1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

世界屈指の生保営業「太客より自分優先」

プレジデントオンライン / 2019年3月8日 9時15分

プルデンシャル生命保険 横浜第2支社 第4営業所 エグゼクティブ・ライフプランナー 横内宏史氏

実に1810件もの生保契約を保有。日本を含めた世界の生保営業のスタープレイヤーのみが入会を許される国際組織、MDRT(Million Dollar Round Table、本部=米国)に、何と13年連続してメンバー入り――。そんな凄腕の時間管理とは?

■アポキャンすると、アポキャンされる

私は朝、出社すると、アシスタントとのミーティングで一日のスケジュールを組み、メールすべてにざっと目を通したうえで、その中から期限が迫っていたり、時間がかかりそうな案件をピックアップし、手帳のスケジュール表に書き込みます。そうした“大物”を先に済ませ、お客様の誕生日ハガキに一筆添えたりする細かい作業を、空いている時間に行います。例えて言うならコップの中に大きな石をゴロッと入れ、その後に細かい砂をサラサラ流し込むようなイメージです。

スケジュールの管理は、スマホとアナログの手帳を併用しています。スマホだとスケジュールやメモ書きを断片的にしか見られないですよね。手帳だとパッと開いてすぐに一覧できますし、Day(その日1日のスケジュール)の管理は紙のほうが断然早いです。好きなようにカスタマイズできるのもいい。例えば、最近の商談に割く時間と自己投資に割く時間との比率を見ようとしたら、手帳ならそれぞれ色分けすればひと目でわかるから、圧倒的に早いですね。デジタル機器でデータから掘り起こして分析するのは、時間がかかってしまいます。スマホはスケジュールを同期して、アシスタントと情報を共有するのに使っています。

こうした時間管理の鍵となるのは、アポイントメントの取り方だと思っています。営業マンなら誰しも、損得勘定や人間同士の相性から、アポの優先順位をつけるときについつい感情が入りがち。かく言う私も、以前は優劣をつけていましたが、なぜか“鏡の法則”のようにお客様から同じことを、つまりアポをキャンセルされることが多かったんです。

そんなとき、ある経営者の著書の中で、「アポに優劣をつけない」という言葉が目に留まりました。例えば、先に解約や契約見直しのお客様のアポが入った時間帯を、別の新規契約のお客様が指定してきたとする。後者を優先したいが、それでも先に入れた解約のアポのほうを優先する。すると、仕事の流れがかえってスムーズになるというんです。なるほどと思ったんですが、アポをずらしたい一番の理由は「機会を逃したくない」という、営業マンとしては当然すぎる心理です。実行するのがなかなか難しかったですね。

■家族とのバカンスと、仕事のアポを同列に

自分の都合を言うことで、「きっと角が立つだろうな」と最初はヒヤヒヤしましたが、そこが踏ん張りどころ。我慢して続けているうちに、「あれ? 意外とうまくいくもんだな」とわかってきました。「すみません、その時間はすでに別のお客様がいらっしゃいますので、アポをずらすことができません。3週間後のこの日か、この日ならゆっくり時間が取れるんですが、いかがでしょうか」と、正直に伝えられるようになりました。

MDRTは現在、72カ国・約500社の金融・生保で、高い数値基準をクリアした専門家から成る。横内氏はその日本会の理事だ。

すると、お客様側からのアポを断るこちらの態度を、よしとして信頼してくださるお客様がいることに気づきました。そういう方とは、これまで以上に信頼関係が築けるようになった感じです。「えっ、何とかしてよ」と仰るお客様もいらっしゃるのですが、そういう方に限って急に“アポキャン”したり、後々クレームなどのトラブルがありました。

営業マンにとって時間は命です。自分がやられて嫌なことは、周囲の人にも絶対しないようにする。そういう行為の積み重ねが、よいお客様との信頼に繋がっていく気がします。

アポについて、もう1つ大事なことがあります。それは「自分へのアポ」にも他と優劣をつけないことです。他人との約束は先方に迷惑がかかるので守りますが、自分との約束はなおざりにしがちです。例えば“休肝日”をつくっていたとしても、ついつい「新年会だからいいか」とアルコールに手を出してしまう。

私は、休日はボランティアや家族との約束、趣味の自転車やゴルフの練習、読書、研修レポートの執筆などに時間を費やしていますが、これらを仕事のアポと同列に扱います。プライベートだからといって、優先順位を下げないようにするのです。

心理的なハードルは高いのですが、大切なのは、休日の行事を「自分(家族)へのアポ」と捉える感覚。お客様がそんな休日を指定してきても、「その日は埋まっているので」と、やんわりお断りするように心がけます。「何をするんですか?」とまできいてくるお客様は、まずいません。

アポに優劣をつけない、動かさないことを実践していくと、日々の時間の流れが随分変わりました。

先に仕事の時間を減らして、その分をボランティアや趣味、家族の時間に回すと決めれば、短い時間内で結果を出すパフォーマンスの発揮の仕方が身につくような気がします。

処理のスピードが上がったわけではなく、無駄なことをしなくなったのが一番の理由です。例えば、「9時から5時」の間に完了するタスクのリミットを「9時から3時」とすると、「えぇーッ!」と言いながらも案外できてしまうものです。

簡単に言うと、時間の使い方の質が上がるんです。そうなるとアポの質も上げたくなり、“アポキャン”されて振り回されないように、どうすればいいか考えるようになります。無駄な時間を使いたくない、キャンセルのないアポを取るようにしようという意識にも結びつきます。時間を大事にすれば、時間を大事にしている人とお付き合いができるようになる、ということだと思います。

----------

▼横内さんのマルチタスク仕事術
1.手帳とスマホを併用
「手帳にはスケジュールのほか、事業理念やビジョン、ミッションを自筆で書いて、毎日読み返します。いわば自己管理のツール」(横内氏)。空いた時間にスマホを通じてOffice365にスケジュールを転記し、アシスタントと共有している。
2.「石」の用件と「砂」の用件
ある時間帯の中で、「これだけはやっておく」ことが、いわば“石”の用件。「できるものだけやっていく」ことが“砂”の用件。「コップの中に大きな石をばばっと入れて、その後に砂をじゃーっと流し込んで埋めていく感じですね」(横内氏)。
3.アポは極力動かさない
当初は先に入ったアポをキャンセルしたり、家族との時間を返上したりしていた。「すると、同じことを逆にお客様にもされるようになります」(横内氏)。切り替えるのは難しかったが、顧客も時間を大切にする人ばかりになったという。

----------

----------

横内宏史(よこうち・ひろし)
プルデンシャル生命保険 横浜第2支社 第4営業所 エグゼクティブ・ライフプランナー
1977年生まれ。東京薬科大学卒業。三共を経て2004年プルデンシャル生命保険入社。17年MDRTプルデンシャル会理事。入社以来15年連続社内の上位表彰基準を達成。

----------

(プルデンシャル生命保険 横浜第2支社 第4営業所 エグゼクティブ・ライフプランナー 横内 宏史 構成=篠原克周 撮影=小原孝博)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください