1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

読者1万人が選んだ鉄板「マネー本」10冊

プレジデントオンライン / 2018年11月19日 9時15分

『プレジデント』2018年10月15日号の特集は特集は「『ビジネス本』総選挙」

信用できる「マネー」本はどれなのか。雑誌『プレジデント』は1万人の読者投票から本当に役立つマネー・投資本を10冊選んだ。この10冊を読破したファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏は、「10冊のうち、絶対におすすめできる3冊がある」という。どんな本なのか――。

■読者1万人が選んだ鉄板「マネー本」10冊

雑誌『プレジデント』2018年10月15日号の特集は「『ビジネス本』総選挙」だった。読者1万人による投票などから「本当に仕事に役立つ必読書ランキング」を掲載している(※)

※調査概要:2008年~2018年までのプレジデント誌で実施した読者調査(5000人)に今回新たに同誌定期購読者「プレジデントオンライン」メルマガ会員を対象にした調査(5000人)を合算し、「読者1万人調査」とした。

このうち「総合」の1位は『道をひらく』(松下幸之助 PHP研究所)、2位『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎 マガジンハウスほか)、3位『生き方』(稲森和夫 サンマーク出版)、4位『坂の上の雲』(司馬遼太郎 文春文庫)、5位『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健 ダイヤモンド社)だった。特集ではそれぞれの書籍について、識者に「読み方」を聞いている。6~10位の作品など、詳細は誌面をご覧いただきたい。

誌面では、「総合」のほかにも、「マーケティング・営業」「勉強・啓発」「マネー・投資」「IT・会計」「小説・マンガ」の5つのジャンルごとに、それぞれトップ10冊を紹介している。

■ロバート・キヨサキ、池上彰、横山光昭……

筆者はそのうち「マネー・投資」について、ファイナンシャルプランナー(FP)の立場でコメントした。ランキングの上位10冊は次の通りだ。

【マネー・投資部門TOP10】
1位:『改訂金持ち父さん貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ 筑摩書房)
2位:『知らないと損する 池上彰のお金の学校』(池上彰 朝日選書)
3位:『はじめての人のための3000円投資生活』(横山光昭 アスコム)
4位:『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(山崎元・大橋弘祐 文響社)
5位:『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(渡部清二 東洋経済新報社)
6位:『宝くじで1億円当たった人の末路』(鈴木信行 日経BP社)
7位:『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(藤野英人 星海社新書)
8位:『臆病者のための株入門』(橘玲 文春新書)
9位:『となりの億万長者[新版]』(トマス・J・スタンリー 早川書房)
10位:『これからを稼ごう』(堀江貴文著・大石哲之監修 徳間書店)
出典:『プレジデント』(2018年10月15日号)、特集「『ビジネス本』総選挙」』より

■一流FPが10冊すべてを読み、厳選した「3冊」

コメントするにあたり、筆者はランキング入りしたすべての本を読んだ。上位10冊は大きくわけて、「お金を通じて人生や価値観を考える」と「お金を貯める、増やす、節約するための指南書」という2つのタイプにわけられる。

1位の『改訂 金持ち父さん貧乏父さん』は前者のタイプで、お金とは何なのか、働くとはどういうことなのかを、著者が育てた2人のお父さんを通じて学ぶ、世界的ベストセラー本。初版から時間が経過しているが、内容は最新の経済状況などに適したものに改訂されている。

2位、3位は、後者のタイプ。『知らないと損する 池上彰のお金の学校』も『はじめての人のための3000円投資生活』も、これからお金の知識を学びたい、投資したくても何から始めたらいいかわからないという人にうってつけだ。

本誌では、ランキング上位の本を筆者の視点で4ページにわたって解説しているが、今回は、そこに盛り込めなかった「個人的ランキング ベスト3」を紹介したい。

【個人的ランキング1位】

「投資家が「お金」よりも大切にしていること」(藤野英人 星海社新書)

藤野英人『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)

本書は、単に投資を推奨する内容ではなく、「お金の本質とは何か」がメインテーマ。読み終えると、日々の生活の中でふと本の内容を反芻してしまう、後を引く1冊である。

著者は、ファンドマネージャーとして著名な藤野英人氏。2003年にレオス・キャピタルワークスを創業し、取締役・最高運用責任者(CIO)として「ひふみ投信」を運用している。

直販の「ひふみ投信」と銀行や証券等の外販の「ひふみプラス」は、格付投資情報センター(R&I)が選定する「R&I ファンド大賞 2018」を受賞するなど、投資家なら誰でも知っている(に違いない)日本を代表するアクティブファンドだ。

筆者もFPとして一般の方からお金の相談を受けているが、著者が語る「お金について考えることは、自らの『働き方』や『生き方』を真剣に考えることと同義である」という意見に同感する。

日本では、お金について話すことは何となく後ろめたく、お金にこだわる=「汚い」、「守銭奴」のようにマイナスイメージを持つ人も少なくない。その根底には、清く・貧しく・美しく生きる日本人の素晴らしさを表した「清貧の思想」がある。しかし、残念なことに、これが本来の思想とはかけ離れた解釈で日本人に根づいてしまった、と著者は言う。

《「理想に生きるために、あえて豊かな生活を拒否する」という思想が、「豊かになるためには、理想を捨てて汚れなければいけない」という考え方に変わってしまったのです》(同著より)

このように間違って解釈された「清貧の思想」ではなく、清らかで豊かになる「清豊(せいほう)の思想」を目指すべきではないか。著者の主張は目からウロコのユニークな発想だと思った。

そして、「清豊」でなければ成功できない、というのは、ファンドマネージャーとして23年間で5700人の社長を取材した著者の言葉として非常に説得力があった。

筆者の場合、投資信託はインデックスファンドを中心に運用しているが、本書が面白かったので、つい「ひふみ投信」を買ってしまいそうになる。とくに、就活を控えた大学生や社会人になりたての若い世代には、お勧めしたい1冊だ。

■「10倍株(テンバガー)」を見つけ出せる本

【個人的ランキング2位】

「宝くじで1億円当たった人の末路」(鈴木信行 日経BP社)

鈴木信行『宝くじで1億円当たった人の末路』(日経BP社)

これほど、タイトルから受けるイメージと本の内容にギャップがあることも珍しい。おそらく、誰しもがこのタイトルから、「宝くじで1億円当たった人のその後の人生が、どう狂っていくのかを描いている」と予想するのではないだろうか。

本書は、そのようなノンフィクションではなく、自分探し、就職、結婚、出産、住宅購入など、人生におけるあまたの選択肢の中で、「仮に○○を選んだ人がどうなるのか?」を、専門家が分析するという一種のノウハウ本・指南書である。

これが文句なく面白かった。しかも、何度も読み返したくなる。誰もが、人生の岐路においてどちらを選ぶか悩むことが1つや2つはあるだろうし、「仮に、あの時こうしていれば……」と振り返ることもあるに違いない。

その選択肢がなんなのか、23の末路のテーマのセレクトが絶妙で、それをアドバイスする専門家の回答も秀逸だ。

いずれの回答も「○○には、メリットもデメリットもあります。最終的な判断は自分のニーズや価値観に合わせて選びましょう」的な無難なものではなく、○か×かを断言している。お金の専門家としてみても、この回答は爽快この上ない。

読者がどう感じるかは別にして、結論に達した論理展開が明快で納得がいくものであれば、人はそれをとても小気味よく感じるものなのだろう。

筆者としては、子どもの名づけに詳しい命名研究家の牧野恭仁雄氏に聞いた「キラキラネームの人の末路」に驚愕した。筆者には中学生の娘がいるが、彼女の周囲にいるキラキラネームを持ったお子さんの末路が、今から気になって仕方がない。

【個人的ランキング3位】

「会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方」(渡部清二 東洋経済新報社)

渡部清二『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(東洋経済新報社)

「私の夢は、四季報を1人1冊、必ず手にしているのが常識、というような未来」。著者・渡部清二氏はそう語るぐらい「会社四季報愛」にあふれており、その愛がこれでもかというくらいに詰まった1冊だ。

本書の最大のポイントは、会社四季報を活用して10倍株(テンバガー)を見つけ出すこと。

テンバガーとは、ハンバーガー10個ではない。フィデリティ「マゼラン・ファンド」の運用に携わった伝説のファンドマネージャー、ピーター・リンチ氏の著書に出てくるウォール街の業界用語で、株価が10倍になる銘柄をいう。

会社四季報の活用法が満載なので、「成長株を見つけたい」「これから株式投資を始めたい」方は、ぜひとも会社四季報を傍らに置いて読み進めると良いだろう。

しかし、筆者が本書をお勧めするのは、株式投資のノウハウ本としてだけではない。会社四季報を読破することによって、身近な会社のこれまで気付かなかったことが分かり、人生を豊かにしてくれる可能性があると感じたからだ。

なお、時間がない方は、第5章「四季報を読む&ための技術」だけでも読むといい。多少、株式投資経験のある方は、第4章「お宝銘柄を見つけるための常識・非常識」を読むと、投資に関する素朴なギモンが解消するのではないだろうか。

一見無味乾燥な数字の羅列にしか見えない会社四季報が、本書を読めば、読み物として楽しめるようになるに違いない。

■先行き不透明な時代だからこそ「確実な答え」が求められるのか

ランキング上位本の共通点は「わかりやすさ」だ。

内容はもちろんのこと、目的やポイントが明確で、結論は最初にズバリと書いてある。文字数は多すぎず、図表やグラフが多用されている。読者が知りたいことを丁寧に平易な言葉で表現してある。

とくに、「マネー・投資」の本は専門的な内容だと敬遠されてしまうだろう。また、先行き不透明な時代だからこそ、材料だけ与えられて、「あとは自己責任で答えを見つけろ」的なものではなく、権威ある専門家の「確実な答え」が求められているのかもしれない。

いずれにせよ、洋服と同じで、自分で本を選ぶときはつい好みで選んでしまうのだが、今回の企画では、自分では絶対に手に取らないであろう本も読むことができ、貴重な体験ができた。

どんな本を読んで良いかわからないという人や、好みが偏ってしまうという人は、たまには人から勧められたモノを読んでみてはどうだろう。また違った世界が広がるはずだ。

(ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください