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老後は「持ち家と賃貸」どちらが安心か

プレジデントオンライン / 2019年6月1日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kyonntra)

「持ち家と賃貸、どちらが賢いか」は、簡単に結論の出ない悩みだが、人生の「一番大きな買い物」で「豊かな老後」は得られるのだろうか。

■「老後はマイホームのほうが安心」というのは本当か?

人生100年時代として考えると、親から家を相続できる人以外は、現役のうちに家を購入すべきです。なぜなら最悪の場合、住む場所がなくなる心配があるからです。

年金の受給額は、今後間違いなく下がります。少ない年金の中から、仮に毎月10万円の家賃を一生払い続けると、家計は相当厳しくなります。65歳の人の平均余命は男性19.57年、女性24.43年。よほどの蓄えがない限り、定年後も賃貸生活を続けるのは負担が大きく、高齢になるほど医療費や介護費の支出も増えます。「70歳まで働く時代」が到来しても、60歳を過ぎたら給与も下がります。

「少子化で空き家が増えるから、今より借りやすくなり、家賃も安くなる」と考える人もいますが、現実は厳しいもの。大家は、部屋を高齢者に貸すのを敬遠します。特に70歳以上の単身の高齢者は、家賃保証会社の審査でも厳しくなります。当然、家賃に加え保証料の支払いが必要になります。

もちろん、持ち家の一戸建てやマンションには、固定資産税や管理費、修繕費といった維持費はかかるものの、賃料に比べれば負担は少ない。何より住む場所が確保できれば、最低限の生活が保証される安心感は大きいものです。

賃貸にもメリットはあります。子どもの成長や生活環境、収入の高低、住まいに求める価値観の変化に合わせて身軽に引っ越せることなどでしょう。しかし、仕事が中心の夫と違い、地域社会とのつながりの深い妻が、「住み慣れた今の街を離れたくない」と主張して容易に転居できない場合もあります。

定年後の選択肢が広がることも持ち家の大きなメリットの1つです。老後に住みづらくなっても、賃貸では自分仕様にリフォームするのは難しい。バリアフリー化なども持ち家は容易で、家族にとってベストな改造ができます。また、自宅を売却し、その資金で介護やサービス付き高齢者住宅、有料老人ホームに移ることも可能です。自宅をリノベーションして賃貸に出し、手頃なマンションへの住み替えもできます。

住宅ローン返済中の収支は持ち家も賃貸もほとんど変わりません。持ち家のメリットを生かすには住宅ローンを60歳までに終わらせておくことがベストです。完済時の年齢は80歳未満が多いですが、60歳以降に働いても現役時代より給与が低いのが一般的で、その中からの返済は大変です。早めに繰り上げ返済し、その後の収入は蓄えに回すのが賢明です。

■住宅ローン完済までの平均期間は約15年

例えば、3000万円の住宅ローンを金利1%、35年元利均等、ボーナス返済なしで借りると、20年後の借入残高は約1415万円になります。これを一括返済すると、返済総額は約109万円も減ります。一般的に住宅ローン完済までの平均期間は約15年(住宅金融支援機構・2016年調査)なので、ローンを40代で組んでも60歳までに返済することは十分に可能でしょう。

「豊かな老後」を考えると、住宅ローンの完済後は、経済的に余裕のある生活が思い描けます。

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山下和之(やました・かずゆき)
住宅ジャーナリスト
1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・単行本の取材、執筆、講演、セミナー講師など幅広く活動。著書に『2017-2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』『よくわかる不動産業界』など。

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(住宅ジャーナリスト 山下 和之 構成=吉田茂人 写真=iStock.com)

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