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10代がグーグルよりインスタで探す理由

プレジデントオンライン / 2019年4月3日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/itakayuki)

いまの10代はグルメやファッションについて調べるとき、グーグル検索を使わない。使うのはインスタ(Instagram)だ。ITライターの鈴木朋子氏は「10代はスマホを開けばSNSを立ち上げるのが習慣になっている」という――。

■10代のブラウザ利用時間は短い

「女子高生は検索サイトを使わない」。そんな話を聞いたことがないだろうか。インターネットといえば、まずはブラウザで検索サイトを表示し、そこから欲しい情報へたどり着くことが当たり前だった世代には、驚きの実態だ。

実際には、ブラウザをまったく使わないわけではない。若年層へのリサーチを行うTesTee(テスティー)が2018年11月に公表した「【スクショ解析】スクリーンタイムに関する調査」の調査結果を見てみよう。利用時間の上位3つに入るアプリを集計し、年代別に集計したデータでは、10代で最も利用時間が長いアプリは「YouTube(47.6%)」だった。そして「LINE(40.0%)」「Instagram(38.1%)」「Safari(34.3%)」と続く。iPhoneのブラウザである「Safari」は4位だ。

ブラウザも使っているじゃないか、と安心する人もいるかもしれないが、20代、30代の1位は「Safari」で、それぞれ6割を超えている。10代だけ、明らかにアプリの利用傾向が異なるのだ。

いったいどういうことなのか。それは、10代の情報収集法が非常に効率的、かつ独特だからだ。

■「スマホを開けばSNS」が習慣

今の10代は、生まれたときからインターネットが身近にあり、おおよそ中学生からスマホを持ち始める。スマホを手に入れたら、まずはLINEをはじめとしたSNSのアカウントを取得する。10代のSNSは、リアルな知り合いとつながるために欠かせないツールだ。毎日、空いた時間にSNSをチェックし、同じ校舎にいる友人と複数のSNSでチャットをしている。友達と自撮りしてアップしたり、友達の投稿にコメントしたり、SNSでの活動はひっきりなしだ。

つまり、10代はスマホを開けばSNSを立ち上げることが習慣となっているのだ。であれば、最新の流行や知りたい情報もSNSで収集するのが自然な流れだ。

マーケティング情報メディアのBWRITE(ブライト)が2017年8月に公開した「SNSコンテンツについての意識調査【10代編】」によると、LINE、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターいずれかのSNSで企業公式カウントをフォローしている15~19歳女性は77.0%にも上るという。フェイスブックは10代女子の間でほとんど使われていないので、LINE、インスタ、ツイッターが多くを占めると考えられる。フォローしている企業公式アカウントで気に入っているものは、1位が「ファッション」、2位が「フード・ドリンク」、3位が「コスメ」となっている。

■「ハッシュタグ」を活用して投稿を検索

いつの時代も女子高生は流行に敏感だ。SNSなら企業が公開したばかりの情報がすぐ手に入る。自分から検索しに行かなくても、いつものタイムラインに情報が飛び込んでくるようになる。好きなブランドやショップをフォローしておくだけでいいのだ。

また、インスタやツイッターには「ハッシュタグ」という機能がある。「#コスメ」と投稿に記述されている場合、タップするだけで同じハッシュタグが付けられた投稿を検索できる。インスタではハッシュタグのフォローもできる。ただ、ハッシュタグは文章の補足や投稿のオチにも使われるため、検索結果に好み以外の情報も含まれてしまう。そこで、基本的にはアカウントのフォローで情報を収集している。

■同じ「映え」が手に入るアカウントをフォロー

フォローするアカウントは、企業公式アカウントだけではない。好きな芸能人やモデル、インフルエンサーと呼ばれる人気アカウントなども含まれる。一例を挙げると、グルメでは「りょうくん」というアカウントが10代に人気だ。インスタとツイッターにグルメ情報を発信しており、インスタでは12万7000人、ツイッターは36万5000人ものフォロワーがいる。

人気の理由を女子大生に聞いたところ、「それほど高くなくて、SNSに映えるグルメをたくさん紹介しているから」と言っていた。確かに投稿されている写真はスイーツやカフェ風の食事が多く、しかもチーズがとろけていたり、盛り付けがかわいかったりと絵になる食べ物ばかりだ。

最近のSNSは、静止画から動画へと投稿内容が移り変わっている。「インスタ映え」も画像だけでなく、動画での見え方も重要になっているのだ。前述の「りょうくん」も、インスタのストーリーズに肉が焼ける動画やふわふわのスフレをカットする様子を載せている。こうしたアカウントをチェックして店に訪れれば、自分もすぐにSNSに映える食事に出合えるわけだ。ブラウザで検索して探すよりも、効率的で手っ取り早い。

■「一般の人」が発信する内容は実用的

効率的にSNSで情報を収集している彼女たちだが、その後もっと詳しい情報を知りたいときはブラウザで検索するという。グルメなら店舗の場所、ファッションなら価格やサイズなど、ウェブサイトでないとわからないことも多い。

また、そのカテゴリ専用のアプリも利用する。ファッションやコスメの場合、彼女たちは一般の人が発信する言葉や画像を重要視している。アルバイトをしているかどうかにもよるが、基本的に女子高生は自由になるお金が少なく、堅実派だ。ファッションは一般の人が着こなしを投稿している「WEAR」、コスメは商品の感想を投稿できる「LIPS」などで情報を集める。

こうしたアプリには、手頃な価格のファストファッションブランドや100円均一ショップで販売されているコスメの情報もあふれている。テレビや雑誌で取り上げられることが少ない情報が手に入るのだ。さらに、情報を発信しているのは顔が整っているモデルや、どんな服でも似合うタレントではない。自分が身に着けたときにどうなるかが想像しやすいというメリットがある。

少し逸れるが、フリマアプリ「メルカリ」の人気も口コミに由来する。その商品を持っていた人に直接質問ができる点が安心感につながっているのだ。もちろん、10代でも気軽に出品や購入ができるシステムも人気の理由だが、ネット上のやりとりで商品の色やサイズが確認できることがありがたいそうだ。

■情報は「スクショ」で保存して通信量を節約

こうしてチェックした情報は、どのように保存するのだろうか。それは「スクショ(スクリーンショット)」だ。アプリやサービスの「お気に入り」機能を利用することもあるが、情報はスマホの写真アプリに集約された方が見返しやすい。

ウェブサイトをブックマークするのではないのか、と驚く人もいるかもしれない。しかし、自分の知りたい情報だけを取っておきたい場合、いちいちウェブサイトにアクセスして該当ページを開くよりも、見たい箇所だけを撮影しておいた方が速い。また、女子高生は毎月のデータ通信量が足りない人も多いため、画像で保存した方が通信量の節約になるのだ。

また、彼女たちのほとんどは、オンラインショップではなく、実店舗で実物を確認して購入することも理由のひとつだ。10代はクレジットカードを持てないからだ。「色や素材を自分の目で確認したいから」と言っていた女子高生もいた。どうせ実店舗に行くなら、ショッピングサイトのリンクもいらない。店舗でスクショをサッと表示し、「これを探している」と店員に伝えればいい。

このように、女子高生たちは賢くSNSで情報を収集し、失敗を少なくするための消費活動を行っている。これから彼女たちが社会人になり、その鋭い目で情報を取捨選択すると思うと、販売側は気を引き締める必要があるのかもしれない。

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鈴木 朋子(すずき・ともこ)
ITライター/スマホ安全アドバイザー
メーカー系システムインテグレーターのSEを経て、フリーのITライターに。SNSなどスマートフォンを主軸にしたIT関連記事を多く手がける。10代が生み出すデジタルカルチャーを追い続けている。著作は『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』『今すぐ使えるかんたん文庫 LINE & Facebook & Twitter 基本&活用ワザ』(技術評論社)など多数。http://tomoko.chu.jp/

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(ITライター/スマホ安全アドバイザー 鈴木 朋子 写真=iStock.com)

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