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年末年始の飲酒と「くも膜下出血」リスク

プレジデントオンライン / 2019年1月22日 9時15分

写真=iStock.com/metamorworks

働き盛りのビジネスパーソンは、多少の体調不良は見て見ぬ振りをしているかもしれない。だがそれは危険だ。今回、さまざまな「病気リスク」への対処法をまとめた。第2回は「くも膜下出血」(脳神経外科)について――。

※本稿は、「プレジデント」(2017年1月2日号)の掲載記事を再編集したものです。

■自覚症状はなく突然の激痛が襲う

くも膜下出血は、脳梗塞、脳内出血と並ぶ脳卒中の1つ。

脳には、頭蓋骨に近い順に硬膜、くも膜、軟膜と3枚の膜がある。このうち、くも膜と軟膜の間で、脳血管にできたコブ状の脳動脈瘤が破裂するのがくも膜下出血だ。

これまで3500例ほど動脈瘤の手術を行ってきた、順天堂大学医学部脳神経外科の大石英則教授はこう解説する。

「くも膜下出血は、40代以降の発症がほとんどで、高齢になるほど発症の可能性が高まります。年齢が上がるとともに動脈硬化の可能性が高くなり、脳動脈瘤ができるからです」

くも膜下出血は遺伝性が高いともいわれている。

「私の経験では兄弟、叔父叔母といった三親等以内での発生の確率が高い。親族に発症した方がいる場合には、3~5年に1度脳ドックを受けるとよいでしょう」

日本人の100人中数人は動脈瘤を抱えているという。動脈瘤自体は、すぐに発見できるが、問題は発見した後の処置をどうするかだという。

「経過を観察するか、手術をして破裂を防ぐか、判断は難しい」と大石教授。なぜなら、治療にはリスクを伴う手術が必要だからだ。手術は、頭を開けて動脈瘤の入り口をクリップで留めるクリッピング術か、足の付け根からカテーテルを通じてコイルを入れ、動脈瘤に血が入らなくするコイリング術が用いられる。

くも膜下出血は、動脈瘤が破裂するまでほとんど自覚症状がない。だが、動脈瘤が破裂すると、雷が落ちたような激しい頭痛や吐き気、意識障害などの症状が出る。近年では、俳優の星野源さん、globeのKEIKOさん、元巨人の木村拓也さん(故人)が発症したことでも有名だ。

星野さんのように社会復帰を果たすのは、発症例のうち4割程度。この4割には、後遺症により何らかの支障があったとしても自立した生活ができる人も含まれる。KEIKOさんは現在もリハビリ中とされているが、重い後遺症が残るのは全体の2割。残りの4割は死にいたる。木村さんのように、脳動脈瘤が破裂して間もなく死亡するのは、全体の1割ほどだ。

「後遺症はさまざまで、運動麻痺から言語障害、記憶や知覚など精神機能に関わる高次脳機能障害などがあります。あるいは、尿失禁や歩行障害を伴う水頭症(※)なども起こります」

※髄液が過剰に溜まり脳室のスペースが拡大

手術・入院の費用は、最低でも100万円。高度な手術が必要なことに加え、入院期間も1~3カ月程度と長くなることが見込まれる。さらに、集中治療室にいる時間も長いので、費用がかさむ。

では、未然に動脈瘤の発生は防げるのだろうか。

「動脈硬化を防ぐことです。タバコは1本も吸ってはいけません。アルコールは、1週間に150グラム以上の飲酒がリスクを高めます。1日あたりの目安は、清酒であれば1合、缶ビールや缶チューハイは1缶、焼酎は80ミリリットル程度が上限。あとは高血圧や悪玉コレステロール値が高くなる脂質異常症の放置も、動脈硬化の原因になります」

▼CHECK POINT
【初期の症状、予兆は?】
吐き気を伴う頭痛。特に市販の頭痛薬が効かない場合は要注意。
【典型的な症状は?】
雷が落ちたような激しい頭痛。吐き気、意識障害なども。
【最悪どうなってしまう?】
発症した場合約4割は死にいたる。生存しても約2割は重い後遺症に。

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大石英則
順天堂大学医学部脳神経外科教授
順天堂大学卒。専門は脳神経血管内治療、脳血管障害、脳神経外科一般。現在は日本脳神経血管内治療学会会長を務める。
 

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(ライター 吉田 彩乃 撮影=的野弘路 写真=iStock.com)

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