海外の超一流の「頷き方」はここがすごい
プレジデントオンライン / 2019年7月27日 11時15分
■第一印象は「立ち姿」で決まる
エグゼクティブ・プレゼンス――社会的に地位や職位の高い人に求められる品格・存在感や振る舞いが、日本でも重要視され始めています。私はいままでに日本の一流ホテルやビジネスクラブ経営会社に勤務し、多くのエグゼクティブにお会いしてきました。周囲から一目置かれる方は、自然とエグゼクティブ・プレゼンスを身に付けていらっしゃいます。
一流かそうでないか、相手に一瞬で伝わるのが「立ち姿」です。人の印象は姿勢で決まります。正しい立ち方は壁に背をつけ、腹筋とお尻をきゅっと締めます。その状態で肩甲骨を少し後ろにひっぱるようにすると胸部に張りが出ますから、肩の力を抜き、顎を少し引きます。「座り姿」も、背もたれに思い切り寄り掛からずに体幹を使います。ソファでも足を投げ出したり組んだりせず、膝の間隔を肩幅分くらい開け、膝より足先は開かず、またつま先は内側に向かないようにして、床に両足がついた状態をキープします。
オーラのある方は全方位の姿勢や身だしなみに気を使います。私が秘書をしていた頃、同僚であった秘書のボスは、毎朝秘書に後ろ姿もチェックさせていました。
■名刺交換時どんな表情が正解か
オフィスの自分の部屋に来訪者があったとき、「笑顔で席を立ち、両手のひらを広げながら出迎える」。こうしたしぐさは、歓迎の意を体現していて訪問者を安心させます。
名刺交換では、胸元から名刺入れを取り出し、相手の名刺を両手で受け取ったら、まず名刺を見て、口角を上げたキリッとした表情で相手と目を合わせます。流れるような一連の動作からは「あなたの名前と顔を覚えましたよ」という誠意が伝わります。
年齢や役職が上がるにつれて目下の方との名刺交換がおざなりになる方がいます。面倒くさそうに片手で名刺の受け渡しをして、相手の名刺を受け取るやすぐにしまって不愛想なまま。これでは「自分が偉い立場の人間だ」と誇示していることしか伝わりませんし、会社の顔である地位に立つ方の態度としてふさわしくありません。
握手をするときにも、相手の手を上から覆う(つかむ)ように手を差し伸べてしまうと、高圧的です。手を差し伸べる際のノーマルポジションは相手と同じ高さです。握手に慣れていない方は注意したほうがよいでしょう。
■相手の意識を引き寄せる手の動き
相手の話を真剣に聞いていることを示すしぐさとして「うなずき」や「あいづち」があります。とはいえ相手の目を凝視しながら、相手が話すワンセンテンスごとに首を縦に振るようなうなずきは、新入社員のようで威厳が感じられません。海外のエグゼクティブにはこれが上手な方が多く、例えば「相手と視線を軽く合わせながら少しだけ首を傾けるしぐさ」をします。相手の話に聞き入りながら自分なりに考えを巡らせている、といったニュアンスです。避けたほうがよいのが、「顎を上げる」「腕を組む」といった相手の発言を拒否している印象を与えるしぐさです。また、自分の顎や頬などを触るクセのある方がいますが、あまり頻繁だと相手の意識がそこに向けられてしまいます。「両手はテーブルの上に載せ、体の正面で軽く組む」と知的さも演出できます。
一方、自分が話すときには、目線と手の動きを組み合わせることで、聞き手の意識を引き寄せます。会議やプレゼンなど、聞き手が複数人いる場合でも、一定間隔に目を合わせる人を決めて話をすると、目線を合わせた人の周囲にいる人も自分に向けて話されている気持ちになり、集中してもらえます。さらに、効果的に指先を動かして、資料を指したり、指で数を表す動作をしたり、手の高さや広げ方を変えることで、聞き手の集中度は高くなります。
■スーツのボタンはいつ留める?
「立ち上がったときにスーツの上着のボタンをスマートに留める」、これはジャストサイズのスーツを着ているエグゼクティブにしかできない優雅なしぐさです。
エグゼクティブの多くは、スーツを自分の体に合わせてオーダーします。スーツは立ったときに最も美しい状態になるように作られていますから、ボタンを留めたまま座ると皺ができてしまいます。それを回避するために、座るときにはボタンをはずし、立ったときにさっと留めるのです。ボタンは2つのときには上だけ、段返り3つのときには真ん中のボタンだけを留めます。
プレゼンで手を動かした後などにシャツの袖がスーツの中に入ってしまうことがあります。談笑をしながら、上着の袖からシャツの袖が1~1.5センチ程度出るくらいにさりげなく調整するしぐさも、サイズの合ったシャツを着ているからこそ様になります。首回りが非常に緩かったり、一番上のボタンが留まらないのでネクタイを締めてごまかしたりすると、首元がだらしなく見えます。
近年、夏場は上着を着ない方も多いと思いますが、外出先で上着を脱ぐエグゼクティブはあまりいません。人が見ていないところでしっかり汗対策を行い、涼し気な顔でスマートにスーツを着こなしていらっしゃいます。尚、エグゼクティブが集まる場には、いい香りがつきものです。上質な香水をウエストや太ももにつけているので、その香りがきつすぎることもなく、ちょっとしたしぐさでふわっと香るのです。
■一目置かれる食事の作法
西洋式の会食で余裕を感じさせるのは「ナプキンの使い方」の上手な方です。ナプキンは膝の上に置くだけでなく、食事中に汚れた指や口を拭いたりするときに使います。飲み物を飲む前に膝の上に置いたナプキンを取って軽く口についた油を押さえ、グラスに食事の油がつかないように配慮したり、シェフが挨拶に来た際に口元を拭いてから声をかけたりと、優雅なナプキン使いは食事の雰囲気をよくします。
複数での会食では、皆がその場を有意義に過ごせるよう、主賓の部下にも多少は話を振りますし、飲み物の追加オーダーなども、自分の部下にさり気なく目配せするなど、その場を取り仕切ります。
当然、店員に対しても横柄な態度は取りません。自分が接待をする側で店に粗相があった場合、店を選んだ自分に責任があると考えますし、いい接待ができるよう、日ごろからその店に通って信頼関係を築き、事前に綿密な打ち合わせをして挑むためです。支払い時も会食相手に財布を見せて気を使わせるようなことはしません。サインで済ませられる店にしたり、相手が中座した際に済ませます。
■へりくだらない、レディファースト
女性への対応は、男性から質問を受けることが多いテーマです。VIP御用達のホテルでサービス責任者を務める知人によると、「来店の際に女性を後ろから守るように歩き、女性を奥の良い席に通して座るのを見届けてから自分も腰を下ろす」ことが自然にできる方には、出世の早い方が多いそうです。
私自身も、スマートなレディファーストをしていただいた経験が何度かあります。レストランで「女性は一番いい席に座るものだよ」と、奥の席を勧めてくださった経営者や、車に同乗させていただく際、わざわざ車から降りて運転席の後ろの席を勧めてくださった経営者もいました。
いずれも私が経営者になってからの話ではなく、秘書やアシスタントをしていた頃の話です。つまり、レディファーストができる方は、相手の地位にかかわらず気遣いをされます。女性にも部下にも店の方にも、へりくだっているわけではなく、堂々と感謝の言葉を伝えたり気くばりをされます。結局、オーラのある方のしぐさとは、周囲への配慮から生まれた動きであり、それが自然にできるようになったとき、その方の器となるように思います。
■▼男のモテしぐさ
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1. 話を聞く
両手はテーブルの上で重ね、相手と視線を軽く合わせる。腕や足を組むと威圧的になる。(Getty Images=写真)
2. 口角を上げる
にやにやした笑いではなく、菩薩のようなほほえみ。できない男性が多いので練習を。
3. 出迎え
相手を歓迎していることが一目でわかるよう、笑顔で両手を広げて。(PIXTA=写真)
4. 握手
手を差し出す際は相手と同じ高さで。上から相手の手をつかむように差し出すのはご法度。(PIXTA=写真)
5. レディファースト
エレベーターなどでドアを押さえる、店で女性が座ってから自分も座る。へりくだらず堂々と。(PIXTA=写真)
6. ナプキン使い
会話の前に口元を押さえる。いつのまにか膝から床に落ちていることのないように。(Getty Images=写真)
7. 支払い
事前に店に頼み、接待する相手には財布を見せることなく、気づかれないように会計を。(PIXTA=写真)
8. シャツの袖
上着の袖からシャツが1~1.5cm程度出るように。周囲と会話しながらさりげなく。(PIXTA=写真)
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プレゼンスコンサルタント
アテインメンツ代表。国内の一流ホテル勤務後、エグゼクティブ向けビジネスクラブ経営会社で要職を歴任。著書に『「一流の存在感」がある人の振る舞いのルール』ほか。
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(プレゼンスコンサルタント 丸山 ゆ利絵 編集、構成=干川美奈子 撮影=和久六蔵 写真=PIXTA、Getty Images)
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