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野球バカの子に勉学意欲の火をつける方法

プレジデントオンライン / 2019年6月16日 11時15分

塾経営者 矢野耕平氏

■息子に野球をやめさせ、塾へ通わせたい

熱心に野球を続ける子どもがいる。しかし、そろそろ受験勉強に専念させたい。そんなとき、どう声をかけるべきか。塾経営者の矢野耕平氏に聞いた――。

まず、私の意見としては両立できるのであれば、野球を続けさせてもいいと思います。私の教え子でバリバリのエースピッチャーで6年生まで野球を続けながら勉強と両立していた器用な生徒はたしかにいました。

しかし、地域にもよりますが、多くの児童が中学受験をするエリアでは本格的な課外活動は4年生までです。野球クラブなど課外活動に入っている場合、小学生の子どもが塾に専念するのはおおむね5年生以降です。受験を意識させる意味でも5年生になったら受験勉強に専念させるという考え方もありでしょう。

では、どのように受験勉強に向かわせるのか。長年、教え子を見ていると、伸びる子は明白です。塾は「行かされている」とまず伸びません。教育は教え育てるものではなく、子どもが自ら教わり自ら育つもの。子ども自身の受験に対するモチベーションが高くないといけないのです。

かといって、ご褒美作戦は続かないのでNG。中学受験は自分のためだと自覚させることが何より大事です。

そこで積極的に受験勉強に向かわせるための最良の措置は、野球と受験をつなげること。

まずは、地元公立中学校に進んで野球を続けた場合を子どもに想像させましょう。すると、高校受験を控えた中学3年生になると、どうしても野球は片手間になることに気づいてくれます。

それなら中高一貫校に進んで野球場が広い学校を選んだほうがいいかも……。そう子どもに気づかせるのです。また、中高一貫校の場合、部活は高校の先輩と一緒に取り組むケースが多いです。そこで進学を検討してほしい中高一貫校の高校生と触れ合わせるのも有効です。例えば、首都圏だと桐朋中学校・高等学校や成蹊中学・高等学校は広い野球場があり、高校生と一緒にのびのびと野球ができます。すると、子どもは次第に「こんなグラウンドで先輩たちと野球がしたい」と思ってくれるようになるのです。

子どもが本格的に興味をもつ学校が見つかった場合、実際に野球部の試合に連れていき、応援席の中で一緒に応援させるのもいいでしょう。「ここで野球をしたい!」と強く意識させることができます。これは野球以外でも有効です。例えば、東海大学付属高輪台高等学校・中等部はダンス部が有名。ダンスが好きな子どもならば「私は絶対あそこでダンスしたい!」と決意してくれるはず。

ただし一点、親御さん側にも心がけてほしいことがあります。最近の親御さんは自分が取り組んでいたスポーツを子どもにさせて、一緒にクラブに参加するケースが多いですが、避けたほうがいい。

例えば、自分が野球経験者だからといって安易に息子の野球クラブのコーチを引き受けると、息子の早めのクラブ引退と一緒にお父さんもクラブを引退する……というのは難しくなります。親自身にも受験への意識改革が求められるのです。

良い言い方:野球を続けるために野球をやめよ
ダメな言い方:ご褒美で釣る

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矢野耕平(やの・こうへい)
1973年生まれ。大手進学塾で十数年勤めた後にスタジオキャンパスを設立。東京・自由が丘と三田に校舎を展開。著書に『旧名門校VS.新名門校』など多数。

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(中学受験専門塾スタジオキャンパス代表 矢野 耕平 構成=鈴木俊之 撮影=横溝浩孝)

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