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独身が"買っていいマンション"の7大条件

プレジデントオンライン / 2018年11月13日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kohei_hara)

家賃はもったいない。一人暮らしで毎月10万円の家賃を払っている場合、全額を住宅ローンで借りれば、月の返済額は7.1万円で済む。家賃なら2年で240万円を失うだけだが、持ち家ならローン返済にあてられる。ただし「買っていいマンション」には7つの条件がある。その条件とは――。

■独身が家を買う実態と理由

家賃はもったいない。10万円の家賃を2年間支払ったら、240万円の現金を確実に失う。もし家賃10万円のマンションを買うなら、価格は2500万円程だ。全額住宅ローンを借りるとすると、月の返済額は7.1万円で済む。これだけみても買ったほうがいい。

実際、1年間に約8600人の首都圏の独身者が持ち家を取得している。購入者の6割が女性である。私は「住まいサーフィン」というサイトで購入者支援をしている。サイトで「自宅購入が資産形成につながったか?」というアンケートをしたところ、86%がYESと回答していた。これが実態だ。

独身時代に家を買う積極的な理由はたくさんある。

(1)定年時の単身率が未婚や離婚で合計約5割と高いこと
(2)90歳を寿命にすると賃貸費用は持ち家の1.5倍はかかること
(3)住宅ローンは定期収入が減る65歳までに返済しないと厳しいこと
(4)定年後は賃貸の審査が厳しく入居しにくいこと

などだ。独身でもマンションは買ったほうがいいのだ。

(1)について説明を加えておこう。2035年時点で全国の生涯未婚率は男性が29.0%、女性は19.2%だ。(国立社会保障・人口問題研究所)。都市部の未婚率は全国より高い分、東京都区部では男33%、女28%に達するものと筆者は推計している。たとえ結婚しても離婚する確率も高く、それを含めると、単身率は50%ほどになる。「2人に1人が老後を単身で迎える」ということだ。

居住地と性別で老後単身率は大きく変わる。たとえば「渋谷区に住む現在32歳の女性」という属性から老後単身率を割り出すことができる。その算定ツールは公開しているので、気になる方は「家活 おひとり」で検索すれば、あなたの老後単身率は10秒で判明する。

■あなたは家を買うべきか診断

単身時代から積極的にマンションを買うことを、私は「家活(いえかつ)」と名づけた。就活が終われば、婚活より家活を優先したほうがいい。その家活にどの程度向いているかの診断項目が、以下の10の質問だ。5つ以上該当するなら、家を買うことを今すぐ考えたい。

【質問事項】
□年収が400万円以上ある
□休日は一人で過ごすことが多い
□ペットが飼いたい
□田舎よりも都市に住んでいたい
□社宅や住宅手当が月3.5万円以上ない
□情報収集力に自信がある
□やりくり上手である
□向上心が強い
□他人に甘えられることが多い
□生活レベルを下げられない

■自宅は最も資産形成しやすい方法

私は自宅を住み替えて資産を1億円以上増やしている。これは実質的にお金をもらいながら自宅に住んでいるに等しい。その方法を本に書いたら、ベストセラーになった。そのやり方に加えて、物件の良しあしまで提示したサイト「住まいサーフィン」を立ち上げたところ、23万人が入会した。会員の自宅査定をしてみると、71%が買った価格より値上がりし、99%が売却で資産を増やせるほど、資産形成に成功している。

自宅査定した人の物件の平均購入価格は5816万円。築10年経過したときの値上がり額は平均620万円で、元本の返済が1599万円程進んでいるので、売却すると手元に2219万円が増えて返ってくることになる。これは最近の相場上昇の影響を受けているものの、自宅に資産形成効果があることは世に知られてきた。実際、マンション大手7社、メジャーセブンの調査結果では、マンション購入者の検討理由の1番が「資産性」になっている。

これは単身でももちろんできるし、単身は身軽だからやりやすい。含み益を出すために住み替えるときの、最大の抵抗勢力は家族だが、単身なら何の障害もない。ちなみに、自宅は売買差益に対して3000万円まで無税になる(投資の場合、5年以内に売却すると約4割が税金で取られる)。この制度は2年おきに使うことができる。私が単身なら、2年おきに引っ越したいくらいだ。

■独身が必ず守るべきマンションの選び方

自宅マンション選びでは、絶対に失敗は許されない。なぜなら、自宅は1戸しか買えないからだ。これで失敗すると、人生の足かせができてしまう。だからこそ、失敗しないために必ず守るべきことを7つ提示しておこう。

まずはなるべく若いうちに買おう。それは生涯住宅コストが安くなるからだ。新入社員でも3カ月たてば住宅ローンは組めるようになる。購入は早いに越したことはない。

物件選びで一番重要なのは立地だ。マンションは「1に立地、2に立地」なのだ。首都圏であれば、千代田区・中央区・港区・渋谷区・江東区・品川区・目黒区の7区がAクラスで、資産性が高い。Bクラスは文京区・台東区・豊島区・新宿区・世田谷区・墨田区の6区までだ。

このエリア以外では資産性が保てないので、買ってはいけない。ローンを完済できないほどに値下がりする可能性があるからだ。売れない不動産は負債でしかない。このエリアの物件価格が高いというなら、新築でなく中古でもいい。エリアを外したら、ノーチャンスになる。

上記エリアの中で駅からの徒歩分数が4分以内の物件を選ぼう。単身向きはファミリータイプよりシビアに駅から離れると命取りになる。徒歩5分以降の物件は、1分遠くなるに従い、資産価値の落ち方が早くなる。

物件は総戸数がなるべく多く、共用部分が充実しているほうがいい。例えば、ジムやゲストハウスやカーシェアなどは大規模マンションでないとそろっていない。これらはQOLを高めるものだが、ファミリーよりも単身のほうが利用価値が高い。

階数は低層よりもタワーマンションのほうが資産性は高い。ランドマークとして目立つ物件ほど、価格が下がりにくい。タワーの低層階には単身向きの住戸が多い。

面積は少なくとも30平方メートル以上が絶対条件になる。理由は住宅ローンの面積制限の下限値だからだ。できれば、50平方メートル以上のほうがいい。住宅ローン控除の下限値だからだ。この差で最大減税効果が400万円違う。これがあると、住宅ローンが実質マイナス金利になる。4000万円の1%が還付されるのに対して、現在の金利は1%未満だからだ。住宅ローンを借りると金利負担がゼロである以上に、お金がもらえるのが現状なのだ。

■販売価格は「適正価格以下」か

最後に、販売価格が適正価格以下であることを確かめよう。「住まいサーフィン」では、新築マンションすべてに適正平方メートル単価を表示している。中古マンションなら、マンション名と号室指定で、成約ベースの取引価格を査定できるので、10秒で適正価格が判明する。高値づかみだけは避けなければならない。

整理しておこう。単身が家活するには、以下の7つの法則を守るべきだ。

(1)年齢の若いうちに
(2)都心のアクセスの良い行政区で選ぶ
(3)駅徒歩は4分までがベター
(4)大規模のほうが共用部分は充実
(5)タワーの方が資産性は高い
(6)面積は30平方メートルが絶対条件、50平方メートル以上がベター
(7)適正価格以下で

■家活はこれからもうかりやすいネタ

日本の総人口は減少の一途をたどっている。東京は今のところは流入が多いので人口が増えているが、少子高齢化でファミリー世帯は既に右肩下がりだ。現時点でも、ファミリー世帯は98万しかおらず、独身世帯は139万と増え続けている。また、面積が狭いほど賃料単価は高くなるので、単身向きの住戸ほど利回りが高い。こうなると資産性が安定するのは面積が狭い住戸になりがちだ。

沖有人『独身こそ自宅マンションを買いなさい』(朝日新聞出版)

そして、住宅ローン控除の制度については、不動産業界団体から政策提言が行われている。マイホームの面積は一般的に50平方メートル以上と認識されていたが、単身者の自宅購入が増加していることを背景に、40平方メートル以上もしくは30平方メートル以上に変更を促すものである。数年前から出されている要望で、需要の高まりを受けて、遠くない将来採用される可能性が高いと考えている。これが採用されると、不動産価格に与える影響は大きい。

40平方メートル台のマンションが住宅ローン控除の対象になれば、10年で最大400万円の還付金がもらえるようになる。そうなると、40平方メートル台のマンションは需要喚起され、値上がり必至になる。400万円の還付金と数百万円の値上がり益が得られれば仲介手数料や諸費用を十分にまかなうことができるので、一時的にブームになるだろう。

独身のための家活の詳細は、私の14冊目の新著『独身こそ自宅マンションを買いなさい』(朝日新聞出版)を参照されたい。実際にうまくいった人の事例などが載っている。自宅は誰にでも必要なものなので、それで資産形成するという手法を身につければ一石二鳥になる。このためには、きちんとした自宅購入の知識を蓄えるしか方法はない。

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沖有人(おき・ゆうじん)
スタイルアクト代表
1988年、慶應義塾大学経済学部卒業。監査法人トーマツ系列のコンサルティング会社、不動産コンサルティング会社を経て、1998年にアトラクターズ・ラボ株式会社(現在のスタイルアクト株式会社)を設立、代表取締役に就任。著書に『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『独身こそ自宅マンションを買いなさい』(朝日新聞出版)など多数。分譲マンション情報サイト「住まいサーフィン」(https://www.sumai-surfin.com/)、独身の住まい探し情報サイト「家活」(https://iekatu.com/)を運営している。

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(スタイルアクト代表 沖 有人 写真=iStock.com)

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