都・府議会でレバレッジ効かす公明党の腹

プレジデントオンライン / 2019年4月11日 15時15分

安倍晋三首相(右、自民党総裁)と公明党の山口那津男代表。(時事通信フォト=写真)

■自民党の下請けだが、基本「何でも反対」

大阪都構想の賛否を最大の争点にした府知事、大阪市長の「大阪ダブル選挙」が終わった。松井一郎大阪府知事(大阪維新の会代表)と吉村洋文市長が任期途中で辞職し、「出直しクロス選挙」に挑むことになった理由は、都構想への協力を呼びかけてきた公明党と決定的な亀裂が生じ、都構想の住民投票実施が暗礁に乗り上げたからだ。

松井氏は、非公表を前提に維新と公明党が結んだ住民投票実施時期に関する「合意書」を暴露するなど怒りがおさまらず、その後は双方の非難合戦が繰り広げられた。組織的な集票力を背景に安倍晋三政権でも影響力を見せる公明党だが、最近はその「矛盾」も目立つ。

国政においては存在感が薄い「維新」だが、本家の地域政党「大阪維新の会」は大阪府内では根強い「維新信者」に支えられ、いまだ国政政党に負けない人気を誇る。だが、これまでは府議会や大阪市議会では単独過半数を占めておらず、公明党に協力を仰いできた。この構図は東京都も同じで、都議選で圧勝した「都民ファーストの会」も過半数には届かず、公明党の協力なくして円滑な議会運営は成立しない。

ここに公明党の「レバレッジ」が効いてくる。東京も大阪も自民党は都連、府連が選挙で大敗後も知事サイドと対立し、知事与党は共産党などと手を組む選択肢を除けば、公明党の動向を気にせずにはいられない。維新も「都民ファーストの会」も選挙では公明党と「協力」し、単独過半数の道を断念したことからすれば自業自得ともいえるが、別の側面から見ると、議席数が少ない公明党が議会を事実上牛耳るという「矛盾」も生じていた。

公明党は1999年から自民党と連立政権を組み、福祉政策を中心に国政において影響力を見せてきた。だが、「政権のブレーキ役」を自任してきたものの、近年では特定秘密保護法や安全保障法制などの対応で期待された役割を果たせず、「自民党が決めたことを追認する『下請け機関』」(野党議員)と酷評されることもある。

ただ、衆議院と参議院で圧倒的多数を占める自民党にとって「壁」になっているのも公明党の存在だ。安倍晋三首相の悲願である憲法改正を発議するためには両院で総議員の「3分の2以上」の賛成が必要で、公明党の賛成がなければクリアできない。国政においても、地方議会においても、その影響力は少数政党でありながら小さくない。

そのため、安倍政権は公明党の支援組織である創価学会幹部と太いパイプを持つ菅義偉官房長官を中心に公明党対策に躍起だが、自民党が目指す憲法改正への慎重論は公明・創価学会内になお根強い。安倍政権は、現場の混乱が予想されている消費税率10%引き上げ時の軽減税率導入を公明党に配慮して決めたが、自民党中堅議員からは「すでに安倍政権は6年を超えるが、それでも公明党から憲法改正への協力を得られる保証がない。憲法改正は安倍首相の『最大の公約』なのだから、それを守るためにいつまでも菅官房長官は甘い顔を見せるべきではない」との声もあがる。

こうした不満が自民党内から出る一方で、公明党支持者にも一部に反発が見える。秘密保護法や安保法制への対応に加え、2018年9月の沖縄県知事選をめぐる公明党の姿勢に否定的な人々だ。14年の沖縄県知事選では自主投票だった公明党だが、18年は自民党と足並みを揃えた。

「平和」「福祉」の政党として議席を獲得してきた公明党だが、最近の国政選挙は低迷ぶりも目立ち、今回の大阪ダブル選挙では「改革を止める勢力は公明党」といった負のイメージも宣伝されている。

自公政権を長く見てきた全国紙のベテラン政治記者はこう見る。「大阪も東京も自民党府連、自民党都連による『何でも反対』ぶりが目立ち、敵視してきた共産党との『共闘』も進む。こうした自民党の惨状に公明党が引きずられると、さらに支援者は離れてしまう。大阪でも東京でも『改革にストップをかける諸悪の根源』と映れば、しっぺ返しを食らうだろう」。

(写真=時事通信フォト)

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