東大生あるある"ベッド上が散らかって汚い"訳
プレジデントオンライン / 2019年11月4日 11時15分
■モチベーションを向上「スマホ&アプリ」徹底活用法
現役東大生・西岡壱誠氏は、人気漫画『ドラゴン桜2』に情報を提供する東大生団体リーダーであり、学習メソッドの著作も多数発表している。勉強の力をつける秘訣を聞いた。
みなさんは「先生」を英語で書けますか。答えは「teacher」。中学1年生で習う英単語なので、ほとんどの人が難なく書けますよね。
ところが、僕は違いました。「ティーチャー」と口で言えても、綴りをいつも間違えました。書き間違えるのは「teacher」だけではありません。英単語のLとRはよく混同したし、歴史の年号もさっぱり覚えられなかった。
記憶力がこのレベルだったので、中3のときの偏差値は35。学年でビリです。高校では東大を目指して頑張りましたが、やはり玉砕。東大は不合格の場合も判定を通知してくれます。僕はCかD判定で、まったく惜しくなかった。翌年も失敗して2浪です。
勉強法を根底から変えないと東大には届かない。そう思い至って、東大に合格した友人たちのやり方を徹底的に研究しました。そこでたどりついたのが、アウトプットを重視することです。
それまで僕は、記憶する=インプットすることだと思って、教科書を何度も読んだり単語帳を繰り返し見たりするなど、ひたすらインプットの回数を重ねて記憶に定着させようとしていました。しかし、そのやり方ではいくら頑張っても結果が伴わなかった。そこでアウトプット重視に切り替え、英単語や年号は赤シートを被せると消えるようにして、テスト形式で覚えました。答え合わせをして○と×をつけたら、×のところをまたテストするという具合です。
すると、暗記が以前より楽にできるようになりました。後で東大教育学部の授業を受けて知ったのですが、人間は話を聞いたり本を読むときより、その内容を使って問題を解いたり人に説明するときのほうが頭はよくなるそうです。
東大生には、本の内容を覚えるのが得意だという人がたくさんいます。それは読んだ本の感想を言い合う文化が定着しているからです。本の感想を伝えるサークルも、いくつもあります。読みっぱなしのインプットだけではしばらく経つと内容を忘れてしまいますが、相手に伝えるというアウトプットがあるから、記憶に定着する。アウトプット重視は裏付けのある勉強法だったのです。
■インプットは「陸上で泳ぐ練習」
赤シートで頭に入らない場合、自分で問題を作成してみます。試験では出題者の意図を考えることが大切ですが、この世で一番厄介な出題者は、自分の弱点を知っている人、つまり自分です。そこで、出題されたら嫌だなという問題をあえて自分で作成するのです。
よく取り組んだのは、タイムカプセル方式の20問テストです。自分でテストをつくった後、いったん寝かせて、2日間その勉強をします。そして3日目にテストに挑戦して、また繰り返す。このやり方の利点は、先に問題がわかっていること。アウトプットを意識しながらインプットするので、暗記の効率が上がります。
たとえるなら、インプットは陸の上で泳ぎの練習をするようなものです。仮に完璧なフォームを覚えられたとしても、水の中に入れば同じフォームで泳げるとはかぎりません。それならば早い段階で水の中に入って、犬かきでもいいから泳いでみたほうがいい。それからフォームを覚えたほうが、早く泳げるようになります。
心理学の研究によると、勉強効率を最大限に高めるインプットとアウトプットの黄金比は3対7だそうです。アウトプットの7をやるから、インプットの3のクオリティーも高まるというイメージです。
■解けない問題は、スマホで撮影!
インプットにしろアウトプットにしろ、忙しくてなかなか取り組む時間がないという人は、ツールを使って時間を有効活用してみてはどうでしょうか。時間が足りないように感じるのは、勉強は机の前に座ってやるものだという固定観念があるからです。
たしかに漢字を反復して書くときなどは、正しい姿勢でやったほうが集中できるでしょう。しかし、それ以外は机にこだわる必要はありません。たとえば電車の中や、ベッドに寝転がりながら勉強してもいい。「ベッドの上に参考書やノートが散らかって汚い」というのは、「東大生あるある」の1つ。みんな机以外の場所も活用しながら勉強時間を確保しています。
ただ、机以外の場所は、ノートを広げにくいのが難点。そこで活用したいのがスマホです。僕は受験生に、「解けなかった問題はその場で写真を撮り、スマホのフォルダの中にまとめておこう」とアドバイスしています。フォルダの中身は自分に世界一合った問題集。それをトイレのときや通学の合間、就寝前に見返します。
僕自身が受験生だったころはまだそこまでスマホを使いこなせず、解けなかった問題をルーズリーフに貼っていました。ルーズリーフは取り外せるので、狭い場所や横になった姿勢でも邪魔になりません。いずれにしてもツールを活用すれば、どこでも勉強が可能です。
アプリも効果的です。おすすめしたいのが「Clear」というソーシャル学習アプリ。各人のまとめた勉強ノートがたくさん共有されていて、他人のものを閲覧して参考にすることもできるし、自分のノートを公開して質問することもできます。このアプリが素晴らしいのは、他人から「いいね」やコメントをもらえることです。承認欲求が満たされて、確実にやる気が出ます。
勉強を1人で続けるのは、難しいものです。それが図書館や自習室に行って、知らない人が隣で勉強しているだけで、「大変なのは自分だけじゃないんだ」という気がして頑張れます。今なら仲間づくりにSNSを活用しない手はありません。ツイッターには勉強アカウントがたくさんあって、若い人たちは自分の勉強風景をアップするなどして盛り上がっています。社会人でスクールに行く時間がない人も、SNSで仲間を見つけて、ぜひモチベーションを高めてみてください。
1. 出題されたら嫌な問題を自分で作成
2. 間違えた問題はスマホで撮影してまとめる
3. SNSを活用して、勉強仲間をつくる
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東京大学4年生
1996年生まれ。2浪から「暗記術」「読書術」「作文術」を開発し、東京大学経済学部に合格を果たす。全国4つの高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施し、高校生に勉強法を教えている。近著に『書き込み式「東大作文練習ノート」つき 東大作文』(東洋経済新報社)など。
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(東京大学4年生 西岡 壱誠 構成=村上 敬 撮影=岡田晃奈)
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