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劇的変化を遂げる中国でどう事業すべきか

プレジデントオンライン / 2019年7月27日 11時15分

(写真左)シャン・イーリーさん。自宅兼事務所にて。(右上)眺めると癒やされる、娘2人からもらった大切なプレゼント。(右下)愛用品の香炉2つ。就寝前にたいてリラックスするのが日課。

キャリア志向が強い中国人女性。結婚・出産後も共働きが一般的です。パワフルに仕事をつかみにいく彼女たちの原動力に迫まります。

■文具の可能性を見いだし、中国国内の新たな市場を担う

大学で国際貿易学を専攻し、得意の語学を生かして輸出入の仕事を手がけてきた項伊莉(シャン・イーリー)さん。文具の世界に興味を持ったのは、ある貿易展示会で通訳を頼まれたときだった。会場のブースには海外のさまざまな文具が並んでいた。

「その展示会で文具というものをあらためてじっくり見て、“可能性”と“おもしろさ”を感じたのです。同じファイルでも人によって選ぶ形や色柄が違う。商品を見ただけで購入者のストーリーが見えてくるようで」

当時の中国人にとって文具は「使えればいいもの」だった。28歳で現在の会社を立ち上げた伊莉さんは、国内の需要はまだ少ないと考え、機能やデザイン性に対するニーズの高い欧州の文具市場に参入する。これまで培った貿易のノウハウと、品質や使いやすさにこだわった商品が受け入れられ、20以上のブランドを展開。約80カ国にユーザーを持つまでに成長した。

ここ1、2年で中国は劇的に変化している。キャッシュレス化が進み、商品の売り方が変化した。富裕層が増え、お金を出せば何でも買える時代になったともいえる。製造業は発注されたものを生産するだけの「メイド・イン・チャイナ」から、ゼロから企画して商品化する「クリエイテッド・イン・チャイナ」へと変わりつつある。大きな転換期を迎えているその中国国内市場を、伊莉さんは次なる目標に定めた。販売ルートは実店舗を省き、世界最大の中国発ECサイト「淘宝(タオバオ)」に絞った。

「中国には金銭的には恵まれているのに心が満たされていない人が増えていると感じます。そこで企画したのが『新貴族風範(お金や財産ではない豊かさを持っている人)』という文具シリーズ。さまざまな職場やあらゆる立場でノートやファイルを使う中国人をリサーチし、徹底的に使い方をヒアリングして、彼らに寄り添い、ひらめきを与えられるような、心を満たす文具を開発しました」

伊莉さんは稲盛和夫氏の著書をよく読む。「庶民目線や生活者としての経験からの経営の話がわかりやすく、共感できる」から。貿易ビジネスの世界に進みたいとスイスに留学中の娘にもすすめようと思っている。

▼1日のスケジュール
7:00 起床。その後メールチェック。朝食、身支度。
8:00 自宅で仕事開始。
9:00 会社に行くときはこの時間に。
12:00 アプリでのデリバリーか、メイドが作った料理で昼食。
13:00 仕事。会議か工場へ出向くなど。
17:00 工場から戻って帰宅。夫、子どもと語らう。
19:00 夫かメイドが作った料理で夕食。クライアントとの会食がある場合も夕食。
24:00 お香をたいて就寝。
▼my favorite
●愛読書:稲盛和夫著『六つの精進』
●好きな言葉:「毎天進歩一点点(毎日少しずつ進歩する)」
●美容と健康:ジョギングとヨガ

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シャン・イーリー(項 伊莉)
文具貿易会社経営
1975年、浙江省生まれ。温州経貿大学国際貿易学部を卒業後、貿易会社に入社。2社で経歴を積み、2003年に文具の貿易会社「TOPTEAM」を立ち上げ、現職。

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■仕事は100%自分だけで。子育てはすべて公務員の夫任せ

90年代、上海の若い女性たちの間では欧米や日本のファッション誌が大人気だった。高継華(ガオ・ジーホア)さんもその華やかな世界に魅了された1人。特に誌面を飾る写真の数々に引きつけられたという。名門大学卒業後、憧れの日系出版社の上海支社にグラフィックデザイナーとして就職。しかし、写真の仕事をしたいという思いは強く、2カ月分の給料を全額使ってカメラを購入。直談判して社内修業し、3年後にファッション誌の専属フォトグラファーに転向した。

(写真上)ガオ・ジーホアさん。一番好きな時間は撮影しているとき。(下)下積み時代に撮りためたセルフポートレート。

だが独立後、継華さんの写真が評価され始め、仕事が軌道に乗った頃に時代の変化が訪れる。急速な紙媒体離れが進んだのだ。上海ではコンビニの雑誌売り場が消滅し、カフェやヘアサロンも雑誌を置かなくなり、仕事は激減してしまった。

それでも2011年、持ち前の行動力で自身のスタジオを設立。ゼロから広告写真の世界に飛び込んだ。

「外資系の雑誌で撮ってきたという自信はありました。でも、独立後は細かい準備を全部自分でこなさなければならず、最初は大変でした」

現在、誰もが知る有名ブランドの広告やタレントの宣材写真などを手がける彼女は、上海を代表する女性写真家の1人。しかし当の本人は、「写真家はサービス業」だと気さくに笑う。

お気に入りのブレスレットをつけると、仕事のテンションが上がる。

「自分をアーティストだとはあまり思ったことがありません。私の仕事はクライアントの要望に細かく応えながら期待を超える写真を提供すること。打ち合わせもとことんやって、アフターサービスまで誰も間に介さずに私一人で担当しています。それが徐々に信頼につながったのかも。口コミでの仕事も増えました」

撮影は夜中まで続く日も多いが、家事や子育ては夫がすべて引き受けてくれている。女性が強い上海ならではの一般的な夫婦の構図だ。食事の準備も、子どもの学校行事や保護者会の参加も夫の役目。公務員をしながら家事をこなす夫に感謝しているが、最近反省することもあった。

「この前、息子に『ママの料理、食べたことないんだけど』と言われてしまって。ちょっとショックを受けて万能調理家電を買いました(笑)。今、説明書を見ながら勉強中です」

▼1日のスケジュール
6:00 起床。野菜まんなどで朝食。
10:30 地下鉄でスタジオへ向かう。
11:00 仕事開始。
13:00 アプリでのデリバリーで昼食。
14:00 仕事。スタジオ撮影、ロケ撮影、打ち合わせなど。
19:00 帰宅。夫が作った料理で家族で夕食。お酒は飲まない。
21:00 家族だんらん。子どもの宿題を見る。日によっては夜中まで撮影が入ることもある。
24:00 就寝。
▼my favorite
●趣味:仕事
●美容と健康:黒クコ茶、チベット紅花茶を飲む

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ガオ・ジーホア(高 継華)
写真家・フォトスタジオ経営
1975年、上海市生まれ。復旦大学を卒業後、小学館上海支社勤務。ファッション誌の専属フォトグラファーを経て、2011年に個人のフォトスタジオ「STUDIO9」を立ち上げる。

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(萩原 晶子 撮影=長舟真人)

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