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"安倍総裁4選"があり得るこれだけの理由

プレジデントオンライン / 2018年11月13日 9時15分

2016年8月21日、リオデジャネイロ五輪の閉会式で、マリオに扮して登場した安倍晋三首相。このときは「3選」は党則で禁じられていた。(写真=AFP/時事通信フォト)

9月の自民党総裁選で3選を果たした安倍晋三首相。気の早い評論家たちは「3年後は誰か」という議論を始めているが、その前に問いかけたいことがある。「安倍4選」は絶対にないのか。自民党の党則は「連続3期9年まで」となっているが、それなら党則を変えればいい。実際、安倍氏は「2期6年」の党則を変えている。「もう1回」となってもなんら不思議はない――。

■首相から大統領に復帰した「プーチン方式」が参考になる

自民党内では「プーチン方式」という言葉が冗談交じりで語られている。ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領は、2000年に大統領就任。ロシアは大統領連続3選が禁じられているので彼は、2期8年務めた2008年、メドベージェフ氏を後継指名した。

メドベージェフ氏が大統領になると、プーチン氏は指名を受ける形で首相になった。もちろんロシアのトップは大統領だがプーチン首相は事実上の院政を敷き、メドベージェフ氏をあごで使った。そして次の2012年大統領選で大統領に復帰。さらに今年の大統領選でも勝ち2024年まで大統領にとどまることになった。

「プーチン方式」を日本の政治に当てはめれば、2021年3期を終える安倍氏は後輩にいったん首相の座を譲り、後継者が1期を終えたところで返り咲くということになる。「プーチン方式」で安倍氏が2024年9月に首相に返り咲いたとする。9月21日の誕生日までに総裁選が行われれば安倍氏は69歳。若いとは言えないが、十分首相を務められる年齢だ。

■首相の座を「レンタル」する人物は加藤勝信氏か

安倍氏とプーチン氏は気が合って、首脳会談も重ねている。安倍氏はプーチン氏のことを「ウラジーミル」とファーストネームで呼ぶ。そういう間柄であることも、プーチン氏の手法を参考にするのではないか、との臆測の根拠の1つとなっている。

3年間、首相の座を「レンタル」する人物として、最近「ポスト安倍」候補として注目度が高まっている加藤勝信・党総務会長の名を上げる人物までいる。

しかし、わざわざ3年間、他人に首相の座を譲るような、まどろっこしい方法をとる必要があるだろうか。もし、2021年以降も権力の座にとどまろうと考えるのなら、ブランクはつくらず、首相を続けて4選を狙う方が手っ取り早い。今の自民党の党則は4選を禁じているが、党則は変えられる。

■3選論が台頭したのは「安倍マリオ」あたりだった

乱暴な議論のように聞こえるかもしれない。しかし2015年、安倍氏が無投票で再選を果たした時、党則で3選は禁じられていた。この段階では、安倍氏は2018年、つまり今年9月に首相から退くことが党則で決まっていた。

3選できるようにしようという機運が高まり始めたのは、翌2016年の夏ごろ。2020年の東京五輪を「安倍首相」で迎えようという意見とともに党則改正論が台頭した。

2016年8月、リオデジャネイロ五輪の閉会式で、安倍氏が「スーパーマリオブラザーズ」のマリオに扮して出席した時、感想を求められた二階俊博幹事長が「(3選の)意欲がなければリオには行かないだろう」と語ったあたりから流れができた。同年秋から党内で党則改定の議論が始まり、翌年3月の党大会で正式決定した。

3選を可能にする党則の変更は、安倍氏のためとしか言いようがない。究極の我田引水といえるルール改正だった。

当然、石破茂氏、岸田文雄氏ら「次」を狙う議員の周辺からは「なぜ今なのか」と異論も出たが、それほど大きな声にならなかった。あまり反対論を唱えると、逆に安倍氏を封じ込めて自分が総裁になりやすくしようとしていると思われるのを気にしたのだ。

■2016年にもあった「多選制限撤廃」案

当時の党内の議論で、注目すべきことがある。議論が始まった時から3選に道を開くことでは大筋固まっていたのだが、具体的な方法として2案あったのだ。

1つ目は「連続3期9年」まで可能にする案。もう1つは「多選制限撤廃」案。つまり3期にとどまらず4期でも5期でも無制限でできるようにする案だ。

最終的には党の議論をリードした高村正彦氏の持論である「3期9年」で落ち着いたのだが、「多選制限撤廃」は2年前の議論でも有力な案の1つだった。再燃する素地は十分ある。

安倍氏は3選された後、さかんに「残る3年」という言葉を繰り返す。4選など全く想定していないことを強調しているように聞こえる。実際、安倍氏は現段階で4選を基軸に考えているわけではないだろう。

ただ、忖度する周辺が4選の機運を高めていった時、どう考えるか。その時の政治情勢も勘案しながら、2年前のように、野心を抱き始めることもあるだろう。

■来年の参院選で自民党が勝てば「4選論」の出発点に

もちろん、4選という力技を実現するには前提条件が必要だ。安倍氏が安定的に政権運営し、その上で「安倍氏にしか進めることができない」という政治課題が存在することが条件となるだろう。

重要になるのは来年の参院選だ。自民党が勝利を収めれば、そこが4選論の出発点となるだろう。

その時点で憲法改正の道筋がついていなければ「改憲が決着するまで」という理屈で続投の理由がつく。もし、改憲の方向性が出ていれば、拉致問題や北方領土などの外交課題を持ち出して「安倍氏にしか解決できない」ということもできる。4選を目指すことさえ決まれば、理屈は後からついてくる。

■小泉進次郎氏が経験を積むまで、安倍氏に続けてもらう

こういった噂が出る背景には、安倍氏の後継候補がなかなか見えてこないという事情がある。石破氏は先の総裁選の地方票で健闘して「ポスト安倍」レースで一歩抜けた印象があるが、肝心の国会議員票では2割にも満たなかった。

その他は岸田氏、加藤氏、茂木敏充経済再生担当相らの名が上がるが、政治的力量、知名度、人望ともに心もとない。石破氏も含めて4人は、いずれも60歳代。64歳の安倍氏とほぼ同世代だ。これでは、対外的に世代交代したというアピールができない。

ならば、37歳と若い小泉進次郎・党厚労部会長がもう少し経験を積むまでの間、安倍氏に続けてもらったらどうか。そういう考えを抱く議員が自民党内に少なからずいるのは事実なのだ。

(プレジデントオンライン編集部 写真=AFP/時事通信フォト)

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