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ハーバードに妙に子供っぽいキャラが多いワケ

プレジデントオンライン / 2019年8月26日 6時15分

米国ハーバード医科大学大学院元フェロー 川﨑康彦氏

■AIに代替されない、長期記憶の鍛え方

記憶には「短期記憶」と「長期記憶」の2種類があります。簡単にいえば、短期記憶は数十秒以内の記憶、長期記憶はそれ以上残る記憶です。人生で重要なのは短期記憶よりも長期記憶です。短期記憶はITの発達、AI(人工知能)の進化などで代替可能だからです。したがって、これから述べる記憶は長期記憶のことです。

記憶力を向上させるためにキモとなるのは、「脳内環境」の整備です。脳内環境とは簡単にいうと、前述した脳のさまざまな部位すべての細胞内の器官や細胞膜の状態などを指します。それらをベストな状態にすることが重要で、そのためのポイントは2つです。「ワクワク」することと、「ハラハラ」することです。

ワクワクとは好奇心であり、あなたの心に熱い炎のようにみなぎる情熱です。楽しいことに没頭し、気がついたら長い時間が経っていたという経験は誰にでもあると思います。

この楽しくなれるものを見つけたら半分は成功したといえます。なぜなら、ワクワクして取り組むと、脳には集中力を生む脳内ホルモンの「ドーパミン」が放出されパワーがみなぎるからです。

■ハーバードの研究者たちは子どもっぽく見えるほど純真無垢

ハーバードのエリート研究者たちも、ズバ抜けた記憶力や計算力を備えた冷静沈着な人物というよりも、皆、時に子どもっぽく見えるほど純真無垢で、情熱に溢れ、時間を忘れて専門分野についてワクワクしながら研究に取り組んでいました。

一方、ハラハラとはチャレンジすることです。今はできないけれど、できるようになったらどんなに楽しいかということに挑戦する。ハラハラは言い換えれば、普段は使わないような脳の使い方をすることでもあります。

ご存じのように脳には左脳と右脳があります。左脳型は言語力や論理的思考、分析力などに優れ、右脳型は直感力や図形力などに秀でているといわれます。この2つはどちらがよいというものではなく、記憶力を高めるうえでは両方のバランスが取れていることが最適です。

ただ、私たちは通常、無意識に脳の特定部分ばかりを使いながら生活しています。傾向として、男性なら左脳中心、女性なら右脳中心という具合です。しかし、それでは行動がパターン化し、同じような考え方、アイデアしか浮かびません。そこで普段は使わない脳を使うことで、不得手な分「ハラハラ」し、それによってパターン化が解除され、自由な発想がわき起こり、脳を大きくパワーアップさせることができるのです。

■インプットより、アウトプットが大切

実際、左脳と右脳を結ぶ「脳梁(のうりょう)」という神経線維の束があり、右脳でインプットしたものを、左脳でアウトプットすることが、脳の効果的な使い方といわれています。つまり、左右両方の脳を使うと記憶力は高まるのです。

記憶というと、一般にインプットが重視されがちですが、記憶力を高めるにはアウトプットが大切です。インプットした情報を脳に保存されている記憶と統合させて浮かんだものをアイデアと呼びますが、このアイデアをアウトプットする。

たとえば文章にしたり、人前で発表したりする。アウトプットしようとすると疑問が生じ、また調べ直すなどして、それが記憶につながるのです。それを繰り返すことで左脳と右脳をつなぐ脳梁の束が太くなり、脳の連携力が強固になっていく。そして、その分野への興味は深まり記憶に残りやすくなる。

このように「インプット→アイデア→アウトプット→インプット」を繰り返すことが記憶力向上のコツです。

■「今やりたいこと」を100個、書き出してみる

「ワクワク」と「ハラハラ」の効果があるといっても、自分はどういうことにワクワク、ハラハラするのかわからないという人もいるでしょう。そこで私がおすすめするのが、リストの作成です。

「今やりたいこと」を100個(理想は1000個!)書き出してください。100個も浮かばないと思うかもしれませんが、たとえばジャンルを10分野(旅、スポーツ、音楽、食、会いたい人など)つくり、それぞれ10個ずつ書き出せばすぐに埋まるでしょう。書き出した100個のうち、実は最初のほうのものはあまり意味がありません。本当にやりたくて、心から熱くなるような情熱が持てることは最後のほうに書いたものなのです。

というのは、最初のほうは比較的実現可能なもので、やりたいことというよりも、自分にできそうなことを書いてしまいがちだからです。最後のほうに書いたものは実現が難しいものなので、よりワクワクやハラハラにつながります。それにぜひ挑戦してみてください。

チャレンジする際には、1つアドバイスがあります。日本人は生真面目なせいもあり、完璧を目指しがちです。だから途中で失敗すると挫折してやめてしまう。何か新しいことにチャレンジするときに、失敗はつきものです。

ハーバードでは失敗はむしろ歓迎されていました。大成功につながるきっかけになるからです。私は50%でも達成できれば大成功だと考えています。しかも、何かにチャレンジしようと思って実際に行動に移しただけでも、その50%は達成したといっていいでしょう。そこが大事な点なのです。

ヤル気と勇気をもって一歩を踏み出したことを、自分で評価しましょう。そして、諦めずに継続することです。完璧が求められるのはAIの仕事。私たちは個々の不完璧さの中から自分らしさを確立させていくのが価値創造のうえで大変重要なのです。

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川﨑 康彦(かわさき・やすひこ)
米国ハーバード医科大学大学院元フェロー
医学博士(専門:神経生理学)。主な著書は『ハーバード式最高の記憶術』『ハーバードで学んだ脳を鍛える53の方法』。

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(米国ハーバード医科大学大学院元フェロー 川﨑 康彦 構成=田之上 信 撮影=石橋素幸)

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