山好きを海好きに変える"ロジカル説得術"

プレジデントオンライン / 2019年6月13日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/MaRabelo)

自分と反対の意見を持った人を説得するには、どうすればいいのでしょうか。現役東大生の西岡壱誠さんは「相手を否定してはダメ。対立するのではなく、つなげることを意識して、情報を出していくことが必要です」と説きます。その方法とは――。

※本稿は、西岡壱誠『東大ドリル“なぞなぞ”&“身近なテーマ”で楽しみながら「自分で考える力」を鍛える』(ワニブックス)の第4章を再編集したものです。

■相手と自分の立場をつなげる「論理的思考力」

「論理的思考力」は、「客観的思考力」の先にある能力です。「客観的思考力」で相手の立場に立った後で、その立場と自分の立場とを「繋げる」能力のことを指します。

相手が抵抗感を持っているものを薦める、あるいは立場が対立している場合に説得しなくてはならないなど、相手と自分の距離が遠いときに必要になってくるのです。

問題を解いたり、人に何かを説明したりするには、「距離を近付ける」というのが肝要です。ゴールを自分に近付けたり、スタートからゴールへと近付きやすくしたりして、距離がゼロになったらゲームクリア。これが全ての問題を解く鍵であり、どんな人にも伝わりやすい言葉を話す一番大切なテクニックなのです。

というわけで、ここでは「スタートの情報を増やし、相手と自分を近付ける」ということをしていきましょう。

■定番の論争をどう解くか

例えば、こんな問題をみなさんはどう解くでしょうか?

【問題】
あなたは修学旅行で海に行きたいと思っています。しかしクラスの友達は山に行きたいと言うので、意見が対立してしまいました。
山に行きたいと言う友達を、どんなふうに説得すればいいでしょうか?

「海vs山」「たけのこvsきのこ」「コーヒーvs紅茶」「巨人vs阪神」……世の中にはいろんな論争が存在しますね。その多くは、両方ともいいところ・悪いところがあり、甲乙つけがたいものです。

そんな中で、古来より議論のタネになってきたのが「海vs山」。今回の問題は、山派を説得して海へ行こうというものです。普段山派の人も、今回の問題だけは海派になって、挑戦してみてください。

STEP1 使える情報を増やす

さて、こういう問題にはどう対処すればいいのでしょう。

ポイントは、自分たちの情報を整理して情報を増やし、相手の立場に立って相手の情報を整理し、自分と相手の距離をゼロにすることです。

もっと簡単にいうと、相手のことを理解した上で「山でこういうことやりたいと思ってない? でもそれ、海に来てもできるんだよ!」「山にはこういう欠点があるけど、その点海はいいんだよ!」と伝えればいいのです。相手がメリットに感じていること・デメリットに感じていることを汲み取り、それを自分の推しているほうのメリットへと繋げることで、説得ができるのです。

よくこういう「AvsB」の論争の場合、自分のメリットと相手のデメリットだけを挙げることで論争に勝つ、いわゆる「ディベート」の形式で問題に対処しようとすることがありますが、そのやり方ではうまくいかないことも多いです。

何より、今回行くのは旅行です。せっかく旅行に行くなら、みんなが幸せなほうがいいですよね? 相手も納得して「それなら海に行こう!」と言ってもらえるようにしたいです。そのためには、相手の立場に立って問題に対処しようと考えるといいのです。

■自分の立場を掘り下げておく

というわけで、まずはスタートの「海」についての理解を深めておきましょう。海に行くと、何ができるでしょうか?

やっぱり一番は、泳いで遊ぶことができるのがいいですね。海水浴をして楽しいというのが海の利点です。他に、ビーチでバレーをしてもいいですし、砂遊びも楽しめます。また、海の家ではかき氷や冷やし中華にラーメンなど、ここで食べるから美味しいような料理がたくさんあります。

逆に海の悪いところってなんでしょう? 「泳いで遊ぶ」が一番いいところだとすると、逆に泳げない人にとってはかなり苦しいですね。また、日に当たるのがそこまで好きでない人もいるかもしれませんから、その点で海は、楽しめる人が限られているのかもしれません。

STEP2 相手が理解できるものを列挙する

次は「山」です。山のいいところ、悪いところってなんでしょうか?

山のいいところというと、登山ができるというのがあるかもしれません。山登りをしたあとは頂上の空気が美味しいですよね。また、空気が澄んでいるので、夜には星が見えそうです。みんなで星を見て楽しめるのはいいことです。また、BBQをして外でご飯が食べられるのも魅力の1つですね。季節が冬ならスキーやソリもできるのですが、海に行こうとしていることから考えると季節は夏なので、雪もありませんから難しそうです。

逆に悪いこととはなんでしょうか? 1つは、海と比べて山はアクティビティーの種類が少ないですよね。ぱっと思い付くアクティビティーは登山と天体観測くらいしかありません。また、山は天気が荒れやすく、雨でずっと室内にいなければならないこともあります。

海も山も、これ以外にいいところ悪いところはたくさんあると思います。みなさんもぜひ考えてみてください。

STEP3 伝えたいことと近いものを選び、組み立てる

ここまでの海と山のメリット・デメリットをまとめてみましょう。

・アクティビティー 【海】→海水浴、ビーチバレー、砂遊び 【山】→登山、天体観測
・食べ物 【海】→海の家のかき氷、冷やし中華、ラーメン 【山】→BBQ
・いいところ 【海】→日差しが強く気分が陽気になる 【山】→空気が澄んでいる
・悪いところ1 【海】→泳げないと楽しくない 【山】→天気が変わりやすい
・悪いところ2 【海】→日差しが強い 【山】→遊べる内容が少ない

こう見てみると、どちらも同じくらいのメリット・デメリットがあって、論争になるのもよくわかります。しかし今回は、「海」に連れていけるように説得しなければなりません。

先程お話しした通り、「山でできることは、海のほうでもできるんだよ!」「山にはこういう欠点があるけど、その点、海はいいんだよ!」と語っていけばいいのです。

まずは登山に関してです。「さすがに海で登山はできないでしょ」と考える人も多いと思いますが、そんなことはありません。海の近くにちょっとした山があり、その小山から海を一望できるスポットというのは実は結構あります。例えばハワイに行って、海で遊ぶ途中に山を登るのも楽しそうですね。海に行くと登山ができないということはないのです。

■白黒つけないグレーな答えでも問題はない

次に天体観測ですが、これも海岸で星がきれいに見えるスポットというのも多く存在しているので、山でなくてもできます。

西岡壱誠『東大ドリル“なぞなぞ”&“身近なテーマ”で楽しみながら「自分で考える力」を鍛える』(ワニブックス)

食事に関しても海辺でBBQをできるスポットは多くあります。山でのBBQは景色がいいですが、海を一望しながらのBBQというのも景色のよさでは負けていません。

山でやりたかったことが海でもできるとなれば、山派の人間も「そういうことなら」と言ってくれそうですよね。

次は、山のデメリットが海にはないことを示していきましょう。

山は天気が変わりやすいということですが、これは海のほうが天気が安定していることから説明できます。もし台風が来ているならば日程をずらせばいいですし、天気の問題はクリアできそうです。

また、山はアクティビティーの種類が少ないという点に関しては、海ならばビーチバレーや砂遊びができますし、泳げなくても浮き輪を使えば楽しめるので、アクティビティーは豊富といえます。

いかがでしょうか? 「登山もできるしBBQもできる、山派の人にも満足できるプログラムを作ろうよ!」と言えば、山派の人も「そういうことなら」と海に行ってくれるはずです。「海か山か」と白黒つけるのではなく、「海に行くけど山に行ったのと同じ満足感が得られる」というグレーな答えであってもなんの問題もないのです。

■メリット・デメリットをきちんと相殺する

今回は、海派に立って考えてみましたが、もちろん山派でもこの問題を解くことは簡単です。「泳ぎたいなら、山の中の川で泳げるスポットがあるよ!」とか、「かき氷なら、山のフルーツや天然氷を使った絶品かき氷が売ってるんだよ!」とか言えば、海派の人を説得することができるはずです。対立するのではなく繋げる。相手の側に立って考えた上で、相手のメリット・デメリットをきちんと相殺できるようにすれば、説得はうまくいくのです。

【答え】
「登山もできるしBBQもできる、山派の人にも満足できるプログラムを作ろうよ! それに、山は天気が変わりやすいのが心配だけど海なら安心だし、山よりアクティビティーが豊富だから泳げない人でも楽しめると思うよ!」

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西岡壱誠(にしおか・いっせい)
東京大学4年生
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。楽しみながら考える力を鍛えるオリジナルの勉強法、思考法を開発して取り組んだ結果、偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

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(東京大学4年生 西岡 壱誠 写真=iStock.com)

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