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ネットのレビューが"読むに値しない"ワケ

プレジデントオンライン / 2018年4月19日 15時15分

写真=iStock.com/Razvan

プレジデント誌の好評連載「悩み事の出口」。ライフネット生命の創業者で、立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんが、読者の悩みに答えます。今回のお題は「情報の取捨選択」。出口さんは「新聞の書評欄がちょうどいい」といいます――。

■Q:情報過多の現代、何を取捨選択すればいいか判断しかねます

Google検索をしたことがありますか? 変なことを書きなぐる人は山ほどいますが、Googleの検索エンジンは大変優秀なので、きちんとしたデータしか上に来ないはずですよ。

――まずはネットで検索してみるということですね。出口さんは何かを調べるとき、どうしていますか?

ネットを使うときは信憑性を検証するため、時間があれば英語のデータと照らし合わせてみます。日本語の情報が偏っている場合は、日本語版と英語版のWikipediaを比較するだけでも直ぐにわかります。

――英語は情報発信者や量が圧倒的に多いです。新聞はどうですか?

「読売」「朝日」「日経」の3紙を購読しています。日経は定期的に「フィナンシャル・タイムズ」などの論説を掲載しているでしょう。それを読んだ後で日経の社説を読むと、大学院生と大学生ぐらいの差を感じるときもありますね。

――では、本を選ぶ基準などはありますか?

僕は、本はほとんど新聞の書評で選んでいます。新聞の書評は、著名な学者や評論家が書評委員となって本名で一生懸命書いています。恥をかきたくないからモチベーションが担保されている。ネットの書評は、ほとんどが匿名でしょう。

――ネットのレビューは読まないのですか?

全く読まないです。それに関しては経営学者の楠木建先生がド正論を言い放たれました。

僕が先生と対談したとき、質疑応答で、ある学生が「先生は本を選ぶとき、ネットのレビューをご参考にされますか?」と、緩めの直球を投げました。すると「名前すら明らかにしない有象無象の人が好きなことを書きなぐっている欄を読むのは時間のムダだ、というくらいの分別は君にもあるよね?」と。

――新聞の書評とは、それほど信頼度が違うんですね。

100倍以上の差があると思います。素人の口コミも、参考程度に読むのはいいでしょう。

――ベストセラーのなかにも、読むに値しない本はある?

はい、たくさんあります。売れる本と良書は違います。テレビで話が上手くて有名な学者が、学会で全く評価されていないケースはたくさんあります。短期的に見ると、一流の学者が書いた専門書は、三流の学者が書いたわかりやすいトンデモ本に淘汰されてしまう。

だから僕はいつも、ベストセラーであっても新聞の書評に載ってから読むのがちょうどいいと言い続けています。

自分で選ぶのであれば、最初の10ページが面白くて、かつ出所が明らかで相互に検証可能なデータを用いていることが最低条件ですね。

Answer:ベストセラーでも、新聞の書評欄に載ってから読むのがちょうどいい

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出口治明(でぐち・はるあき)
立命館アジア太平洋大学(APU)学長
1948年、三重県生まれ。京都大学卒業。日本生命ロンドン現地法人社長、ライフネット生命社長・会長を経て、2018年1月より現職。
 

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(立命館アジア太平洋大学学長 出口 治明 構成=八村晃代 撮影=市来朋久 写真=iStock.com)

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