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ハーバードに合格する子の「地頭力」の伸ばし方

プレジデントオンライン / 2019年8月21日 6時15分

日本の高校から世界の名門大学を目指す生徒も見られるようになった。 - Boston Globe/Lane Turner=写真

■時代に合った学力を身につけたい

最近、学びのあり方が多様化してきて、選択肢も増えてきている。

お子さんをお持ちのご家庭から受ける相談もその様子が変わってきた。以前のように、「偏差値」の高い学校に行って、そこから「一流大学」へというのでは飽き足らず、時代に合った学力を身につけたいという希望が強くなってきている。

米国のハーバード大学やプリンストン大学などの名門校の入試に「偏差値」などないこと、ペーパーテストの点数や高校の成績だけではない、一人ひとりの積極的な学び、取り組みの成果が入試に反映されることも広く知られるようになってきた。

何よりも、「一流大学」を卒業して大企業に就職すれば安泰という時代ではないことは、経済の現場で働いている親の世代が一番よく知っている。

これからの時代に、子どもたちに必要な学力は変質している。英語力や論理的思考力はもちろん、プログラミング能力、コミュニケーション力、計画を立てて自分で探求し、プロジェクトを進める能力など、これまでの「偏差値教育」では必ずしも得られない力が必要だと、親自身が痛いほど感じているのである。

そんな中、どのような学校を選択し、どんな学びの環境を整えたら子どもたちにベストな教育を与えられるのか、必死になって模索している方々が多い。インターナショナルスクールや留学、さらには「国際バカロレア」準拠の学校など、選択肢が広がってきているのが実情である。

もっとも、従来型の入試、偏差値的に「いい学校」へ、という願望も根強い。学びのあり方が変わってきているとはいいながら、教育には「慣性の法則」もある。今までの学びに、すべて意味がないというわけではもちろんない。

このような過渡期に、子どもたちの学びをどう育むべきか? 私は、学力の「二段階」モデルを提唱している。

まずは、「地頭」をよくする。子どもたちが自分の興味を持ったものに取り組み、探求学習、アクティブ・ラーニングを通してさまざまなスキル、ものの見方を培っていく。研究でも、プロジェクトでも、プログラミングでも、この過程で得られた「成果」は国内外の入試においても評価されるようになるだろう。

「地頭」をつくったうえで、必要ならば、従来型のペーパーテストの入試対策も行う。入試のあり方が変わりつつあるといいながら、「慣性の法則」で、もうしばらくは日本では偏差値のような基準、考え方が残るかもしれない。「地頭」さえ鍛えておけば、そのような「偏差値入試」にも対応できる。

私自身、子どもの頃、蝶の研究をしていたことが、「地頭」を鍛えるうえで大いに役に立ったと感じている。

■「自分の頭で考える」教育

もともと、これまでも、「一流大学」に多くの合格者を輩出するような名門校では、「地頭」を鍛える教育をしてきた。受験のノウハウやテクニックのようなことではなく、論理的、総合的に「自分の頭で考える」教育、すなわち「地頭」を鍛える教育が実施されてきたのである。

逆に、最初から受験対策ばかりやっていると、「地頭」が鍛えられず、成績が伸び悩むという経験則もある。

お子さんの教育で悩んでいる方は、「地頭」を鍛えるという方針を立てるのがいい。国際的な学びにつながるし、従来型の日本の入試にも対応できて一石二鳥である。

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茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者
1962年生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学院理学系研究科修了。『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞受賞。『幸せとは、気づくことである』(プレジデント社)など著書多数。

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(脳科学者 茂木 健一郎)

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