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なぜ伝統的なお金持ちは低層住宅を好むか

プレジデントオンライン / 2019年4月18日 6時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Garsya)

世界中を飛び回る現代の大富豪たちのライフスタイル、実はお金持ちのタイプによって大きく変わります。モナコ在住の著者が、特にヨーロッパにおけるリッチたちの生態について、新旧2つのタイプにわけて詳しく解説していきます。

■ニューリッチとオールドリッチの違い

世界には桁外れなお金持ちが存在します。数カ国に住居を構え、移動はプライベートジェット、長期バケーション用の大型クルーザーにはヘリコプターやサブマリンを積んでいたり。ため息がでるような映画の世界ですよね。そんな生活をしている人たちは、実際にどんなライフスタイルを送っているのでしょうか。

私が拠点を置くモナコ公国は、このような生活をしている、世界のお金持ちが集っています。この人たちを分析してみると、大きく分けてオールドリッチタイプとニューリッチタイプが存在します。どの国にも由緒正しく家系を守りながら生活をするオールドリッチタイプ。そして、大きな夢を描いて一攫千金を狙うニューリッチタイプです。

様々なことに興味を持ち、フットワークが軽く、考えることに時間をかけるより、行動に移すタイミングがよくスピーディー。女性も男性もこちらの人のほうがお付き合いしていて面白いかもしれませんが、浮き沈みが激しいというのも特徴です。

それに比べてオールドリッチな人々は、派手な行動は控え、家族会議や家系の人たちとの意見交換を重視するため、新しいことをするのにかなりの時間と話し合いが必要です。また目立つことに疑問を持つ人が多く、どちらかというと大人しい印象です。守るものが多いことから外部の人を受け入れることを拒みがちですが、一度その扉が開かれると深くお付き合いすることができるようになります。

■車や服装、時計などは?

所有物を分析をしてみると、男性の場合、車やクルーザーの趣味が異なります。ニューリッチタイプは、最新のフェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンのようなスーパーカーが多く、クルーザーも最新の設備を備えたプラスティック素材のシャープなスタイルを好みます。物ごとを合理的に考え、最新のものを揃えることで、故障などに時間や労力を使うのを省きます。それに対してオールドリッチタイプは、クラシックなロールスロイスをこよなく愛し、クルーザーはウッド素材の帆を掲げるヨット好きな人が多いです。古いものに愛着を持ち、長く使えるように時間とお金を費やします。

女性の場合、服装やアクセサリーに違いが見られます。ニューリッチタイプは華やかで、最新のプランドファッションやアクセサリーを纏い最先端な流行を好みます。オールドリッチタイプは、母親から受け継いだ服やアクセサリーを大切に保管しながら、個性を尊重するファッションを楽しむ人が多いです。

■旧市街vs新市街どちらに住むの?

ヨーロッパの街並みは、旧市街と新市街に分かれ、通常川を挟んで街のつくりが異なります。旧市街は教会を中心に街が形成され、数百年前の建物はそのまま内装だけリフォームをして住んでいます。通常エレベーターはなく階段です。また湯沸かし器はタンク式なのでお湯の使える量にリミットがあります。建物に高さ制限もあり、高層の建物は禁止されています。道は石畳です。風情はありますが、ヒールで歩くことはとても困難です。またゴツゴツした石畳の道路を、車高の低いスポーツカーが走るのも無理がありますよね。

それに対して新市街は新たに開発された地域で、最新の建物が立ち並び設備も充実しています。また中心街はアパルトマンやマンションが多く、一軒家やお城などは郊外にあります。傾向としては旧市街はオールドリッチタイプ、新市街はニューリッチタイプが多くみられます。

旧市街か新市街、また一軒家、ヴィラ、お城のような一戸建てや、アパルトマンやマンションのようなシェアー型を選ぶかで、ライフスタイルは大きく異なります。

■高層マンションを好むのは……

高層マンションと低層マンションでは、住居人のタイプが違ってきます。自分で人生を築いてきたニューリッチタイプの人たちは、高層マンションの高層階を選ぶ傾向があるようです。高層マンションに住む人は、上昇志向型が多く、エレベーターに乗った時何階に住んでいるかがひとつの目安になると聞いたこともあります。私が以前パリの15区にある高層マンションに住んでいた時、最上階の38階全フロアーを所有しているのは、アラブの石油王でした。一年中ほとんど使っていないのに、夏になると全身ベールを覆った女性たちと、その子供達がバケーションを過ごすために滞在していたのが印象的でした。夏のアラブ圏は暑いので、バケーション用に全フロアーを所有されていました。

低層マンションに住むのは、オールドリッチタイプの人たちが多いようです。昔から住んでいる人が多いため、ご近所とのコミュニケーションもしっかりとれ、家族ぐるみのようなお付き合いをされます。都心の低層マンションに住んでいる人は、車で1~2時間ほどの郊外に週末用の一軒家を所有している人も多く、週末は家族や友人たちと一緒に過ごします。フランスのパリジャンたちは、ノルマンディー地方のドーヴィルや、飛行機で簡単に行けるコートダジュールが人気です。

高層と低層のどちらにしても家の中は快適で、住み心地が良いです。スタイルは異なっても、好きな家具、オーディオ、美術品に囲まれ、友人たちを招いてホームパーティを開くことが共通点といえるでしょう。家は自分の人生の表れです。本当のお金持ちは、レストランなどへ行くよりも、ゲストを自宅に招いたり、ホームパーティを好みます。その方がプライバシーを守れ、自分の生き方やライフスタイルを直接理解してもらえるからです。

■あなたはどちらに憧れますか

お金持ちといっても、タイプが異なることがおわかりいただけたと思います。さてここから質問です。あなたはどちら派に憧れますか? ニューリッチタイプ? それともオールドリッチタイプ? 自分の理想の人生を考えた時、どんな環境に自分をおくかで将来は決まってきます。まずは自分の理想の人生をしっかりと考えてから、日常を見直してみましょう。

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畑中 由利江(はたなか・ゆりえ)
モナコ公国に活動拠点をおく国際マナー研究家。2003年、日本人女性にプロトコールマナーを伝えるスクール「エコール ド プロトコール モナコ」を設立。日本と欧州の文化活動や社会貢献活動の功績に対して、王家騎士団“聖マウリッツオ・ラザロ騎士団”から2016年、Dame(ディム)の称号を得る。モナコ公国アルベール大公が名誉顧問総裁を務める国連提携慈善団体Amitié Sans Frontières Internationale(国境なき友好団)の日本支部代表理事。著書に『ドレスを1枚ぶらさげて』など。

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(国際マナー研究家 畑中 由利江 写真=iStock.com)

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