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コネ・カネなしで名医に診てもらう裏ワザ

プレジデントオンライン / 2019年3月31日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/hironakajima)

年齢を重ねると増えてくる体の変調。突然のそのとき、どこの病院に行き、どんな医師を訪ねるべきなのか。9つのポイントで検証した。第8回は「名医の非常勤先vs常勤先」――。

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の掲載記事を再編集したものです

■「本当は、名医は外来患者も診たいんです」

テレビや書籍で驚嘆の凄腕を見せつける名医たちだが、診てもらえるのは政財界の大物や著名人、富裕層。我々には別世界の方々……というのが一般庶民の感覚であろう。

しかしその一方で、自身や親族にどうしてもそういう名医のお世話にならざるをえない事態が生じることがある。そんなとき、コネもカネもない我々が彼ら名医に速やかにアクセスする方法は、果たしてあるのだろうか。

一般に常道とされるのは、かかりつけの医師に紹介状(診療情報提供書)を書いてもらうこと。急ぎの旨を言い添えれば、待ち時間が縮まる可能性もある。その過程を経ずに、名医の常勤先の大学病院にいきなり飛び込むのは、あまり得策ではなさそうだ。

「病状が深刻ならば、名医に頼りたくなる気持ちは理解できます。ただ、彼らはとても忙しい。飛び込みで行っても、予約の患者が多く、後回しにされ、散々待たされることもある」

医師専任のキャリアコンサルタントの中村正志氏が言う。患者側からしても、大学病院でまた一から検査し直すのは時間的ロスも大きい。お目当ての名医ではなく、若い医師が担当となることもある。

紹介状は費用がかかる(保険診療の延長の場合、3000円に対しその人の負担率をかけた金額。紹介状だけ求める場合は自費診療の場合もある)とはいえ、紹介状ナシでも保険適用外の選定療養費を5000~2万円程度は取られてしまうから大差ない。

そもそも大学病院は、臨床・研究・教育の機関で、臨床でいえば高度医療や急性期の患者を扱うのを目的としている。なのに、大した症状でなくとも「とにかく名医に診てもらえば安心」「ナンバーワンに診てもらわないと気がすまない」とばかりにやってくる患者も少なくない。

「要は、病院と患者のマッチングがうまくなされていないわけです」

日本の医療を研究する会代表理事の川田諭氏が言う。まったく接触できぬわけではないが、名医にたどりつくには、それなりに手間がかかりそうだ。

実は、そういう名医たちが、常勤先ではない外部の病院やクリニックに非常勤として出向いているケースがある。

「名医といわれる医師には外科医が多いですが、外科は“手術をやってなんぼ”の世界。外来患者を診る仕事は、それほど重要視しません。それでも、名医は本当は外来患者も診たいんです」

と中村氏。特殊疾患ばかり来る大学病院では、名医は手術だけ行っている場合が多い。心ある医師は、一般患者の軽い症状も幅広く診ておきたいし、手術だけではなく、患者を初めから終わりまで診たいという気持ちがあるという。

もちろん、稼ぎも大きな動機のひとつだ。大まかだが、例えば35歳の大学病院の年俸は400万~500万円程度。しかし、外の病院で週1回診れば年に約500万円、当直を組み入れればさらに1000万、1500万と積み上げ方式で跳ね上がるという。

では、名医に診てもらうには、“本籍”の大学病院へ行くほうがいいのか、それとも非常勤先の医院・クリニックに行くほうが得策なのか。

「大学病院から町のクリニックに来る名医は、大学病院よりは比較的時間が取れるので、大学病院を目指すより合理的です。患者さんにとっては名医との距離が近いし、早いし、安心できますから」(川田氏)

結論から言うと、まず名医の非常勤先の病院・クリニックに赴き、診断の結果、手術が必要とあらば、そこから“本籍”の大学病院に移るという流れが望ましいようだ。

■「医師名+外来」でネット検索すれば、簡単に見つかる

名医が非常勤で外に出る理由の1つは、そこで診た患者に何かあれば、自分の病院に連れて帰れること。患者も安心できる。つまり、自ら外部へ出向いて、自分の病院でも診られるようにするわけだ。

「医師の優秀さは、患者を診た数にある程度比例するでしょう。極端にいえば、心臓手術を年300件行っている名医と1件のみの医師なら、患者が前者にお願いしたいのは当然でしょう」(川田氏)

名医も実績を積むために、町のクリニックに出向く。要は医師側もウェルカムであるわけで、患者側も遠慮する必要はない。ただし、「非常勤先での手術は通常ありえない」(中村氏)ことは押さえておこう。手術目的で行くなら、非常勤先で名医と知り合いになり、そのまま常勤先に連れていってもらえる。診断の結果次第で、常勤先の病院の別の科に回ることもあるが、それでお互いウィン・ウィンなら言うことはない。

「名医にとって非常勤先は、患者さんをゆっくり診られる、触れ合う時間が取れる現場でもあるわけです。患者さんやその家族からは感謝されますし、『自分は患者に生かされている。自分を頼ってきてくれる。こんな喜びはない』と思う医師もいる」(川田氏)

真摯に患者に向き合っている名医ほど、非常勤先でも患者に対するケアが細やかな人が多いという。

名医の非常勤先は、その著書を当たったり、インターネットで「医師名+外来」で検索すれば簡単に見つかる。非常勤先も宣伝になるから、名医の名前を出すことには積極的だ。病院のサイトに外来担当表があり、そこに名前が掲載されていれば名医がいつ来るかの目安にもできる。一般の人からの相談を受け付けるサイトを開設している意欲的な医師もいる。

「名医の中にはかなりオープンな先生もいます。直接問い合わせができるように、自身のサイトに電話番号を掲載し、外来で入っている病院なども公開している。積極的に患者と関わる姿勢は素晴らしいと思います」(川田氏)

もっとも、名医の非常勤先に患者が殺到した結果、業務に支障が出ては元も子もない。症状の程度をよくよく考慮して、アクセスには節度を持つべきだろう。

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川田 諭
一般社団法人日本の医療を研究する会代表理事
「慶心クリニック」などのマネジメントを兼ねる。著書に『良医が語る医療現場のいま』。
 

中村正志
医師専任キャリアコンサルタント
マッチング件数200超。著書に『医師・医学部のウラとオモテ「悩めるドクター」が急増する理由』。
 

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(フリーランスライター 篠原 克周 撮影=石橋素幸、浮田輝雄 写真=iStock.com)

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