ソフトバンク通信事業より儲ける飯のタネ
プレジデントオンライン / 2018年10月7日 11時15分
■大きな転換点となったのは「英アーム」の買収
ソフトバンクの2018年4~6月期は営業利益7150億円となり過去最高を更新した。大きく伸びたのが前年比2.3倍の2399億円の利益を上げたファンド事業。2218億円の利益を上げた国内通信事業を上回った。
現在のような出資者を募る形で投資事業がスタートしたのは17年にソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)を設立してからだが、投資に関する大きな転換点となったのは、16年の英半導体設計企業アームの買収だ。
3兆円を超えるソフトバンクにとって過去最大の買収であり、通信分野以外への投資であることや、日米以外のグローバル全体を見据えたものであることなど、それまでの投資とは内容が違うものだった。
ソフトバンクが現在重点的に投資しているのは、特定の技術やサービスではなく、今後既存の産業を変革する可能性がある分野である。具体的には交通システム、金融、不動産、医療などだ。出資している米ウーバーや中国の滴滴出行など、一般的にはタクシー配車会社と呼称されることが多い企業でも「トランスポーテーション」と呼び、交通システムそのものだという認識を示している。
■営業利益を支えたのはインドのネット通販の売却
アームやインドのスマートフォン決済ペイティーエムのように、テクノロジー面で通信事業とのシナジーを狙って投資するケースもある。ただしSVFから投資する場合は、あくまでファンドの利益が優先されることになる。
18年4~6月期の投資事業の営業利益が大きく伸びたのは、インドのネット通販フィリップカートの株を米ウォルマートに売却することが決まった時期だったことが大きい。ただ、ソフトバンクは18年6月末現在の公開だけで322億ドルの投資を将来的に1000億ドル(約11兆円)まで引き上げる目標を掲げている。
今後は事業運営に加え、投資事業の重要性が高まってくるだろう。
(野村証券アナリスト 増野 大作 構成=吉田洋平 写真=iStock.com)
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