1億円稼ぐ人の「おもてなしの極意」3つ
プレジデントオンライン / 2019年7月24日 11時15分
■「割り勘で」と言う富裕層はほとんどいない
はじめてデートに誘うときの口説き文句は、たいていの場合「一緒に食事でもいかがですか」ですし、相手が異性でも同性でも、初対面で話が弾むと、帰り際にどちらからともなく「今度飲みに行きましょう」と声をかけるのも、わりとよくある光景です。
その人ともっと親密になりたいときは、一緒においしい料理やお酒を共にするのが効果的だと、本能的に知っているからそうするのでしょう。これは万国共通。実際、酒食を共にするとコミュニケーションは深まり、相手との距離は確実に近くなります。だから現役の富裕層はもちろん、富裕層になるポテンシャルのある人は、ビジネスでもプライベートでも、これはという人がいたら酒食に誘います。
そのとき彼らは、割り勘にすることはありません。すべて彼らのおごりです。むろん相手が同期や同僚、友達同士なら割り勘でよいですが、大切な人を誘うときは、「あなたと一緒に食事という時間を過ごしたい」という意思表明ですから、当然費用は自分持ちです。
私も、企業経営者や投資家など多くの成功している人と食事をする機会がありますが、「ここは割り勘で」という人にはほとんど出会ったことはありません。彼らはこのあたりの振る舞いは洗練されています。
■気持ちよくオゴり、気持ちよくオゴられる
ある尊敬する経営者と一緒に食事をしたときのことです。夜も10時をまわったところで、そろそろ帰りましょうとなりました。すると彼はスタスタと店から出ようとします。あれっと思って聞くと、「ああ、もう支払いは終わってるよ」と涼しい顔。彼は、トイレに立った時に支払いを先に済ませていたのです。
「かっこいい!」と思って、それ以来、私も人を誘う際には、同じようにしています。でもこの方法がポピュラーになると、誰も食事中にトイレに行けなくなってしまいますね(笑)。
しかし、こじんまりした店ではレジが丸見えで、この方法は使えません。そんな環境でもいかにスマートに支払いをするかが問われます。レジの前で伝票を奪い合いながら、「ここは私が払います」「いえ、私が」とお互い主張し合う光景は、傍から見るとみっともないですからね。
でも、もしそういう状況になったら? そこはすっぱりさわやかにオゴられます。そして、「今日は本当にごちそうさまでした。ぜひ次は私の方で一席設けさせてください」と言えば、お互いすっきりします。
それにこの方法は、関係をそこで終わらせないための工夫でもあります。貸し借りを作ればまた会う口実ができ、より仲良くなることができるからです。
結局はオゴることになりますから、それなら先に貸しを作った方がいい。だから多くの成功者は、テーブルに置かれた伝票をサッと持ち店員を呼ぶか、店員が伝票をテーブルに置いた瞬間に自分の手元に引き寄せる、という方法をとるのです。
■安い店でもありがたみが増す魔法
一緒に食事をして仲良くなりたいけれど、自分にはそれほどお金がないという場合。見栄を張って高い店に行かなくても、安い店で演出する方法があります。それはカンタン。なぜその店を選んだのか、その理由を語ってあげると、ありがたみが増すのです。
「ここはとにかく刺身がおいしいんですよ」
「絶対にここの牛すじ煮込みは食べてもらいたいと思いましてね」
と一言フォローし、「この店にあなたを誘ったのは理由があるんですよ」と含ませておけば、相手も「なんだ、こんな安い居酒屋に誘いやがって」とは思わないものです。
■常連客ではなく、上得意客になる
成功者たちは、人をもてなすために招待できるお店をいくつかリストアップしています。しかも相手に合わせて対応できるよう、相手が目上の年長者なら和食の料亭とか、女性ならイタリアンとか。フトコロがキビシイとき用に値段は安いけれどおいしい店、経費で落とせるなら高級な店、親密な話ができる個室のある店など、いろいろバリエーションを持っているのです。
そしてせっかく大事な人を誘うなら、その店の良い席を予約したいものです。それに、メニューにない料理を出してもらえると、誘った相手に特別な印象を持ってもらえます。だから彼らは、いくつかのお店の上客になっています。
そう、「常連客」より「上客」です。高い頻度で通う常連客は、いつしかナアナアになり、店側も客に対するありがたみが薄れます。でも上客であれば、月1回しか来なくても、最高のサービスを受けられます。
ではどうすればなれるか。私が経験した3つの方法をご紹介します。
■最高のサービスが受けられる「上客」になるには
1つ目は、一度にドカンと使うことです。1回1万円で月に10回来るよりも、月に1回でも10万円使う客の方が好まれるのです。なぜか。
まず、印象に残ります。次に、頻繁に来てくれても小さな金額では、店にとってのうれしさは小さくなりますが、一度に大金を払ってもらえるとうれしい。
そして店側は、「この客は他の店でも同じように気前よく使っているだろうから、他の店に行く回数を減らして自分の店に来てもらいたい」と考えます。だから、店側は必死で接客する。裏メニューも出す。一品サービスしてくれる。だから、頻度を減らしてでも一回あたりに使う金額を大きくする、というのが1つ目の方法です。
2つ目の方法は、初めて行く店では、料理を最初から大量に注文することです。一品ずつ注文するのは「財布と相談しながら注文するしょぼい客」と思われます。しかしいきなり一気に大量注文すれば、目立つうえに店側は「羽振りの良い客」と思い、最初から上客になれます。
そして、店側もリピーターになってほしいと考えるから、サービスにも力が入るわけです。
ただし、これは居酒屋やカジュアルダイニングでしか使えない方法です。本来、「温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに食べる」のが料理と料理人に対する礼儀であり、おいしく食べる基本です。一気に注文するとすぐには食べきれず、冷めたり乾いたり火が通りすぎたりしてしまうので、料理に自信がある店では「料理の味わい方を知らないヤツ」と思われ、逆効果になる危険性があるからです。
■チップよりも有効な方法
最後に3つ目の方法。
高級店などに行く場合、男性なら仕立ての良いスーツをパリッと着こなし、女性ならドレスを着て行く。そして、一番高いコースを注文し、高めのワインを注文する。つまり、お金を持っていそうな雰囲気を演出するのです。
すると、店側はリピーターになってもらいたいから、サービスが行き届く。チップよりも断然有効です。お店を出るときもフロア長、料理長がそろって店の外まで見送りに来ます。
しかしこれは、店側にとってもメリットがあります。なぜなら、客にしてみればある種のプレッシャーになるからです。
つまり、「こんなに良くしてもらったら、次も来ないわけにはいかないな」「わざわざ見送りされて頭まで下げられれば、次からちょっと一杯で帰るわけにはいかないな」となります。外まで見送っても、わずか数歩、数十秒。この差が富をもたらしてくれることに気づくかどうか。
もちろん、すべての店でうまくいくとは限りませんが、私がいままで見てきた富裕層のこれらの行動をまねしたところ、かなりの確率で「上客」になれますので、試してみる価値はあると思います。
(米国公認会計士 午堂 登紀雄 写真=iStock.com)
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