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私立高校に行かれるとすごく困る親が多い

プレジデントオンライン / 2019年4月28日 11時15分

▼子どもの学費が足りない

■公立高校の倍率は、昔ほど低くない?

子どもが生まれると、ほどなくしてピアノに水泳、ダンス、英会話などといった習い事から始まり、塾に受験にと、“聖域”たる子どもの教育費としてお金はどんどん出ていくもの。しかも、首都圏をはじめ大都市を中心に、よりお金のかかる中高一貫私立学校に進むケースも珍しくありません。さらにその後、私大文系の大学に進むとなれば、幼稚園から大学卒業まで約2000万円かかるともいわれています。

もっとも、子どもに中学受験をさせようと考えているほどのご家庭なら、ある程度は資金計画を考えながら進めていることでしょう。ただ、「大学までエスカレーターで行けるから、塾代はかからないはず」と期待していたら注意が必要かもしれません。レベルの高い授業についていけず、補習塾や家庭教師にお金がかかったなんて話もよく耳にするからです。

思わぬ出費という点でより負担が大きいと感じるのは、高校から「図らずも私立」となるケースでしょう。最近はこれが増えているんです。大学は私立でも仕方がないけど、「せめて高校までは公立」を想定していた家庭にとっては、「お金が足りない!」と大打撃になっています。

なぜ、そんなことが起こるのか。それは、地域によっては公立高校の競争倍率が高くなり、多くの不合格者が生まれているから。たとえば神奈川県では横浜翠嵐をはじめ倍率2倍以上の公立高校が目白押しです。親御さんの世代によっては、公立高校入試では、中学での内申点や2年生までの学力テストなどでほぼ志望校が振り分けられ、不合格者はごくわずかという印象を持っている人も少なくないでしょう。そんな感覚は過去のもの。競争が激しい公立高校に合格するには塾や家庭教師など受験対策にお金がかかりますし、結果、私立に進めば公立の倍以上の出費を覚悟する必要があるというわけです。

私立進学で中高問わず問題となるのは、当然ながら経済的にギリギリというご家庭です。まず前者の中学受験を目指すケースでは、無駄な投資を避ける意味でも、「なぜ、中高一貫私立学校を選ぶのか?」を改めてご夫婦で問いかけ合ってみてはいかがでしょうか。それも、答えに対する「それはなぜ?」を3回くらいは問い詰める形で話し合ってみてください。そこまで突き詰めれば本質が見えてきて、覚悟も固まるでしょう。

■自分の得意技を生かした「起業ママ」

また子どもが複数いるなら、子どもの向き不向きによって教育投資に差をつける必要があるかもしれません。私がこれまで子どもを指導してきた経験からいえば、中学受験に向く子とそうでない子がいます。中学受験に向く子は、能力面では「精神年齢が同世代の子の中で比較的高い」または「文章の意味をしっかり理解できる」、生活習慣では「ゲームにハマりすぎていない」または「日常、継続的に勉強する習慣がある」、メンタル面では「目標校がはっきりしている」または「個性が強い」といった特徴があります。

では、こうした特徴や性向に当てはまらない子どもは“ダメな子”かといえばそうではありません。小学校の時点では勉学が振るわなくても、公立の中高を通してメキメキと頭角を現し、有名大学に進むことだって十分に考えられます。つまり、能力の早咲き、遅咲きがあることを、親がどう見守るかが重要なのです。

一方、高校から「図らずも私立」となるケースでは、とにかくお金を工面するより方法はありません。その方法はといえば、収入を増やす、支出を減らす、お金を借りるが三本柱となるでしょう。

収入を増やすには、一般的には専業主婦ならパートに出る方法がありますが、最近は自分の得意技を生かして起業する、「起業ママ」というケースもあります。また、子どもが大学生になったら、学業に支障が出ない範囲でアルバイトをしてもらい学費の一部として充当する形で資金計画を練り直してもいいでしょう。

つまり親としては、大学でかかるはずだった資金の一部を前倒しして高校の学費に充てるわけです。子どもが行きたいから行く大学なのですから、そこは子どもとも真正面から話し合いをしておくべきです。

支出を減らすにはさまざまな節約法を実行するのみ。それでも教育にかかる費用だけは節約したくないと考えるかもしれません。しかし、インターネットを通した授業動画の配信サービスを活用することによって塾代や家庭教師代を節約できる可能性はありそうです。

■親の役目は、子どものOSのスペック向上

たとえば「スタディサプリ」なら月額1000円程度で、主要教科を実力ある先生方が教えてくれます。今後、内容が充実してくるのは確実です。最近では、これをベースにして、独学で、受験に成功している例も多く出始めています。

タブレット化は教育界の大きな流れですが、まだ黎明期にある授業動画サービスとどう付き合うか。まずは1カ月のトライアルをお勧めしています。1~2週間では目新しさだけで持ってしまう。ちょうど飽きてくるのが1カ月です。向いていないようならスパッとやめましょう。料金が格安ですから、痛手は少なくてすみます。ハマるようでしたら、塾や家庭教師と組み合わせて考えてもいいでしょう。

教育にかかるお金の話は、家庭内でも聖域とされているくらいですから、外部の人間がとやかく言えるはずもありません。ただ私の考えの中には、子どもたちが楽しく学べるならそれが一番という大前提があります。どんな世界でも生きていける子にしたいなら、脳の土台、つまりパソコンでいうところのOSのスペックを上げることが最重要です。

学校の勉強はソフトやアプリに相当しますが、それらをいくらダウンロードしたところで、考える力や創る力の土台となるOSのバージョンが低ければ、フリーズしてしまい能力を発揮できません。いかにOSのバージョンを上げるか、そのために最適な学校はどこかを考えていくことこそ、子どもの教育を考えるときに最も重視すべきポイントといえます。ある子どもにとっては先取り教育をする私立の学校かもしれませんし、ある子どもにとってはじっくり学べる公立の学校かもしれません。

そして、必ずや“図らずも”の出費は発生します。まだ子どもが小さいなら、転ばぬ先の杖として学資保険を活用するなど、何らかの形で教育費をコツコツと貯蓄しておけば、役立つときがくるでしょう。

打つべき一手:タブレット化は大きな流れ。授業動画を1カ月間試してみよう

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石田勝紀
教育デザインラボ代表理事
1968年生まれ。20歳で学習塾を起業。都内中高一貫私立校常務理事、文部科学省高校生留学支援金制度の座長などを歴任。母親を対象とした勉強会「Mama Cafe」を主宰。『新時代の学び戦略』ほか著書多数。

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(教育デザインラボ代表理事 石田 勝紀 構成=小澤啓司 撮影=初沢亜利)

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