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なぜ、アマゾンの倉庫番は走らないのか

プレジデントオンライン / 2018年9月23日 11時15分

佐藤将之氏

■アマゾンの企業理念が知られていない

アマゾンが我々の生活に根付く一方で、小売店の相次ぐ閉店など、他産業を食い物にする「商習慣の破壊者」といったイメージを持たれることも少なくない。そういった負の印象が付いて回るのは「アマゾンの企業理念が知られていないから」だと、アマゾン ジャパン立ち上げメンバーであり、現在は経営コンサルタントとして活躍する佐藤将之氏は語る。

「創業者ジェフ・ベゾスの言葉『カスタマーズ・ルール!(お客様が決める)』、これがアマゾンを象徴しています。徹底した顧客第一主義がアマゾンの企業理念なのです。徹底してニーズに応える選択肢を用意しているだけで、他産業を壊すという意図はない」

確かにアマゾンが生まれなかったと仮定して、現在も町の商店街が活気づいていたのかどうかを考えると、懐疑的にならざるをえない。

顧客第一主義の経営理念に共感した佐藤氏は、これを世に伝えたいと思い本書を書き下ろしたという。著書の中には「パワーポイント禁止」「説明資料は箇条書きでなく文章化」など、多くのアマゾンルールが記されている。なかでも日本企業との大きな違いとして「善意に頼る経営」をしないことを佐藤氏は挙げた。

「おもてなしとよく聞きますが、提供する側に余裕がなければ本当のおもてなしはできない。大事なことは仕組みづくりなのです」(佐藤氏)

■「走って間に合わせる」はダメ

例えば倉庫での作業。出荷作業が納期に差し迫ると「走って間に合わせる」という選択をすることが日本企業には多い。走ることは怪我にも繋がり、さらには「間に合ったんだからもっとやれるよね」と仕事が増えるのはありがちな事例。一方アマゾンは、細かく作業段階ごとにチェック項目をつくり、トラブルをカバーできる仕組みをつくる。「それでも間に合わないなら、そもそもそのサービスは行わない」のだという。

「個人の善意に頼る経営では人によって差が生まれ、確立したサービスを顧客に提供できない」と佐藤氏は語る。

また、アマゾンの上下関係は、部下がドクター、上司がナースと形容される。実際の人事評価も、上司本人ではなく、部下へのサポートや部下の成果が大きく評価されるそうだ。

「アマゾンの考え方は人生訓に近い。だから今でも共感できるんです」と話す佐藤氏。働き方改革が叫ばれる近年、仕事に対する価値観を学び直すには、いいタイミングなのかもしれない。

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佐藤将之
2000年にアマゾン ジャパン立ち上げメンバーとして入社。オペレーション部門のディレクターとして国内最大級の物流ネットワークの発展に寄与。

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(ライター 宮上 徳重 撮影=榊 智朗)

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