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東大と京大では合格者の質が正反対なワケ

プレジデントオンライン / 2019年2月14日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/ra2studio)

東京大学と京都大学は入試問題の傾向が大きく異なる。東大は多くの問題を素早く解く必要があるのに対し、京大はじっくり考えさせる問題が多い。京都大学に首席合格した粂原圭太郎氏は「受験の時点で、東大に行く人と京大に行く人は選別されている」という――。

※本稿は、粂原圭太郎『偏差値95、京大首席合格者が教える「京大読書術」』(KADOKAWA)の第4章「『自分で考える力』を育む 連想法」の一部を再編集したものです。

■素早く処理する「東大流」、深く考える「京大流」

癌免疫治療薬「オプジーボ」の開発に大きく貢献する発見をしたとして、2018年のノーベル医学・生理学賞を受賞した京都大学高等研究院特別教授の本庶佑氏は、京都大学時代から「6つのC」をモットーにしていたといいます。

その6つとは、好奇心(Curiosity)、勇気(Courage)、挑戦(Challenge)、確信(Confidence)、集中(Concentration)、継続(Continuation)。

現役の京大生を含め、私たち京大OBも同じく「6のC」を求めていたように思います。好奇心があらゆる情報をキャッチし、知識を豊かにさせるのです。

たとえ誰も通らない道だとしても、自分が進もうとする道が正しいと思うなら、それを確信し、挑戦する勇気を持つ。その道を継続して歩き続けるからこそ偉大な結果につながるのだと思います。時にそれは、他校の学生からは「京大はぶっ飛んでる」「超マニアック」などと褒められる(?)原因になります。

東大の入試問題は、分量が非常に多く、素早く処理をしていかなければなりません。一方、京大の入試では、単純な知識問題は少なく、「時間をかけてじっくり考えなさい」という問題が多く出題されます。この点から東大は官僚、京大は研究者というようなイメージがつくのでしょう。受験の時点で、東大に行く人と京大に行く人は選別されています。

本稿では広く浅くではなく、「狭く、深く」を追求する、京大気質ならではの読書術を紹介したいと思います。

■東大志望者には「速読」重視の勉強を教える

あらためまして、京大生には広く浅くよりというよりも、「狭く、深く」学ぶという特徴があります。

京大の入学試験によって、そのような人が選ばれているようです。京大入試の英語と東大の英語とを比較してみると、その違いははっきりみてとれます。東大の受験問題は、問題の分量が非常に多く、素早く処理をしていきなさいというものです。一方、京大の受験問題は、暗記問題より頭使って考えさせるものが多く、「時間はたっぷりあるので、しっかり考えてください」というものです。

だから、ただ単に知識を暗記していてもダメで、その知識をどのように応用し、自分なりの答えを導くかということが求められます。基礎知識から発想力を使い、読み解いていく問題が多いのです。京大の受験で重要になるのが、深い知識です。先ほども言いましたが、単に単語を暗記していただけでは、それを応用することができません。

現在、私が運営している学習塾「粂原学園」では、英語を指導する際、東大を受ける人と京大を受ける人では、指導内容を大きく変えています。たとえば、英語をゆっくり読んで理解できるようにする「精読」段階から、「速読」へ移行するわけですが、京大志望の生徒には速読はほとんどやらせません。東大であれば、ある程度精読を終えたら、速読重視の勉強をしてもらっています。

■読書も「狭く、深く」になっていく理由

また、読書においては、たとえ狭く深く読んでいくのが大事だと言っても、当然のことながら最初は入門書から読んでいきます。

粂原圭太郎『偏差値95、京大首席合格者が教える「京大読書術」』(KADOKAWA)

入門書を広く浅く読んでいく中で、自分の中に引っかかるもの、気になるものがあれば、そこで終わりにせず突き詰めていくのです。このような性質が、京大生の多くに共通している性質だと思います。

一旦気になるジャンルを見つけたら、徹底的に調べていきます。1冊にとどまらず類書を読んでいくと、今まで平面的にしか見えていなかったものが、段々と立体化されてくるのです。ここで「浅い知識」から「深い知識」へと変化していきます。

広く浅く知識を習得してくことも非常に重要です。しかしそれぞれの分野で基礎的な知識しかなければ、意見も紋切り型になってしまい、面白い発想も生まれにくくなります。友人同士で話すにはいいですが、専門家と話す時は、浅い知識だとやはりついていけません。

また、深くコアな部分を知ることで、奇抜で面白い発想が生まれることもあります。人にもよりますが、こちらが奇抜な発想をすれば、相手もさらに面白い発想で返してくれることもあるでしょう。狭く深い知識を持っていると、場を盛り上げられることもあります。

■「リンカーン演説」を暗記していたインパクト

以前、『最強の頭脳 日本一決定戦! 頭脳王』(日本テレビ)というクイズ番組に出演したときのことです。

クイズが得意な人の中には、リンカーンの演説の一部分を覚えている人はいます。しかし私は、リンカーンの演説を一言一句全て覚えていました。ちょうど演説の冒頭部分を問われる問題が出て、僕が最初の長い一文を全部暗唱したのです。すると、スタジオが沸き、注目を浴びることができました。これがキャッチーだったようで、今でも「リンカーンの演説がすごかったですね」と言っていただけることがあります。

実をとろうとばかりすれば、リンカーンの演説の全文暗記など、一見無意味に思うことでしょう(実際は、一つのつながった文章からさまざまな表現を、自分が使えるレベルに落とし込むことができるという点で、演説の暗記は効果的な英語勉強法です)。

しかし、人を驚かせたい、楽しませたいという気持ちから得た知識は、いつかきっと役に立つはずと信じているのです。

京大式の「狭く深い」知識は、さらに多くの深い知識を呼んできます。一度1つの分野を極めると、その掘り下げ方がわかります。1つの分野から学んだ掘り下げ方を、他の分野にも適応すればいいのです。そうすることで、どんな分野でも知識を深めることができます。

私の場合は、中学時代から勉強法をかなり深掘りして学んだことで、受験勉強に役立っただけでなく、大学に入ってからの勉強にも活かすことができました。またそれが、今の仕事にも非常に役に立っています。

■多読は「思考を使わなくなる」恐れがある

素早く多くの情報を入手しようと思うのであれば、速読が効果的です。また速読ができるようになれば、多くの本を読むことができるようになります。そうすれば、さらに多くの知識を手に入れることができる。「多読」は夢のようなスキルだと思っているなら、要注意です。

なぜなら、何も考えずに月に30冊、50冊、100冊と多読していると、思考が受動的になってしまい、新たな疑問が出てこなくなるからです。月に100冊近く読もうと思うなら、一気に情報を体内に流し込む状態に等しくなります。疑問というフィルターをかけている余裕はありません。

これが危険なのです「この場合は○○してください」「これは○○しましょう」などと書かれていた時に、本当に、それでいいのか、自分のいま置かれている状況で、この方法が本当に最適なのかと考えることを疎かにしてしまいがちです。

■基礎知識をある程度入れた上で読むのが大事

情報を鵜呑みにしてしまったら、大失敗をすることになるかもしれません。読まなかったほうがよかったという結果になってしまったら、目も当てられません。多読をするときは、その前にある程度の基礎情報を入れておきましょう。

たとえばマーケティングについての本を徹底的に読もうと思うのであれば、「マーケティングとは何か」「製品が企画され販売されるまでのプロセス」「マーケッターの仕事内容」「市場調査の意義や必要性」「基本的なマーケティング戦略」などの基礎知識をあらかじめ入れておきます。

それから一気に本を読んでもいいのですが、やはりところどころで疑問を持ちながら本を読んでいくという習慣は捨ててはいけません。これを忘れなければ、多読しながらも疑問を持つ習慣が身につくでしょう。

やみくもに多読をするのは危険だということを、心に留めておいてください。

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粂原圭太郎(くめはら・けいたろう)
教育家
1991年、群馬県生まれ。京都大学大学院法学研究科卒業。大学在学中に「勉強革命.com」を運営し、やる気が出る勉強法を受験生に伝授。現在はオンライン学習指導塾「粂原学園」で、小学生から高校生まで全国各地の受験生を指導している。

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(教育家 粂原 圭太郎 写真=iStock.com)

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