"一生港区"貫く女性に必要な資産は1億円

プレジデントオンライン / 2018年11月15日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/oneinchpunch)

東京都港区で暮らす33歳・会社員のAさんは、「リタイア時に1億円の資産が欲しい」と漠然と考えている。相談を受けた資産形成アドバイザーの福田猛氏も、「港区での生活を続けるには、その程度の資産形成が必要」と分析する。しかし今のAさんが毎年貯蓄できるのは150万円ほど。これでは足りない。そこで福田氏が出した「1億円達成」への提案とは――。

■港区の利便性や満足感「捨てるのは難しい」

東京都港区。東京のど真ん中で、おしゃれな街がたくさんあり、憧れを持つ人も少なくない。そんな憧れの街で生活をしているAさん。赤坂の企業に勤めるAさんは大学卒業後現在の会社に就職し、仕事もバリバリこなす。職場からも近い南青山に数年前に引っ越してきた。「家賃は高いけど利便性が良く、おしゃれなお店も多くすごく満足している」という。これまで仕事中心の生活をしてきて、現在独身で33歳になったAさんは、「老後のことも含め、資産運用のことも考えていきたい」と語る。

Aさんは自身のライフスタイルに満足しているものの、お金の問題については不安も抱えている。家賃や物価なども他の地域と比べて高く、このままずっと暮らしていきたいけど、今のままで良いのだろうかといった漠然とした不安だ。

■1年の貯蓄額150万円をどう増やしていくか

Aさんの年収は700万円と同年代の女性よりも高め。

一人暮らしで、家賃は月約16万円。会社から5万円の補助が出るので、自分で11万円を支払っていることになる。港区の一人暮らしの賃貸物件の相場は10万~15万円程度が多いとのことだが、Aさんは港区の中でも家賃が高い南青山に住んでいるため、家賃は割高だ。

Aさんの支出は、家賃で月11万円、光熱費・食費・通信費・被服費などで合計10万円程度、交際費などで5万円程度と、毎月合計26万円ほどの支出があるという。総務省の家計調査(2017年・家計収支編)によると、単身世帯の支出の平均は約16.1万円程度なので、やはり支出は多めと言えるだろう。

Aさんの手取り年収は500万円強。支出は月に26万円程度のため、1年で312万円となる計算だ。年に1週間ある夏季休暇には友人と海外旅行を楽しむなど、別途必要な費用もあるため、年間350万円ほどはかかることになる。そうなると、1年間の貯蓄額は150万円。Aさんは、この資金をどうするかが課題と言えるだろう。

Aさんは自身の将来設計について、「結婚しても仕事は続けたい、定年後は年に1回は旅行をしながらゆっくり生活をしたい、そして港区のような都心に住み続けたい」という希望を持っているという。

■余裕のある生活を目指すならリタイア時に1億円必要

福田猛『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)

将来の希望を叶えるために、Aさんは「リタイア時に1億円の資産形成をしたい」と漠然と考えているそうだ。65歳時点でリタイアし、年金が仮に現状のままだと仮定すると、Aさんの年金収入は月15万円程度になる。家賃の補助はなくなるため、現状よりも負担は5万円ほど上昇する。退職金は約2000万円、余裕のある生活のための支出は毎月35万円と想定したときにどうなるだろうか。

私はAさんの話を受け、月の支出が35万円で、65歳から95歳まで生活すると仮定してアドバイスした。まず、35万円×12カ月×30年=1億2600万円が生活費として必要になる。年金の給付額が(将来的に65歳から年金が出るかはわからないが)仮に月に15万円だとすると15万円×12カ月×30年=5400万円となると、差し引き7200万円を生活費として用意しなければならない。その他に病気などでお金がかかる可能性もあるので、やはりAさんがいう通り1億円程度の資産形成ができれば理想的だ。

Aさんの年間貯蓄額は150万円。60歳までの27年間にこの金額の貯蓄を続けたとしても、4050万円。退職金が2000万円あったとしても、1億円には足らない。

そこで資産形成の計画が重要になってくる。30代前半の若いうちから目標を持って資産形成を始めることはとてもよいことだ。特に複利効果が期待できる。Aさんのように60歳までの27年間で運用をした場合の複利効果は非常に大きくなる。また、「金融資産1億円」といった分かりやすい目標があるほうが資産運用を継続しやすくなる。

■27年間の積立投資で資産を増やす

Aさんの年間貯蓄額は150万円なので、1カ月あたりでは12万5000円。この資金を毎月、投資信託による積立投資ができれば理想的だ。積立投資の基本は全世界の株式に投資する投資信託だ。月12.5万円を27年間、期待リターン年率5%で運用をした場合には、累計の投資額が4050万円に対して、評価額は約8420万円まで上がる。

「そんなに増えるのか」と思う方は、インターネットで「金融電卓」と検索してみてほしい。実際に試算して、資産形成の利回りのシミュレーションができるサイトがさまざまヒットする。一度試算すれば、複利効果がいかに大きいかがよく理解できるだろう。

8420万円には利益分に税金がかかるため、もちろん全額受け取ることはできない。しかし、12万5000円の積立投資の資金の一部を、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」といったなるべく税優遇を受けられる制度を利用することで、税負担を減らせる。そして、貯まった資金に退職金やこれまでの貯蓄を加算すると、「金融資産1億円」が見えてくるという計算だ。

「うまくいくわけがない」という考えもあるだろう。だが、株式投資信託による長期・積立・分散投資で時間を味方に付けることは、仕組み・有効性・過去の実績などを考えても効果が期待できることを資産形成アドバイザーとしては強調しておきたい。

■資産形成は続けることが大事

資産形成を成功させるうえで大切なことは、「資産形成を止めないこと」である。株式投資信託による長期・積立・分散投資は世界中でその効果が認められている方法だ。書店にも読みやすい本がたくさん並んでおり、初心者でも気楽に始められる。だが実際には、途中で止めてしまう人も多い。

毎月同じ金額をずっと長期で投資し続ける積立投資の本質は、「量を積み上げること」だ。株式投資で避けて通れない相場下落局面は「量をいっぱい買う」のに必要な時期でもある。ただ、そういう時は世の中に悪いニュースが多く、不安になって投資を止めてしまう人が大勢いるのである。そうならないよう、「まず10年は続ける」と決めて是非継続してほしい。

----------

福田 猛(ふくだ・たけし)
ファイナンシャルスタンダード 代表取締役
大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして活躍中。2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)がある。

----------

(ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役 福田 猛 写真=iStock.com)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング