老後のお金不安は誰に相談するのがよいか

プレジデントオンライン / 2019年3月21日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/west)

家計コンサルタントとして多くの相談者にアドバイスをしてきたファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さん。ここのところ、家計の常識が大きくゆらぎ、アドバイス内容も変化してきていると言います。人生100年時代に、私たちはどんなマネー戦略を立てたらよいのでしょうか――。

■生き方そのものが変化を迫られる時代

こんにちは、家計コンサルタントの八ツ井慶子です。

今回からこちらでマネーのコラムを発信させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、第1回目の今回は「人生100年時代」の新しい家計について、少し大きな視点で考えてみたいと思います。

みなさんは「人生100年」というと、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

なんとなく、ますます老後が不安だなぁと感じている方が多いのかもしれません。

私は、これはとてもスゴイことが起きていると思っています。寿命が延びて、人生が単に長く“延長”されるようなことではないでしょう。私たちの“生き方”そのものが変化を迫られるくらいの大きな出来事だと思います。

■3ステージからマルチステージの人生へ

人生100年時代が広く知られるきっかけとなったベストセラー書籍に『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社)があります。著書では、これまでの人生が「教育→仕事→引退」(学校卒業後、働いて、定年を迎えて老後に入る)という3ステージだとしたら、人生100年時代には、若い時期にまとめて知識を身に付けるのは困難で、“マルチステージの人生”が提唱されています。例えば、働く期間を細切れにして、学び直しをしたり、休憩(リフレッシュ)して自己の活力を取り戻したり、あるいは一つの職業だけでなく、いくつかの仕事を組み合わせたポートフォリオ型のキャリアを選ぶこともあり得るだろうと。

これだけでもスゴイ変化だと思うのですが、いかがでしょうか。

■波平の時代より40年も長い生きする

もしかしたら、まだピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんので、ここで国民的有名人である波平さんをヒントに考えてみたいと思います。

波平さんは、言わずと知れたサザエさんのお父さん。御年、永遠の54歳。

漫画『サザエさん』が登場したのは昭和20年代で、その頃の男性の平均寿命は60歳ほど。当時、老齢年金の支給開始年齢は55歳。大企業の退職年齢とされるのも55歳でした。

(実際の設定がそうかは分かりませんが)時代背景的にいえば、波平さんはあと1年ほど働いて引退。“老後”期間はそれほど長くなさそうですし、しかも3世代同居でマスオさんもいますから、あまり多くの老後資金はなくても大丈夫そう。

ところが現代、寿命は20年ほど延びました。男性の平均寿命はおよそ80歳。老齢年金の支給開始年齢は、原則65歳に引き上げられていますが、寿命の延びほどではなく、定年退職はいまだ60歳が多いのが現状。“老後”期間は長期化、核家族化も進み、「老後資金を貯める」ことは、家計管理上、必須な時代になりました。

さて、そこからさらに寿命が20年延びようとしているのが、いま直面している「人生100年時代」です。政府は老齢年金の支給開始年齢を、現状引き上げることは考えていないといいます。一方で、定年退職の年齢はいままさに過渡期で、定年そのものを廃止する企業や、70歳、75歳と延長する企業が出始めています。

■今の働き方を75歳まで続けられるか

仮に私たちの意識が追いつかず、引退の年齢を65歳のままと考えるとしたら、100歳までの老後は35年。35年分の老後資金を、それまでに貯めておくことは現実的に困難でしょう。みんながここまで長生きとなれば、老齢年金の額も減らされなければ、公的年金制度そのものの持続性も危ぶまれかねません。

一方大学卒業の22歳から働き始めて、75歳まで働くとすると……軽く50年。一昔前であれば、一生涯に相当するくらいの年月です。

もし、いまあなたが朝から晩までがむしゃらに一生懸命に働いているとしたら、ちょっと考えてみてください。長く続けられますか?

■コンサルタントのアドバイスを鵜呑みにしない

一人ひとりがこう考えたとき、いろいろな働き方が出てくるでしょう。

働き方が変われば、生活スタイルも変わりますし、価値観の多様化も進むと思います。

日本の場合、そこへ人口減少と少子高齢化の進展、デジタル化、さらには低経済成長が合わせ技でやってきます。ここまでくると、未知の世界です(と、私は思っています)。少なくとも思うのは、これまでの家計の“常識”が、今後も常識であるとは限らないということです。

家計コンサルタントの私がいうのも何ですが、あまりコンサルタントといわれる人たちのアドバイスを鵜呑みにしないことは、結構重要だと思います。アドバイスをもらうとしても、本当にあなたのことを考えてくれて、柔軟性を持って、信頼できる方であるのはもちろんですが、ここまで不確実性の高い時代ともなると、どんな優秀なコンサルタントであっても、何が最適なアドバイスとなるかの判断はとても難しいと思います。私自身でいうと、例えば、家の購入相談にしても、現状の空き家問題を考慮すれば、購入が本当にその方にとって経済的に有効なのか判断の難しさを感じますし、資産運用にしてもマーケットの不確実性はグッと高まっているので、「わかりませんが……」と前置きしつつ、お話することが増えました。ただ、相談者と一緒に考える、ということだけは決して忘れずにいたいです。

■自分で考え、決めていくことがより求められる時代

いずれにしても、最後に頼れるのは自分自身しかいません。家族や仲間はもちろん大事ですし、周りのサポートあってこその人生ではあるものの、自分の人生をつくりあげるのは、なんだかんだ自分です。

周りとの調和を大事にしながらも、最終的に自分はどうしたいのか、どうありたいのか、しっかり自問自答をし、腑に落ちることを選択していくことが、これからの時代、ますます必要となっていきます。

次回以降、人生100年時代の新しい家計について、より具体的に考えていきたいと思います。

(家計コンサルタント 八ツ井 慶子 写真=iStock.com)

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