読書家が注目する「7月のビジネス書」ベスト20

プレジデントオンライン / 2019年8月8日 11時15分

下地寛也『プレゼンの語彙力』(KADOKAWA)

毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか。読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」で、7月にアクセス数の多かったベスト20冊を紹介しよう――。
第1位:『プレゼンの語彙力』(下地寛也、KADOKAWA)
第2位:『すべては「好き嫌い」から始まる』(楠木建、文藝春秋)
第3位:『死ぬ瞬間の5つの後悔』(ブロニー・ウェア著、仁木めぐみ訳、新潮社)
第4位:『CLASS ACT』(安積陽子、PHP研究所)
第5位:『自己啓発をやめて哲学をはじめよう』(酒井穣、フォレスト出版)
第6位:『渋沢百訓』(渋沢栄一、KADOKAWA)
第7位:『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』(守屋智敬、かんき出版)
第8位:『「自己肯定感」育成入門』(平岩国泰、夜間飛行)
第9位:『女の機嫌の直し方』(黒川伊保子、集英社インターナショナル)
第10位:『学びを結果に変える アウトプット大全』(樺沢紫苑、サンクチュアリ出版)
第11位:『繁栄のパラドクス』(クレイトン・M・クリステンセン/エフォサ・オジョモ/カレン・ディロン著、依田光江訳、ハーパーコリンズ・ジャパン)
第12位:『成功する起業家は「居場所」を選ぶ』(馬田隆明、日経BP)
第13位:『裏・読書』(手塚マキ、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第14位:『頭が冴える! 毎日が充実する! スゴい早起き』(塚本亮、すばる舎)
第15位:『フラグメント化する世界』(鈴木裕人/三ツ谷翔太、日経BP)
第16位:『「カッコいい」とは何か』(平野啓一郎、講談社)
第17位:『アフターデジタル』(藤井保文/尾原和啓著、日経BP)
第18位:『科学的に証明された究極の「なし遂げる力」』(ショーン・ヤング、児島修訳、東洋経済新報社)
第19位:『組織開発の探究』(中原淳/中村和彦、ダイヤモンド社)
第20位:『夫婦幻想』(奥田祥子、筑摩書房)

※本の要約サイト「flier」の有料会員を対象にした、2019年7月の閲覧数ランキング

■プレゼンで使える「表現」を紹介してくれる本

今月最も読まれたのは『プレゼンの語彙力』でした。

プレゼンに関する本は数多くあります。本書のユニークな点は「語彙力」から、具体的な表現方法を提示しているところです。具体例だけではなく、うまいプレゼンの「ルール」も解説されています。プレゼンの細かいノウハウから大原則まで、この一冊に凝縮されているのです。

ただし、どれだけうまいプレゼンであっても、相手に伝わらなければ意味がありません。もはや、「黙っていても伝わる、相手がくみ取ってくれる」という時代ではありません。本書が1位になったのは、能動的に「伝える」ことの価値が高まっていることの表れでしょう。相手のプレゼンを聞きながら、「この人はこういうテクニックを使っているな」と見抜くという使い方もできる本です。

写真=iStock.com/AleksandarGeorgiev
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AleksandarGeorgiev

■「良し悪し」ではなく「好き嫌い」で考える

『すべては「好き嫌い」から始まる』
楠木建『すべては「好き嫌い」から始まる』(文藝春秋)

2位にランクインしたのは『すべては「好き嫌い」から始まる』でした。著者は『ストーリーとしての競争戦略』の楠木建氏。「文春オンライン」の連載に加筆修正を加えた、23のエピソードで構成されています。

一話完結の人気コラムだったこともあり、どこから読んでもおもしろく読めます。一貫しているのは「良し悪し」ではなく「好き嫌い」で考えようというメッセージ。まさしく今の時代精神を表しており、読者から多くの注目を集めたのも納得です。

「良し悪し」を決める絶対的権威があると考えると、人はだんだん身動きが取れなくなります。反対に、自分の「好き嫌い」で動いていいと考えると、途端に体が軽く感じるもの。「誰かがこう言っているから」「社会ではそうなっているから」と思考停止せず、自分で考える感覚を取り戻すための一冊といえます。

■自分の本心に向き合わないと死ぬときに後悔する

『死ぬ瞬間の5つの後悔』
ブロニー・ウェア著、仁木めぐみ訳『死ぬ瞬間の5つの後悔』(新潮社)

著者のブロニー・ウェアさんは、緩和ケアの介護職として、終末期の患者たちを支えてきました。その経験を基に書いたブログをまとめたのが本書『死ぬ瞬間の5つの後悔』です。2012年刊行の本ながら注目を集め、今月3位にランクインしました。

人間はいずれ死にます。にもかかわらず私たちの多くは、死を意識する機会はあまりありません。だからこそ死について能動的に考え、「そのとき何を後悔するだろうか」と思いを巡らせることは大切なのではないでしょうか。自分の死について考えることは、自分の生き方を考えることになります。

著者によると、死を目前にした人の後悔は大きく5つに分けられるといいます。そのすべてに共通しているのは、「自分の本心に向き合わなかったこと」。どうすれば後悔しない人生を歩めるかを考えるとき、本書は間違いなく一助となってくれるはずです。

■「無意識の思い込み」にとらわれていないか

『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』
守屋智敬『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』(かんき出版)

ここからは今月の注目作をピックアップします。7位の『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』は、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、根拠のない思い込み)に気づき、対処する方法を解説する本です。良かれと思ってした判断や言動でも、そこに無意識の「思い込み」が潜んでいることはよくあります。「自分は思い込みにとらわれていない」と思っている人ほど、「自分からは見えていない面があるのではないか」と自省する必要があることを、本書は気づかせてくれました。

「ティール組織」や「心理的安全性」などのキーワードの流行に見られるように、組織において、一人ひとりの可能性を最大化させる方法を考えることが、ひとつの潮流となってきています。一人ひとりの「内面」を理解し、それを踏まえたうえでどう行動するかが、これからの重要な戦略になると予感させてくれる一冊です。

■不適切なイノベーションは害悪になる

『繁栄のパラドクス』
クレイトン・M・クリステンセン/エフォサ・オジョモ/カレン・ディロン著、依田光江訳『繁栄のパラドクス』(ハーパーコリンズ・ジャパン)

11位の『繁栄のパラドクス』は、「破壊的イノベーション」の提唱者であるクレイトン・M・クリステンセン氏の最新作です。クリステンセン氏は、イノベーション研究の大家として知られています。

本書がユニークなのは「イノベーションのかたちは3種類ある」としているところ。その場面に適したタイプのイノベーションでなければ、むしろ害悪になりかねないといいます。イノベーションの重要性がしきりに叫ばれる昨今だからこそ、その中身にしっかりと目を向けるべきというのは、かなりの納得感をもって理解できるのではないでしょうか。

本書では過去の日本も含め、“発展途上国”とされる国々がケーススタディで数多く登場しますが、“先進国”となった日本も、現在では「イノベーションがうまくいっていない」という問題を抱えています。日本が再び繁栄を手にするためにはどうすればいいのか、ぜひクリステンセン氏の言葉に耳を傾けてみてください。

■オンラインとオフラインの主従関係が逆転する時代

『アフターデジタル』
藤井保文/尾原和啓著『アフターデジタル』(日経BP)

最後にご紹介するのは17位『アフターデジタル』。オンラインとオフラインの主従関係が逆転する「アフターデジタル」の時代において、どのようにビジネスは変貌していくのか。中国における最新の事例が紹介されています。

かのドラッカー氏は「すでに起こった未来を探せ」と言いましたが、本書を読むとその未来のひとつは、間違いなく中国にあると確信させられるはずです。たとえば店舗の3km圏内であれば30分以内してもらえるスーパー「フーマ―」、信用スコアを上げればドライバーの給料も上がる「ディディ」、1日に1回自社アプリを開かせる仕組みをつくった「平安保険グループ」など、本書では驚きの企業がいくつも紹介されています。しかし中国では、こうした取り組みが、もはや常識となっているのです。

アフターデジタル世界において成功を納めている中国企業の事例を知り、勝ち筋を見つけ出すことができれば、アフターデジタルへの移行はチャンスに変えられるはずです。次のビジネスチャンスを探している方にお読みいただければと思います。

その他、フライヤー上半期人気ランキング1位の『学びを結果に変える アウトプット大全』が、今月再びベスト10入りしました。8月発売の『学び効率が最大化する インプット大全』と合わせてどれぐらい読まれるのか、来月のランキングが今から気になるところです。

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flier編集部 本の要約サイトflier(フライヤー)は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだだけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

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(flier編集部)

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