効果が出るのも遅くなるでしょう。

しかし、ウェイトトレーニングも目的をもって取り組むと楽しいものです。たとえば、試合の中で敵の選手に当たり負けをすることが多く、「この部分の筋肉が弱い」と感じたら、体をぶつけられても簡単には倒れないように、特定の筋肉や体幹を鍛えたりします。その結果、当たり負けしない場面が増えて、効果が現れれば、ウェイトトレーニングも楽しくなるものです。

何事も楽しみを取り入れることが物事を続ける秘訣です。ダイエットでも「1キロ体重が減ったら好きなものをひとつだけ食べていい」とマイルールを設定すれば、楽しく続けられるかと思います。

いつでも、どんな状況でも楽しむためには、「やりたくないときにはやらない」というのも考え方のひとつです。もちろん、練習やトレーニングなどは、基本的にチームの決められたメニューをこなします。しかし、個人的なトレーニングをする場合は、体が重い、足が痛むなど、違和感があるときは、その日の体調に合わせます。最低限、これだけはやると決めて早めに切り上げるときもあれば、30分のメニューを10分で集中して行うときもあります。

自分の体のことは自分にしかわかりません。どのくらい頑張るかは、自分しか判断できないのです。予定していた練習を無理にこなすと、大きなケガにつながる恐れさえあります。

ダイエットも勉強も仕事も、気が進まなければ、成果を上げながら継続することはできません。「必ずこれをしなければ」と自分を追い込めば、苦痛になり、最悪の場合は挫折してしまうでしょう。

■「楽しむ」こともプロフェッショナル

楽しく何かをやろうとしているとき、妨げになるのがストレスです。たとえば、まだ起きてもいないことを「こうなったら、どうしよう」と不安になれば、それがストレスになります。

僕は、あまり先のことをあれこれ考えるのは好きではありません。だから、スケジュール帳もあまりチェックしません。もちろん、試合から逆算してトレーニングの予定を立てることはありますが、プライベートの予定は、案外、いい加減です。スタッフから「今日、練習のあとに取材が入っています」と言われて、ようやく思い出すことなど、ざらにあります。

そういうことがあるのも、目の前のことに全力を尽くすのが、僕の基本スタンスだからです。試合のときは、その試合のことだけに集中します。これから試合が続いて体力的につらいから、今日は少し手を抜こうなどと考えるわけがありません。勝利をめざして、今できることに全力を尽くすしかないのです。

練習だって同じです。明日のことを考えてもしかたがありません。目の前の練習に集中する、その積み重ねでしか、サッカーはうまくならないのです。

僕のようなサッカー選手と違って、仕事の場合は段取りなどの準備も大事でしょうし、スケジュールもしっかり管理しなくてはいけません。しかし、先のことばかり考えすぎて、今、目の前にある仕事をないがしろにするのでは本末転倒です。将来の自分は、今の自分の積み重ねであることは忘れないようにしましょう。

「目の前の課題に集中できない」という人は多いかもしれません。しかし、「明日やろう」と先延ばしにしても意味がないのです。状況は悪くなるばかりです。サッカーでも、「筋トレは明日やろう」と先送りすれば、試合で不甲斐ないプレーをしてしまうだけです。

大きな仕事や課題ほど、リスクを恐れて躊躇したり、面倒になったりするものです。しかし、どうせやらなければならないなら、今すぐに始めたほうがいいのです。なかなか手をつけられないときは、小さな作業から始めてみるのもいいでしょう。簡単にできる作業をしていると、自然と勢いがついて、集中力も増していくものです。

まずは最初の一歩を踏み出す意識をもつことが大切だと思います。それは小さな一歩でもかまわないのです。

僕は「楽しむ」ことに関しては自信があります。これは僕の持論ですが、「楽しむ」ことも一種のスキルだと思います。何でも楽しめる人もいれば、何をやっても不満を感じる人もいる。人生に遅いということはありません。今から「人生を楽しむ」練習をしておくのはいかがでしょうか。

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遠藤保仁(えんどう・やすひと)
1980年1月28日、鹿児島県生まれ。鹿児島実業高校卒業後の1998年に横浜フリューゲルスに入団。京都パープルサンガ(現・京都サンガF.C.)を経て、2001年にガンバ大阪に加入。数々のタイトル獲得に大きく貢献し、2003年から10年連続でJリーグベストイレブンに選出され、現在もガンバ大阪の中心選手として活躍中。また、U-20日本代表をはじめとし、各年代の日本代表に選出され2002年11月に日本代表国際Aマッチデビュー。その後は、日本代表の中心選手として活躍し3度のワールドカップメンバーに選ばれる。「日本代表国際Aマッチ出場数最多記録保持者」「東アジア最多出場記録」「2009年アジア年間最優秀選手」「2014年JリーグMVP」など数多くの記録を持つ。178cm、AB型。

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(遠藤 保仁)

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