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親に土下座してもらうと効果大の修羅場

プレジデントオンライン / 2019年6月22日 11時15分

「『え? この人が?』と思わせる土下座は相手の宥恕の意思を引き出しやすい」(PIXTA=写真)

■土下座に一定の軽減効果あり

一昔前のドラマならば、万引をした生徒にかわり、熱血教師や親が警察や相手に土下座をして許しを請うというシーンを見かけることも珍しくなかった。数年前のドラマ「半沢直樹」での土下座シーンを覚えている人も多いはずだ。

だが、実際のところ現実社会で土下座を目にする機会はレアケースだ。ということは、土下座で罪や賠償が軽減されるのはフィクションの世界だけなのだろうか。

「一概には言えません。立場や状況を踏まえて土下座をすれば、一定の軽減効果を期待できるときがあります」

そう語るのは城南中央法律事務所の野澤隆弁護士だ。野澤弁護士は、土下座の効果が期待できる場面として、あるシチュエーションを挙げてくれた。

「たとえば、成人のあなたが飲酒運転で人身事故(軽傷)を引き起こしてしまったとしましょう。これに対して、遠くの田舎に住んでいる父親がすぐに来て、被害者やその家族に対し土下座をした場合は効果が期待できるかもしれません。法的な責任を負わない者の道義的な面を重視した迅速行動に対し被害者側が、軽傷であること、加えて加害者側の任意保険で対人無制限が適用される見込みなどを考慮し『厳罰までは求めない』といった意思を示すことがあるのです。こうした寛大な心で許すことを法律業界では『宥恕(ゆうじょ)』といいます」

被害者側からの宥恕の意思を引き出しやすいのは、野澤弁護士曰く加害者本人ではなく、父親や職場の上司・親方に代表される後見役。

「逆に、加害者本人による土下座は効果が薄いどころか、無駄なパフォーマンスに見えてしまう危険性すらあります。今では加害者本人による土下座の評判は芳しくないと思っていたほうが無難でしょう」

そもそも、法廷において土下座はどのような影響を与えるのだろうか。

「日本の法律において、土下座の法的意味はあまりないのが現実。土下座をしたので、この法理により軽減しますということにはならないのです。ただし、精神的慰謝料の額や起訴猶予処分の決定等は総合評価でなされるので、微調整の段階で考慮されることはあります」

■初期段階の土下座は効果的

野澤弁護士によると、喧嘩などその場ですぐに被害者とコミュニケーションが取れ、かつ責任を否認すれば相手も長期化することがわかっている案件では、即時の土下座が有利な事情に評価されることがある。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Tomwang112)

「『無罪推定の原則』を悪用し無駄な言い逃れをする人がいるのは相手もわかっていることが多いので、『早めに、潔く』が評価される可能性があります。特に痴漢や強制わいせつのような性犯罪では、奥さんや年ごろの娘さんがいれば否認することで保身を図る方もいますが、そうした状況でも保身しなかったことが微調整の段階で考慮されるのです」

土下座をする人の社会的ポジションが重要であるのは言うまでもない。

「『職業に貴賎なし』と言いますが、やはり権威ある立場の方が土下座をすると、その深刻さを感じてくれやすいでしょう。逆に、営業力が最重要の要素だとイメージされている職業の場合、損をしやすい。『身なりや言葉遣いも重要な要素ですよ』とはよく言うが、このフレーズは土下座シーンでも当てはまります」

経営学で有名なピーター・ドラッカーは、「誠実さ(integrity、インテグリティー)」を何よりも重要視していた。「誠実」とは何かを自問自答したうえで反省の意思をすぐに態度として示せる意味での土下座は有効なのかもしれない。

(編集者・ライター 鈴木 俊之 写真=PIXTA、iStock.com)

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