1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

"生きているが働けない"が人生で一番怖い

プレジデントオンライン / 2018年11月18日 11時15分

写真=iStock.com/JohnnyGreig

医療費の負担を抑えるには、なにがポイントになるのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では11のテーマに応じて、専門家にアドバイスをもとめた。第5回は「就業不能」について――。(第5回、全11回)

■給与所得者には手厚い保障がある

現役世代にとって、収入が途絶えたり、減少することに対する恐怖は昔に比べて格段に高まっています。近年の税金や社会保険料のアップで、年収が変わらなくても手取り収入が減少する世帯がある一方、教育費は年々増加。児童のいる世帯の約6割以上は「生活が苦しい」と感じています。

また、以前だったら助からなかった命も医療の進歩によって永らえる半面、重い障害が残り働けずに収入が減少することを考えると、生命保険だけでは心もとないと感じる人もいるのでしょう。子どもの教育費や住宅ローン返済など多くを背負う現役世代。長期にわたり収入が途絶えれば、家計は深刻な状況に陥るでしょう。

このような現役世代の心配に裏打ちされて注目されつつあるのが「就業不能保険」です。最近、多くの生命保険会社が取り扱いを開始しており、認知度も高まってきました。この商品は、病気やケガで働けない一定の状態(取り扱い各社・商品で異なる)を「就業不能」とし、給付金を支払うものです。重い病気やケガ・障害などで、60日以上などの長期にわたる就業不能状態での収入減少に備えるのが目的ですが、長期療養になりがちな精神疾患については、給付の対象外とする商品も少なくありません。なお、失業やリストラで仕事ができない状態は就業不能ではないので、この保険では備えられません。

給付期間は商品により異なります。就業不能状態が続く限り、65歳までなど長期にわたり給付を受けられるものや確定年金のようにあらかじめ定めた期間について給付金を支払うもの、一時金で給付するものもあり、給付要件や給付期間等をよく確認することが大切です。

ですが、就業不能保険の検討に先だち、まずはいざというときに強い味方となる、社会保障給付を押さえることから始めましょう。

サラリーマンの場合、業務上の病気やケガに対しては労災保険があります。療養のため4日以上欠勤した場合、「休業(補償)給付(+休業特別支給金)」が、一定の障害が残った場合には「障害補償給付」などが受けられます。業務外の病気やケガでは、4日以上欠勤せざるをえなくなれば、健康保険から「傷病手当金」が給付されます。1年6カ月間、給与の3分の2が支給され、給与の出ない欠勤状態でも、急に無給状態にはなりません。

あるいは、病気やケガで治療が長引き、1年6カ月を超えても回復の見込みがない場合には、年金制度から「障害年金」を給付される場合もあります。厚生年金に加入しているサラリーマンは障害基礎年金に加え、報酬比例の障害厚生年金もあり、障害が続く限り一生涯にわたり給付されます。

つまり、万が一に備えるには、何もかも自助が必要なのではなく、“すでにある給付”を踏まえ、必要と考える分だけ保険を用いるのがポイントなのです。併せて、公的給付を受けるときには、自ら手続きが必要なことも知っておきましょう。助けとなる制度を知らなければ申請もできず、給付も受けられないでしょう。制度や手続きの窓口を知ることは身を守ることに繋がるのです。なお、自営業者に労災保険や傷病手当金はなく、障害年金も基礎年金のみと給付が限定的なので、自助努力の必要性はサラリーマンより高くなります。

----------

就業不能保険の前に、公的保障の内容を押さえよう

----------

----------

清水 香(しみず・かおり)
生活設計塾クルー取締役
学生時代より生損保代理店業務に携わるかたわら、FP業務を開始。2001年、独立系ファイナンシャルプランナーとしてフリーランスに転身。
 

----------

(生活設計塾クルー取締役 清水 香 構成=宇野アキラ 撮影=北村泰弘 写真=iStock.com)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください