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湯川秀樹が巧妙な工夫と評したつるかめ算

プレジデントオンライン / 2019年7月22日 17時15分

■つるかめ算は頭の体操

「つるかめ算」をご存じだろうか。聞いたことはあっても、具体的には知らない人もいるのではないか。

「鶴と亀の頭の数が合わせて10ある。足の数の合計は30本。このとき、鶴は何羽、亀は何匹か?」というように、ある2つ以上の異なる種類のものがあり、その総数がわかっている場合に、それぞれがいくつあるかを考える問題だ。このつるかめ算、小学校の教科書では、ほとんど触れられていないものの、中学受験では必須の「特殊算」と呼ばれる算数の解法の1つでもある。

たとえば、「100円玉と500円玉が合わせて19枚あり、その合計金額は5100円。このときに500円玉は何枚あるか?」という問題。これは中学数学の「x」を用いた1次方程式で簡単に解けるのだが、中学受験では方程式ではなく、特殊算で解くことが求められる。読者の方も頭の体操だと思ってチャレンジしてみてほしい。

つるかめ算は、塾では「面積図」を使って解く方法を教えるのが一般的だ。図のような面積図で考える。四角形CDEHは、タテが100円玉1枚分(100円)、ヨコは100円玉と500円玉の合計枚数(19枚)を表している。一方、四角形AGEFは、タテが500円玉1枚分(500円)、ヨコが500円玉の枚数を意味する。そして、図全体(ABCDEF)の面積が、合計金額の5100である。

まず、四角形CDEHの面積を計算すると、「100×19=1900」となる。次にもう1つの四角形ABHFの面積を求める。これは全体の面積から四角形CDEHの面積を引けばよいので、「5100-1900=3200」となる。つまり、四角形ABHFの面積は3200である。さらに、ABの長さは「500-100=400」なので、AFの長さ(500円玉の枚数)は「3200÷400=8(枚)」となり、答えが求められる。

つるかめ算について、ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士は、自身の中学生の頃を振り返って次のように記している。「代数も好きであった。小学校の算術に、ツルカメ算などというのがある。まるで手品のような巧妙な工夫をしないと、答えが出ない問題だ。それが代数では、答えを未知数エックスと書くことによって、苦もなく解ける。論理のすじ道を真直ぐにたどって行けばよい」(湯川秀樹著『旅人』角川学芸出版)。

■「まるで手品のような巧妙な工夫」が必要な解法

湯川博士はつるかめ算について、「まるで手品のような巧妙な工夫」が必要な解法だと述べている。つまり、xを使う方程式を使って解く場合(代数)と比べて、算数の範囲でつるかめ算を解くと、ややこしいということだろう。

ちなみに、1次方程式を使うと次のように解ける。「500円玉の枚数をx枚とおくと、100円玉の枚数は(19-x)枚」となり、「500x+100(19-x)=5100」という方程式ができる。これを解くと、「500x+1900-100x=5100」→「500x-100x=5100-1900」→「400x=3200」→「x=8」。これにより、500円玉は8枚と求められ、苦もなく解ける。

なお今回の例に出した、つるかめ算の問題は、中学受験では基礎レベルだが、「速さのつるかめ算」といった応用問題もあるので、興味のある方は挑戦してほしい。

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小杉拓也
志進ゼミナール 塾長
東京大学経済学部卒業後、IT関連会社を経て、個別指導塾の講師へ。その後、埼玉県に学習塾を開業。著書に『中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる』など。

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(志進ゼミナール 塾長 小杉 拓也 構成=田之上 信)

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