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学歴・収入により女性の朝食摂取率は全然違う

プレジデントオンライン / 2019年8月11日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GizemBDR

妊娠・出産経験のない20~30代女性の「朝食欠食率」を調べたところ、4大卒ではなく、仕事を持たず、世帯収入が低い女性ほど、朝食をとらない傾向が強いことがわかった。調査にあたった日本総合研究所の小島明子氏は「健康のためにも朝食をとってほしい」と訴える――。

■20、30代女性は食塩と脂肪の摂取過剰で、朝食を抜くことも多い

近年、生産年齢人口である15~64歳の女性の就業率は上昇傾向にあり、さまざまな分野で活躍する女性が増えてきました。しかし、気になることが一点。20~30代の女性の中には日々の仕事や家事、育児に追われ、自身の健康に配慮する余裕のない人が少なくないのです。

女性が若いうちから健康を意識することは、仕事と生活の両立のみならず、妊娠や出産のための身体づくり、あるいは健康で生き生きとした生活を送ることにもつながります。

本稿では、日本総合研究所「妊娠・出産に当たっての適切な栄養・食生活に関する調査(※)」(以下、「栄養・食生活に関する調査」)と、同調査と同時に製作した「働く女性のためのヘルスケアブック」を元に、妊娠経験のない若い女性の食生活の課題について述べます。

※厚生労働省平成30年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業

■20代、30代女性の半数は「1日3食」だが……

「栄養・食生活に関する調査」によると、妊娠経験のない20代、30代の女性の食生活の理想と現実には大きな乖離があることがわかっています。

妊娠経験のない20代、30代の女性の多くが「現在の食生活を向上させたい」と考えながらも、実践できている女性の割合は3割未満であるのが現状なのです。つまり、実践できていない女性が7割~8割に上るのです。

具体的に食生活のどのような点に問題があるのでしょうか。「栄養・食生活に関する調査」によると20代から30代前半の女性を中心に、下記の食行動の実践度が低いことがわかっています(図表1参照)。

・「不足しがちなビタミン・ミネラルを含む『前菜』たっぷりとること」
・「牛乳・乳製品などの多様な食品を組み合わせ、カルシウムを十分にとること」
・「食塩は控えめにすること」
・「脂肪は質と量を考えて摂ること」

「1日3食をしっかり摂る」ことを実践できている女性は約半数に達しますが、野菜やカルシウムの摂取が圧倒的に不足し、逆に食塩と脂肪の摂取が過剰になっている傾向が顕著なのです。

■非4大卒、非就労、低収入の女性ほど朝食をとらない

また、同調査は妊娠経験のない女性の「朝食の摂取状況」も聞いています。それによると、「家庭食」が6割程度を占め、「外食」をする女性は少数派です。朝活という言葉が一時期流行し、朝食が外食となっている女性が多いようなイメージがありますが、現実には家庭食が主流のようです。

ただ、気になるのは「朝食を取らない」比率が15%以上となっていることです。

友人との付き合いやスマートフォンなどの利用による夜更かしなどで体内リズムが狂い、朝は食欲がない、ダイエットに気を使い朝食を抜く(あるいは軽くする)、といった若い女性のライフスタイルも、健康的な食生活の維持を難しくしていると考えます。

■朝食欠食率:世帯年収300万円未満20.6%、同600万円以上10.8%

同調査で得られたデータを元に、妊娠・出産経験のない20代から30代の女性を属性別に見て、朝食欠食率を確認すると、下記の特徴が挙げられます。

①「働いている女性」では14.6%、「働いていない女性」では21.7%であり、働いている女性ほど朝食を摂っている女性が多いこと

②学歴が「高卒・短大以下の女性」では19.7%、「4大卒の女性」では14.1%であり、学歴の高い女性のほうが朝食を摂っている女性が多いこと

③「世帯年収が300万円未満の女性」では20.6%、「同300万円以上600万円未満」では18.1%、「同600万円以上」では10.8%であり、世帯年収が高くなるにつれて、朝食を摂っている女性が多いこと

未婚・既婚に関係なく、4大卒で、仕事を持ち、年収が高い20代、30代の女性ほどしっかり朝食を摂っているようです。逆に言えば、4大卒ではなく、仕事を持たない、もしくは収入が比較的低い女性は朝食を摂らないケースが多いということになります。

同調査とは別に、筆者らが、現在、妊娠・出産経験のない働く20代、30代の女性を対象に、朝食の状況について聞いてみると下記のような意見が出ました(いずれも4大卒)。

「朝は時間も食欲もないのでヨーグルト程度しか食べない」(20代・既婚)
「休日の朝は長めに寝ているので食べない。平日で朝食を食べる日は、白ごはん+納豆+キムチが基本。食べない日は、コーヒーのみ、コンビニの焼き菓子1個の日もある」(20代・未婚)
「冷凍ご飯を温めてお茶漬けなど簡単に済ます」(30代・既婚)
「朝食を食べる日は冷凍しておいたご飯と卵。余裕がないときは、会社に行くときにコンビニでパンやおにぎり、野菜ジュースを買う。最近は余裕がない方の朝食が続いている」(20代・未婚)
「毎日必ず何かしらは口に入れる。食べられる日はご飯、納豆、常備菜、ヨーグルト、食べられない日はコーヒー、ヨーグルトorフルーツで済ます」(20代・未婚)

写真=iStock.com/belchonock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/belchonock

今回、個別に聞き取り調査した女性のなかには、毎日欠食をしている人はおらず、手軽な朝食を食べている女性が多い印象を受けました。特に、働いている女性ほど朝食を食べているというデータの背景には、午前中の活動の生産性や健康のために重要であると認識しているのだと考えられます。

■多忙な女性向け、簡単朝ごはんレシピ&おやつ食材

「働く女性のためのヘルスケアブック」では、管理栄養士監修のもと女性がキレイになるための食生活に向け、不足している栄養を補う方法を紹介しています。「働く女性のためのヘルスケアブック」はどなたでもご覧いただけるので、ここでは同書より要点をご紹介します。

【キレイになるためのポイント1:朝食を習慣づける】

キレイになるために欠かせないのは、やはりバランスのとれた食事です。3食しっかり食べて、適度に運動することで健康的な身体づくりを心がけることが大切です。朝食の習慣がない人は、1日に必要な栄養が不足する可能性があります。ヨーグルトやバナナなど、調理なしで食べられるものから試してみましょう。朝食を作れる余裕ができたら、例えば簡単な手作り朝食(さけフレークをのせたご飯、ヨーグルト、水に顆粒だしと乾燥野菜などを入れて作る野菜スープ)にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

【キレイになるためのポイント2:朝食メニューを工夫する】

1から作らなくてもいい市販の食材を上手に利用すれば時短にもつながります。例えば、納豆や小分けの豆腐、チーズなどを活用すると便利です。また、口にするものをできる限り「白」から「茶」にすることも健康的な食生活の基本。白米を雑穀米や玄米に替える。食パンをライ麦パンに替える。そうした工夫で、ビタミンやミネラルといった栄養価をより多く摂ることができます。

【キレイになるためのポイント3:おやつで補う】

3食で十分に摂取できなかった栄養は、おやつで補うことができます。例えば、イチゴやキウイ、グレープフルーツなどの果物はビタミンCやカリウムを多く含み、美容効果や疲労回復に最適です。ドライフルーツなら手軽に摂取できます。その他、低カロリーのこんにゃくゼリー、カルシウムや乳酸菌の摂取につながり、満腹感を得やすいチーズ・ヨーグルト、さらに、アンチエージング効果のあるビタミンEが豊富なアーモンドナッツ類などもお勧めです。

ただ、食事バランスガイドに基づくと、菓子・アルコールは1日200kcalまでが目安になっているので、栄養表示を確認するようにしてください。

■健康な身体は1日や2日でつくれない

同調査では、妊娠経験のない女性のうち、子どもを持ちたいと考える女性は6割程度であることも明らかになっています。少子化対策の重要さと共に、企業が多様な価値観への配慮がますます求められていることを示しています。

健康な身体は1日や2日でつくれるものではありません。妊娠経験のない女性が、高齢になった時はもちろんのこと、将来子供が欲しいと思った時に健康な身体であるために、早いうちから食生活を整えておくに越したことはありません。女性自身の意識向上に加えて、企業などが女性の食生活改善のためにつながる支援などを増やしていくことが望まれます。

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小島 明子(こじま・あきこ)
日本総合研究所 創発戦略センター スペシャリスト
女性の活躍推進に関する調査研究及び環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点からの企業評価業務に従事。主な著書に「女性発の働き方改革で男性も変わる、企業も変わる」(経営書院)

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(日本総合研究所 創発戦略センター スペシャリスト 小島 明子、日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 リサーチアナリスト 青山 温子)

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