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筋トレ後"サラダチキンだけ"がダメなワケ

プレジデントオンライン / 2019年5月29日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/halfbottle)

筋肉をつけるためには、たんぱく質が必要だ。しかし管理栄養士の川端理香氏は「たんぱく質を効率的に、確実にとるには、『サラダチキン』や『卵の白身』だけを食べていてはダメ。もっと奥行きのある考え方が必要だ」という――。

※本稿は、川端理香『筋肉の栄養学 強いからだを作る食事術』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

■鶏肉や卵は食べ方を間違えると逆効果

最近のサラダチキンブームが代表するように、筋肉をつけたいと食事はもちろんのこと、効率よくたんぱく質をとって筋肉をつけようと間食でも食べている人もいることでしょう。

もともと肉の中でも鶏肉は筋肉をつける食材として認識している方が多く、同様に卵の白身も筋肉をつける材料として人気です。

どちらも高たんぱく低脂肪の代名詞のような食材で、よくアスリートが肉体改造として食べている姿を、メディアを通して見る機会もあることでしょう。

しかし、「一生懸命鶏肉や卵を食べているのに、筋肉がつかない」と思っている方はいないでしょうか。もしくは、おなかが張る、逆に便がゆるい日が多いだけでなく、この食事をしてから疲れがとれないなどといった症状が出ていないでしょうか。

筋肉をつけたいと、このようなたんぱく質中心の食事に変えている方はトレーニングも本格的におこなっているため、疲労が起こるのは当たり前だと思っているかもしれません。

ですが鶏肉や卵は、とり方がよくなければ逆効果になることもあるのです。

これらの食材に限らず、筋肉をつけるといわれている食材を、効果的に食べられていな方も多いのです。

しかし、食べ方を少し工夫するだけで効果的に筋肉を作ることはできます。

■筋肉はたんぱく質だけでできているわけではない

筋肉をつけたいからと、たんぱく質が多く含まれているとされる食べ物ばかりとっていてはだめです。コンビニなどでも手軽に買える「サラダチキン」や「卵の白身」ばかり食べているだけでは効果をアップすることはできません。

なぜなら、筋肉はたんぱく質だけでできているわけではないからです。

商品を購入するときに、「商品名」で選んでいないでしょうか? たとえば、サラダチキンはメーカーによって原材料も栄養価もまるで違います。鶏肉だと思って食べているかもしれませんが、実は鶏肉だけでできている市販のサラダチキンはほとんどありません。

サラダチキンは、鶏肉、塩、でんぷん、ホエイパウダー、チキンエキス、マルトデキストリン、脱脂粉乳、ブドウ糖、卵白、酢、増粘剤、リン酸塩、トレハロース、乳化剤、グリシン……こうした多くの原材料でできています。

糖質制限をしているといって、サラダチキンだけ食べているという人がいますが、でんぷんやマルトデキストリン、ブドウ糖などは糖質です。また、含まれる塩分は1個1グラム程度のものから4グラムのものまであります。これだけ原材料が違うので、サラダチキンといっても、1個のエネルギーも約100~150キロカロリーと幅があります。さらに、たんぱく質量を増やすために、ホエイパウダーや卵白、脱脂粉乳なども使われていることもあります。サラダチキンとひと口にいっても、実際はさまざまなのです。

■大事なのは「効率的に」「確実に」たんぱく質をとること

「とにかくたんぱく質をとりたい」という人は、栄養表示のたんぱく質量だけをチェックしていることでしょうが、アスリートは、たんぱく質をどんな食品からとるのかまでを考慮して選びます。

大事なのは、たんぱく質を効率的に、確実にとることなのです。

さらに、筋肉をつけたい場合は、食べるだけでなくトレーニング(筋トレ)もおこなう必要があります。そのトレーニングをどのようなコンディションでおこなうかも効果的な筋肉作りには重要なのです。

最近はスポーツ栄養学が認知され、目的によって必要な栄養素が含まれる食材をとるようになってきています。

しかし、スポーツ栄養学は単純なものではありません。

たとえば、「筋肉をつける」という目的を遂行する場合、「筋肉の材料はたんぱく質→たんぱく質をとる→筋肉をつける」というシンプルな論法では実現できません。もっと奥行きのある考え方が必要です。

先に述べたとおり、トレーニングをおこなわなければ筋肉はつきません。簡単にいうと、筋肉量を増やすためには「筋破壊」を生じさせることが必要です。

トレーニングとは、筋肉を壊すことなのです。

■運動後は「肝機能の数値」も上がる

筋肉が破壊されるということはからだに負担になります。からだが疲れた、だるいなどと、感じることにもなります。

動くということはエネルギーも使います。汗をかけば水分やミネラルなども消耗します。また、見た目ではわかりませんが、実は内臓にも負担がかかっています。これは、運動後は血液検査の肝機能の数値が上がることからもわかります。

つまり、筋肉を作るということは、トレーニングによる負荷も考慮して食事を考えることがポイントなのです。

さらにたんぱく質だけとるのではだめです。それをからだが吸収して、筋肉となるためにはほかの栄養素も必要になります。一つの栄養素だけで細胞が作られているわけではないのです。

また、たんぱく質のとりすぎは、内臓に負担がかかるということも耳にしたことがないでしょうか。これはたんぱく質に含まれる窒素が原因です。

食事をとることでエネルギーになるのは3つの栄養素だけです。それは、たんぱく質と糖質、脂質です。これらを三大栄養素といいます。逆にこれ以外の栄養素はいくらとってもエネルギーにはなりません。カルシウムやビタミンCなどはいくらとってもエネルギーにならない、つまり太らないのです。

■「おならや便の臭い」がきつくなる

この三大栄養素の中で、唯一たんぱく質だけに入っている元素が窒素です。窒素はからだで使われたあとに、腎臓で濾されて尿中に排泄されます。そのためたんぱく質をとりすぎると腎臓に負担がかかります。

川端理香『筋肉の栄養学 強いからだを作る食事術』(朝日新聞出版)

また、たんぱく質を一生懸命とっている人にありがちなのが、おならや便の臭いです。たんぱく質の多い食事をはじめてから、臭いがとてもきつくなっていたりはしませんか?

実際、アスリートの中には、筋肉をつけたいからとたんぱく質を意識しすぎてトイレが臭いと家族やチームメイトから指摘されることがある人もいます。

便は腸が関与していることはおわかりかと思いますが、臭いがきついということは、腸があまりよい状態ではありません。腸が免疫や感情などあらゆることに関与しているため、アスリートにとっては腸の状態をよくすることがよいコンディションをキープするためのポイントにもなっています。

したがって、たんぱく質を多くとった場合には、腸の状態をよくするには食物繊維を増やすことが欠かせないのです。

以上、「筋肉をつける=たんぱく質をとる」ではないことを、簡単に説明しました。

たんぱく質だけ意識して、サラダチキンだけ食べていても効率が悪いことがおおよそ感じられてきたかと思います。

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川端理香(かわばた・りか)
管理栄養士
昭和女子大学非常勤講師。2004年アテネオリンピック「VICTORY PROJECT」チーフ管理栄養士、08年北京オリンピック委員会強化スタッフ。JリーグやVリーグ、プロ野球、プロゴルフ、ラグビーなど多くのトップアスリートをサポート。著書多数。一般を対象にした講演などの食育活動や執筆、レシピ開発、企業の栄養アドバイザーも務める。

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(管理栄養士 川端 理香 写真=iStock.com)

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