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社内チャットで「了解」をやめるべき理由

プレジデントオンライン / 2019年8月2日 6時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/skynesher)

チャットツールを導入する会社が目立つようになった。便利な半面、集中を妨げられやすいという欠点もある。コンサルタントの清水久三子氏は「何も考えずに反応し続けると、本来の業務がはかどらない。チャットの用途に合わせて、使い方の『マイルール』を決めるのが大切だ」という――。

■何も考えずに反応しているとストレスが溜まっていく

ビジネスコミュニケーションのツールとして、メールに加え、ビジネスチャットを導入する企業が増えています。便利な半面、仕事の集中を妨げられる、いつも即レスを求められるようでプレッシャーを感じる……など、不満をもつ人もいるようです。

チャットツールを使いこなせるか、それとも振り回されてしまうかは、ツールとの向き合い方によります。マイルールをしっかりと決め、効果的なコミュニケーションを目指しましょう。

「ちょっといい?」から始まる仕事中のカットインに時間を奪われてしまうという現象は、チャットの導入前からありました。以前は同僚や上司が近くにいるからこそ生じた悩みですが、チャットの場合には近くにいなくても可能なため、集中を妨げられる機会は格段に増えます。何も考えずにとにかく反応していては、自分の本来業務がはかどらず、ストレスはたまるばかりです。

■コラボレーションが目的なら「即レス」

メールの場合は「朝と夕方と1日2回、返信タイムを決める」「とにかく即レスして受信ボックスはいつも空にする」などのマイルールを決めればすみますが、チャットの用途はメールより幅広いため、一律にルールを決めるのは困難です。このため使い方によってマイルールを決めていきましょう。

●コラボレーション(協働)ツールとして使う場合

そもそもビジネス用のチャットはIT企業の開発者向けに広がったツールです。目的は開発作業で次々と発生する問題を素早く共有すること。この場合、開発業務が自分の本来業務であるため、チャットは仕事上不可欠であり、仕事を進めるには「即レス」が前提になります。トラブル対応となれば、さらに緊急性が増します。

開発業務に加え、編集業務やサービス提供におけるオペレーション業務などでチャットを使う場合も、即レスが望ましいでしょう。いずれも対話のために必須ですから、集中を妨げられるということにはなりません。ただし、チャットの使い方がこれ以外の場合には、自分の本来業務との兼ね合いを考えていく必要があります。

■「電話代わり」なら電話と同じように対応

●連絡ツールとして使う場合

確認や報告など、電話に代わる諸連絡のために使う場合です。この場合には電話と同じ対応でよいでしょう。会議中であれば留守電モードに切り替えるように、チャットも反応できない時にはオフにします。また夜中の電話や休日の電話は、よほどの緊急性がない限りは非常識です。同様に、働き方改革が進んでいる今、オフタイムでの諸連絡は労務管理の観点でも問題です。

非同期コミュニケーションツールのメールでさえも、休日に上司が部下にメールを送ることは業務命令と受け取られることから、禁止する企業も出てきています。オフタイムや会議中、仕事に集中したい場合などは自分のステータス(状態)や通知をオフにすることを、自分にルール化しましょう。

■貢献度を示すためには「ステータス」を伝える

●情報共有やアイデア出しのツールとして使う場合

関係者への情報共有やアイデアを収集するためのツールとして使う場合には、上記より業務上の緊急性は低くなります。とはいえ、「レスしないと貢献度が低いと思われてしまうのでは?」と、ついつい時間を費やしてしまう方は多いでしょう。この場合は自分の本来業務との関連がどれくらい強いのかによって、参加すべきやりとりを決めておきます。

自分の本来業務と関係ないことに何でもかんでも首を突っ込んでいては、生産性が落ちてしまいます。すぐにレスできない場合には、「ただ今会議中です」「外出中なので後程レスします」など、自分のステータス(状態)を一言伝えておくだけでもよいでしょう。

●業務以外のコミュニケーションツールとして使う場合

飲み会やイベント調整など、仕事以外のコミュニケーションツールとして使う場合には、チャットルームごとに、メールと同様にいつレスするのか時間を決めておきます。業務時間中にこれらに反応し続けていては、自分の仕事に支障が出ることもあるでしょう。また、特に興味がないのであれば引きずられないように退出するか、通知をオフに設定します。

■よく使う言葉は「単語登録」をしておく

このようにチャットの用途によって自分の対応をルール化しておくと、迷わずにすみます。続いては、いずれの場合でも、さらに効率よくチャットを使いこなすための工夫をご紹介します。

●レスを素早くする工夫

頻繁に入力する文章や名称は単語登録をしておきます。スマートフォンでの文字入力は時間を取られるため、事前に登録しておけば簡単に入力できます。またチャットグループでよく使う文は文例集を作っておくと悩まずにレスできます。カジュアルすぎるスタンプはビジネスには向いていませんが、感謝の気持ちや相手をたたえるなど、ポジティブな感情表現の場合には、長い文章で言葉を尽くすよりも向いています。

●通知に振り回されないための工夫

次々と作られるグループ、四六時中鳴り続ける通知……これらが続くとプレッシャーでもあり、何が重要なのかが分からなくなってしまいます。とはいえ、全てのチャットルームでリアルタイムレスが必要なはずはありません。後でまとめて見れば十分な場合には、通知オフにしましょう。

また、「休日などのオフタイムは即レスしなくていい」などのルールを、参加者間で決めておきましょう。シフト制の仕事でチャットを使っている場合は、他の人が働いていると、自分が休みでもレスしなくてはいけない、というプレッシャーが強くなります。非番の時はオフにすることも関係者で決めておきましょう。

■「了解しました」は不要と決める

●無駄レスを増やさないための工夫

気軽に反応できるため、簡単な応酬が続いて何十件、時には100を超える未読件数になることがあるのがチャットの煩わしさです。参加者が多い場合には特に問題になります。簡単な情報共有や諸連絡などに全員が「了解しました」「ありがとうございます」などのレスをしていると、それだけでチャットルームが埋まってしまいます。

参加者でルールを決めておけば、不要なレスを減らせます。情報共有する際に、「『了解しました』などのレスは不要です」などと伝えておくとよいでしょう。また、大抵のビジネスチャットツールにはタスク管理機能や調整機能などがあるので、それらを活用するとよいでしょう。

チャットは返信しやすさがウリではありますが、不用意なレスはウォールを不要な情報で埋め尽くして、必要な情報を埋もれさせてしまいます。私は駆け出しのコンサルタントだった頃に、「相手のメールボックスを不要なメールを何度も送って汚さないように気をつけなさい」というアドバイスを上司から受けました。チャットも同様に考え、グループメンバー全員でルールを決めると気持ちよく、かつ効果的なツールとして活用できるでしょう。

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清水 久三子(しみず・くみこ)
アンド・クリエイト社長
お茶の水女子大学卒業。大手アパレル企業を経て、98年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。新規事業戦略立案、人材開発戦略・実行支援などのプロジェクトをリードし、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダー、IBM研修部門リーダーを経て、2013年独立。『プロの学び力』『プロの課題設定力』『1時間の仕事を15分で終わらせる』『一流の学び方』『外資系コンサル流・「残業だらけ職場」の劇的改善術』など著書多数。http://andcreate-official.com/

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清水 久三子(しみず・くみこ)
株式会社アンド・クリエイト 代表取締役社長
お茶の水女子大学卒業。大手アパレル企業を経て、98年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。新規事業戦略立案、人材開発戦略・実行支援などのプロジェクトをリードし、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダー、IBM研修部門リーダーを経て、2013年独立。『プロの学び力』『プロの課題設定力』『1時間の仕事を15分で終わらせる』『一流の学び方』『外資系コンサル流・「残業だらけ職場」の劇的改善術』など著書多数。http://andcreate-official.com/

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(株式会社アンド・クリエイト 代表取締役社長 清水 久三子 写真=iStock.com)

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