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30年続ける「バッティングセンター健康法」極意

プレジデントオンライン / 2019年9月15日 6時15分

溝畑 宏●大阪観光局長 1960年生まれ、東京大学卒。自治省(現総務省)に入省後、大分県庁に出向。大分トリニータを育てあげた。2010年観光庁長官、15年より現職。大阪を「急成長渡航先ランキング」で世界1位に。

■超手軽! でも効果は絶大!

大分トリニータの社長を退任後、観光庁長官を経て、大阪観光局長を務める溝畑宏氏の健康法は、30年以上通っているという週に1度のバッティングセンターだ。

「小さい頃は『巨人の星』にあこがれて大リーグ養成ギプスを自作するほどの野球少年でした。これまで、大阪も含め地方都市で勤務することが長かったですが、どんな都市に行っても、バッティングセンターを見つけては足を運んでいましたよ」

溝畑氏が健康法としてバッティングセンターを選んでいるのは、野球好きという理由以外に運動時間が決まっていることが挙げられるという。

「出張先のどの市街地にもありますし、大抵は一回20球ほどと決まっているので忙しいときにも足を運べ、値段も手頃なのに、打てた際は爽快。自分の体の調子も確認できます」

ここまで紹介した経営者たちの健康法に対し、溝畑氏の持論は「教科書にない異色の健康法」と言えそうだ。

精神科医で、ベストセラー作家でもある樺沢紫苑氏によると、バッティングセンター健康法には、本特集の根底を貫く大きなポイントが隠れている。

「健康法と聞くと、食事や睡眠、運動などをバランスよくすべて満たそうとしがちですが、何より大事なのは自分なりの休養パターンを持つこと。自分特有のものであれ、何も健康法を持っていない人が一番ダメです。溝畑さんはバッティングセンターに30年以上通っていることからも、この健康法が自身の健康法として確立されている点が大変評価できます」

また、バッティングの運動がもたらすメリットは現代のビジネスパーソンには特に大きいという。

「パソコンなどによる長時間の座り作業は体が歪む原因になります。バッティングは体を回さなければ振れません。体の軸が整うので歪みを解消する効果も期待できます」

いつも二十数分だけバットを振るのが“溝畑流”だ。

「仕事で嫌なことがあったときは、そいつの顔を思い出して打っていることもあります(笑)。バットを振るときも『このやろう!』とか『ばかやろう!』とか、もう胃とか頭にたまったものをすべて吐き出すように声を出してます」

この声出しにも脳科学的には合理性があるというから驚きだ。樺沢氏は続ける。

「腹式呼吸による発声はセロトニンを活性化するため、ストレス発散効果が得られます。同じ理由としてカラオケも実はおすすめの健康法です。ただし、注意点があります。声を出すのはそのときだけにとどめること。何回もストレスの対象(たとえば部下や取引先など)の話をし続けると、その思考を強化してしまいます。ストレスの原因は一回で吐き出してしまうことが大事です」

バッティングを続けていると、仕事との共通点も浮かび上がるそうだ。

「バッティングって、ものすごくメンタルに影響するんです。当てよう当てようと思っていると、逆に当たらない。引き付けて、全身の軸を使った回転で打たないと飛ばないんですよ。単に力むのはダメ。ある意味、力を抜きながら、相手(ボール)のペースに合わせ、八分の力が一番当たるし、飛距離が伸びるんです。仕事と一緒で力んではいけない」

■習慣化のカギは、成果の実感

このバッティングセンター健康法を軸としつつ、溝畑氏はほかにも毎日の運動を欠かさない。

編集部が取材した日も梅田バッティングドームで午前中のイライラを球速150kmのボールにぶつけていた。ちなみに御年58歳だ。「これで仕事もリフレッシュして取り組めますわ! バッティングセンターは最高や!」

「朝50回、寝る前に100回の合計150回のスクワットを習慣にしています。それから横綱の白鵬さんに教えてもらった四股もお風呂前の習慣にしています。白鵬さんが『四股は健康に一番いい』と話してくれて。これは世界的にスタンダードなようです。先日、アメリカに行ったときには『相撲エクササイズ』というフィットネスを教えてもらいました。四股って、片側に重心を持っていき、膝に手を置いて、反対側の足を上げますよね? あれが体幹を鍛えるんです」

ここまで、経営者たちが実践する様々な運動法を紹介してきたが、やはり続けられるかがもっとも不安なはず。運動を続けられるポイントはどこにあるのか。

樺沢氏は「習慣化を定着させるためには、成果を実感できること。例えばバッティングセンターはどこにでもあるので、実行するまでのハードルが低く、ボールが当たっただけでうれしい。成果が出るのでモチベーションが続きやすいのです。一方、一人前になれるまで多大な時間を要するものは挫折しやすいのでおすすめしない」と解説する。

「年を取ったら、みなさん消極的になるんですよ。例えば、今50代の方はスキーなんてあまり行かないでしょう。いろいろ理由はあるでしょうが、それは怪我が怖いなど不安要素があるから。チャレンジ精神が失われていくんです。バッティングセンターならこの雑誌を読み終わってからもすぐできるほど手軽です」

(集計協力=mikuPR、アイランド・ブレイン、ネタもと、高橋史佳)

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樺沢紫苑
精神科医
1965年、札幌市生まれ。札幌医科大学卒。米・イリノイ大学への留学を経て樺沢心理学研究所を設立。著書に『学びを結果に変えるアウトプット大全』など多数。
 

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鈴木 俊之(すずき・としゆき)
編集者・ライター
1985年生まれ。12年法政大学卒業、出版社入社。月刊誌編集部を経て15年独立。専門分野は金融、起業、IT、不動産、自動車、婚活、美容など。

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(編集者・ライター 鈴木 俊之 撮影=加藤 慶、横溝浩孝 撮影協力=梅田バッティングドーム)

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